見出し画像

ミスとエラーの違いを認識する

こんばんは。

わらし、こと藁科侑希(わらしなゆうき)です。


今日は競技現場での「ミス」と「エラー」についての整理。

フォームについての考え方の続きです。

●「ミス」は一貫性のない失敗であり主に不注意やうっかりで起こる

結論から言えば、いわゆる集中力の欠如による失敗ですね。

運動遂行に関わるスキルはあるものの、そのスキルを十分に発揮して成功するための集中力を発揮しなかった結果、と言い換えられるかもしれません。

そのため、似たようなシチュエーションを再び行う場面において、「ミス」であるのなら自身で欠点を修正できることになります。

総じて、「ミス」は主に、『自身の注意・集中を発揮し、自身のスキル内での修正ができる範囲内の運動の結果』ということです。


●「エラー」は一貫して繰り返される不適切な運動や失敗で修正が必要

対して「エラー」は、失敗を同じように繰り返してしまう、運動遂行上の修正が必要な部分が引き起こす失敗です。

エラーを観察する際には、主運動自体の運動遂行内に欠点があるのか、その前段階にエラーがあるのかを判断する必要があります。

先のバレーボールの例で言えば、フォームの中の打つ腕全体の連鎖的な運動自体に何かしらの欠点が潜んでいるのか、そもそもその前段階のボールにアプローチする足運びや目線、胸の開き具合(胸椎の回旋)に欠点があるのか、ということです。

運動を切り取ると、あたかもボールを打つことやシャトルをラケットで打つこと自体にフォーカスされがちです。

しかし、その前段階で何が起こっているかも含めて「エラー」はどこにあるのか、を考える必要があります。


●基本的に指導は「ミス」か「エラー」かを見極めて『エラー』を修正する

ミスかエラーかを見極めるためには、端的に、失敗が繰り返し同じように起こるかが重要です。

そのため、一度の失敗を叱責したり全否定することがあると、その失敗がどちらなのかわからなくなります。

失敗自体を責めるのでなく、何が原因で起きた結果なのか、を見極める必要がありますね。


エラーへの修正アプローチは指導者により様々ですが、主に暗示的方法か明示的方法が用いられます。

暗示的方法としては、抽象的な言葉を用いて「イメージ」を通じて運動の調整や修正をするものです。

明示的な方法は、3つあります。

1. 具体的な言葉の指示|腕の角度や目線の高低を〇〇度調整しよう、のように具体的に指示をする
2. 実演による教示|実際にお手本を見せて模倣させる
3. 運動感覚による修正|実際に手取り足取り動かして運動感覚をすりこむ

上記いずれかと、筋骨格系の理解・選手それぞれの可動域や特性を考慮してプログラムが組まれることでエラーの修正がなされていきます。


●選手はエラー修正手順で自分が「言葉」「感覚」「実演」のどれを好む傾向にあるのか把握する

これまでは、ある程度トレーニング系の教科書に書いているようなことをアレンジしたものですが、ここからは現場の選手とコーチのやりとりのお話。

以下、藁科の経験上のお話が多く含まれるので間違っているかもしれませんが、参考までに。


選手の皆さんは、自分がエラー修正をする際に、下記のどのタイプかを知っておくことが大事かと思います。

1. 言葉が「入ってくれば」できる|さらに分類として抽象的か具体的かはありますが、言葉がキーとなって変えられるのかどうかです。その言葉が想起する自分の運動を細部まで思い描くことができれば、このタイプかもしれません。
2. 自分の運動イメージが固まるとできる|手取り足取りのタイプですが、実際に自分の中にはまだない運動を「感じて」、感じたままにその運動を再現しようとすると変えられるというタイプです。
3. お手本を真似るとすぐできる|運動のイメージを他の選手やコーチの動きで見てトレースできるタイプです。運動全体の流れやスピード・目線や腕の角度など、運動をチャンク化(ひとまとまりのこと)させて自分におろすことができるタイプとも言えますね。

絶対にどれかに分類される、というわけではないです。

エラーの修正手順の中でどれも使われるし、できるものではあると思います。

しかし、成功確率が高いのは自分はどれだろう。

と、指針として自分の大まかなタイプを分類しておくこと。

そうすると、コーチに選手側からリクエストを出すときに有用かもしれません。


今日はここまで。

それでは。

-----

●藁科 侑希(わらしな ゆうき)
 大学教員として、教育・研究現場で活動中。また、スポーツ現場でもトレーナーやコーチとして活動。選手や学びたい人にとって、最良のアドバイザーであることをモットーに、肩書きにとらわれない現場目線のサポートを模索中。

-----<ご協力のお願い>-----

最近Twitterの更新頻度高めにして頑張っています。

「動ける人」が定着してきているようで、とても嬉しいです。

よければフォローやいいね!RT(特にリツイートが嬉しいです!)をしていただけると大変喜びます。

最近の伸びがすごくて、2日で約100名のフォローをいただくペースが継続中です。

おかげさまで今日で600名のフォローをいただきました。ありがたや。

フォロワーの皆様ありがとうございます。今後とも引き続き楽しく頑張ります!

https://twitter.com/warawarac

スクリーンショット 2020-08-02 22.22.30

【保有資格】
博士(スポーツ医学 筑波大学)
日本スポーツ協会公認バドミントンコーチ3
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツコーチ
日本障がい者スポーツ協会公認中級障がい者スポーツ指導員
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツトレーナー
NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
NSCA認定パーソナルトレーナー
高等学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
中学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
赤十字救急法救急員

トレーナー・コーチ・教育者・研究者に役立つ情報を日々発信していきます! サポートしていただけると、それが活力になってより楽しく内容の濃いものが発信できるかと思います^^