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憲法は権利のはなし[その2]憲法といえば学校では義務寄りで教えられた気がするけれど権利がメインだから!

前回は憲法の3原則のことなんかを説明しましたが、今回は条文を見ていこうと思います。

ちなみに日本国憲法には第1章から11章の中に103の条文が書かれています。私がお話しする時は第3章の「国民の権利及び義務」をメインにお話ししています。

ちなみに憲法には大きく分けて国民の権利政治の行い方の2つのことが書いてあります。

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こうして権利政治の行い方国が守らなければいけないこと国の運営のルールをあらかじめ決めておくことによって、権力が暴走することを防いで、人びとの自由や権利を守るのです

なので何度でも言いますが、国が憲法を守らないというのは「権力が暴走している」ということ。私たちがないがしろにされているということなんです。

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■憲法の条文をちょこっと紹介!

さてさて、ここでは第3章の「国民の権利及び義務」について書いていきます。私が学校で習った(と言ってもちゃんと聞いてなかったけれど…)うん十年前はわりと義務が大事!みたいに言われていた気がするのですが、皆さまはいかがでしょうか???

まぁ実は、義務は覚えなくてもいいくらい。

基本的に憲法は権利について書かれています。

平等権 ➡あらゆる差別をなくす。 

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基本的に憲法は国家による過去の失敗から学んで作られているのだそうです。

男女平等、選挙資格の平等、身分の平等、どれも戦前にはなかった社会概念ですよね。あらゆる差別をなくすのが第14条です。

現実には………ですが。

そして24条では「両性の平等」について書かれています。

この条文はベアテ・シロタ・ゴードンさん(1923~2012年)という女性が草案を作ったものです。

日本に住んだことのあったベアテさんが、日本での女性の権利のなさを憂慮して、この条文は必ず入れねばと奮闘してくださったのだそうです。

当時の日本側は女性の権利なんて日本の国や文化に合わないと猛反発したんだそうです。

今でも言う人いそう。

そういえば「選択夫婦別姓」8対1の光景に 9党首の討論会、岸田首相だけ手を挙げず(←東京新聞にリンク貼ってあります。)なんていうこともあったなー。


〔家族関係における個人の尊厳と両性の平等〕
第24条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない



■社会権 ➡「生きる権利」「生活を営むための権利」

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第25条  すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 2国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕

「最低限度の権利」「健康で文化的」です。

そして、憲法には条文の一つづつにタイトルがついているのですが、第25条のタイトルは 〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕です。

国の義務くにのぎむクニノギム

覚えておきましょう。

■自由権 ➡権力から自由を守る

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自由権はただただ自由をenjoy!!というものではなく、権力から1人ひとりの自由を守るという意味での自由権です。

〔思想及び良心の自由〕
第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

初めて憲法カフェに参加したときに、

「19条は一言で言うと、考えるのは自由ってことです。」

と言われて、なんだかとても嬉しかったのを覚えています。

他には21条「表現の自由」

〔集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護〕
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

これ、すごーく大事で、ここには知る権利とか知らせる権利なんかも含まれています。これらに国家が介入してはいけないと言っています。

選挙前はシーンとしていたマスコミが、投票日の夜になると元気に報道し始める現象が不思議で仕方がないのですが、あれって私たちの「知る権利」が保障されてないってことだと思うんです。

ところで報道の自由度というのは民主主義が機能しているかどうかのバロメーターだと言われていますが、今日本はこんな感じ(毎日新聞夕刊より。有料記事ですが)

⇩⇩⇩

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他にこんな記事も

世界各国の「報道の自由度」 日本67位 去年から順位1つ下げる/NHK NEWS WEB)

この件に関して日本は国連から勧告を受けてます。

表現の自由は権力によって傷つけられやすい性質のもので、政治的な表現の自由はとっても大切!!どんどん話していかないと!!です。

実は憲法なんてまるで知らなかった私が憲法のことを人前で話そうなんて、とてもとてもとてもドキドキしたし、やっていいのか!?と思ったりもしたのですが、背中を押してくれたのはこの条文でした。

これは権利なんだと。

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それから政治の話って知らないと、詳しくないと話しちゃいけない空気だったり、マウントとられたり、嫌な気持ちになったりすることもあるんだけど、知らないっていうことは「教育の場に表現の自由がないから。」「報道がちゃんと機能してないから」ではないかしら。

だから

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わからないとか何だかおかしいとか、そういう違和感はどんどん口に出していったらいいと思うのです。

私たちには表現の自由という権利があるんですから!


■憲法のラスボス条文

さて、日本国憲法の要の条文といえば何でしょうか???

以前の私なら、9条!と答えていたと思います。

でも、すべての条文の根っことなる条文は実は13条なのです。

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第13条 すべて国民は、個人として尊重される生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。〔個人の尊重と公共の福祉〕

前回、日本国憲法の3原則がなんのためにあるのかを紹介しましたが、

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・私たちに決定権がなければ個人が幸せになれないし

・1人ひとりの自由や権利が尊重されていないと個人が幸せになれないし

・平和でなければ個人が幸せになれない

ということなのです。

ちなみに幸福追求権ってどんなものか調べてみたら、ざっくり言うと

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なのだそうです。

そういえば自分で決めて自分で選んだことって、失敗しても納得できたりしませんか。


■基本的人権を守るために

さて、基本的人権を守るために必要なこと、以下のようなものがあります。

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条文でいうと


第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第16条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

などがあります。

民主主義の国なので、様々なかたちで政治に参加できることが重要なのです。

いやぁ、憲法って本当に素晴らしいですね!

と言いたいところですが…


■好きだからダメなところも言っておきたい。

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さて、日本国憲法に出会ったときの私は、私たちの権利ってこんなにあったんだ!っていうか権利って私のものだったんだ!ととても感動したのですが、自分が伝える身となり何度も読んでいるうちに「国民は」という主語が気になって気になって仕方なくなってきました

「国民は」と言ってはいても、人権って基本的には全人類にあるものなので、外国籍の方々に日本国憲法下でまったく保障されていない訳ではないけれど、外国籍の方には選挙権がまったくないんです。

1945年の12月に日本政府は、それまで選挙権のあった朝鮮籍の方々の選挙権を停止してしまいました。そしてずっとそのまま。

「国民は」それを容認するんでしょうか。

私はそうはしたくないです。

これって「国民」の問題です。

ここらへんのことはまた改めて書きたいです。


お読みいただきありがとうございました。


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