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三井寿 大人になってからより好きになる、ダントツの共感性【スラムダンク】

色んな所で語られていると思うのですが、スラムダンクが良作から最高傑作になったのはこの男の存在があったゆえなので語らざるを得ない。

ドラゴンボールで言うと(知らない人はごめんなさい)ベジータ的な立ち位置だ。

今これを見ている人のいやいや全然違うという声が聞こえてくるがちょっと待って欲しい。

心情が3つのパートで分かれていく

その成長過程が読者も共感できる

そして大人になってから改めて好きになる

これはスラムダンク、ドラゴンボール共通だが、主人公が肉体的にも精神的にも超人化していく中で読者の共感性は別の人物に移っていく。

主人公より身近に感じる存在というわけだ。


本題はそれるが、ベジータの3つの時代について簡単にまとめておく

1 サイヤ人の王子としての、残虐で強くかっこいいダークヒーローとしての存在 フリーザに敗れ悟空に全てをたくすまで。

2 悟空に対する劣等感で頭の9割を占める、かませ犬役としてのピエロ的存在

3 夫性を持ち、プライドより優先すべきものを見つけ、悟空を認め、精神的な意味で本当の大人になった存在

ベジータは実に人間らしいキャラクターだと思う。ドラゴンボール本編が終了した後、当時の読者が大人になって改めて好きになったキャラだ。

大人になってから読めば悟空は自然に最善の選択をしている事が分かる。あまり悩まないで努力を努力と思えないで前向きに進める天才の典型

ベジータは天才との壁に嫉妬し苦悩する。そしてなかなか結果が出ない。常に二番手。嫌でも才能の差を感じてしまう。心境としては苦しみながら、辛く努力する凡人の典型とも言える

(ベジータも天才なのにね)




ではここから三井寿の魅力について3つのパートで迫っていきたいと思います。


栄光 

中学MVP 安西先生との出会い

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三井の原点、作中でもここが始まりです。

この言葉の後三井の活躍で優勝します

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湘北に入り、安西先生のもと入部初日に全国制覇宣言をします

しかし、この三井が湘北を優勝に導く

なんとも平坦、翼君が(ほぼ独力で)高校3連覇しちゃう位味気ない

そんなスラムダンクは人気が出るはずがない

三井は不運な1度目の怪我

そして自身の考えの甘さから来る2度目の怪我を負います

そこで完全に気持ちが切れてしまいます


挫折

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長髪の三井は最高にカッコ悪い

喧嘩は弱いし考えは腐ってやがる

作者はよくここまでカッコ悪く描けるなと尊敬するほど

周りの鉄男とかカリメロっぽい不良の方がまだカッコよく見えるんだからほんとすごい

結構長かったんですよね、三井乱闘編

まあまあつまらないんですよこれが。木暮君の機転でカーテン閉める、夢見させるような事を言うんじゃないという名言、安田の勇気あるシーンと見所もありますが。

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でも見直すと名言は多いですね。こういう醜くても本音のぶつけ合い。

うわべの付き合いではない、本心から相手を信用するには大事な事だと思います。本格的にチーム始動する前に、雨降って地固まるというやつです。

三井の加入により湘北に最後のピースが埋まりました。

ここからトーナメントでは無双が続き

早々に三井にスポットの当たる翔陽戦がやってきます。



復活

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短髪になるとめっちゃかっこいい

同一人物なのか?と疑うほどに。ここから桜木差し置いてほぼ主人公ですよ


しかし、高校入学したと思ったら何もせず3年になっていた

当時小学生だった私にもその絶望感、喪失感は伝わったものです

中学時代での財産で良い活躍もするけど

翔陽戦で後半スタミナ切れ、海南戦で神に対して埋められない高校バスケ歴の差、陵南戦で無駄な時間を悔いる

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切ないシーンがいっぱいあります。

センスはあるけど、常についてまわる2年間のブランクがもどかしい。

右肩上がりの成長をする桜木

作中最初から強キャラ過ぎる赤木と流川

三井の立場は微妙に揺れる位置だ

部分的には大活躍するが、どうしてもムラが目立ってしまう


良い時もあれば悪い時もある

3Pを決めて喜び、スタミナ切れで過去を悔いる

湘北の中で宮城、木暮、三井は等身大としてのキャラクターですね




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そういった意味では三井の本領は山王戦まで待たないといけないかもしれません


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山王戦前緊張する三井

そこに安西先生がやってきます(トイレに)

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「いくら山王といえど三井寿は怖い見える」

実に三井の心をくすぐるモチベーターとしての言葉だと思います

この発言はただのおだてではなく、スタメンがいつもの松本ではなくディフェンスのスペシャリスト一之倉であることも言葉に説得力を持たせています。


結果、堂本監督の読みが浅かったのか、三井が凄過ぎたのか安西先生の序盤は三井寿という言葉に答えます。

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ここから最高にカッコイイ三井。いや後半もかっこいいので山王戦はもうかっこいいシーンしかありません。

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厳しいディフェンスもものともせず、バシバシ3ポイントを決めていきます

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3Pを連続で決め、密着マークで外を打たせない一之倉に対し、ドライブもあるよと見せつける三井の図


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この活躍があっても三井に慢心の文字はありません

今も中学時代より力が落ちたと思っているからです。

相手は最強、もう自分に失うものはない、完全に集中した状態と言えるでしょう。

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木暮君の的確な解説


さて、山王戦後半も三井は大活躍するわけですが、今回はひとまずストーリーを追っていくのはやめにして、3つの心境の変化、そして三井の成長についてまとめました。

全国制覇を本気で目指した高校1年入学時

バスケ人間からバスケを奪われた不良時代

全てを捨ててもう一度高校バスケに全てをかける短くも熱い青春時代


本当に三井はカッコイイ、いい顔していると思ってしまうのは、三井の絶対応援したくなる背景からくる共感性から来ていると思います。(贔屓目ですが100人いたら100人応援したくなりますよね?)


本作では三井だけではなくそれぞれの立場でキャラクターが深く深く描かれています

バッシュ屋のおっさん、エースキラー、センターからシューティングガードになった神、ちょい役の不良

そこにはキャラクターに魂が宿っています

リアルな試合描写とリアルな人間像、それがスラムダンクという名作なのです。







追記の蛇足

山王戦読み返してますが、沢北、河田兄、深津は負けてないんですよね。

後で不思議だった試合、湘北ー山王戦も書いてみようと思います。

私は思いついた事だけNOTEに書いているので色々なジャンルの記事が混ざって読者の方には不便と今気づきました^^;

バスケだけの記事をまとめたマガジンを作りましたのでよければどうぞ。




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