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オリンピックには日本文化が必要だぜ!ベイベ

こんにちは。和樂web 編集長のセバスチャン高木です。いよいよ圧い(和樂web編集部では「暑い」「熱い」「厚い」などすべての「あつい」は「圧い」に変換されるのですが、この話をしだすとまた長くなってしまうので別の機会に)夏がやってきますね。世の中は東京オリンピックまであと1年ということでだんだん盛り上がってきました。

テレビを観ていてもオリンピックに関する報道や番組が続々。新国立競技場やメダルがお披露目されたり、選手村の様子が公開されたり、交通規制の試験が実施されたり。いやはやもうオリンピック狂想曲がいよいよスタート!という感じです。

いや待てよ。ひとつ忘れてやいませんか?

オリンピックってもちろんスポーツの祭典なのですが、スポーツだけではなくてアートの祭典でもあるのですよ!お〜い!アートどこ行ったんじゃい!!!これは私が勝手に言っていることではなく、近代オリンピックの父であるクーベルタン男爵が言っていることなんです。「オリンピックはスポーツとアートのマリアージュ(結婚)」であると。

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事実過去のオリンピックでは「1912年第5回ストックホルム大会から1948年第14回ロンドン大会まで、絵画や彫刻、音楽、文学、建築などの芸術が競技として競われ、それぞれ金銀銅のメダルを授与されていました。日本も1936年第11回ベルリン大会で銅メダルを2つ獲得しています」(NPO法人日本スポーツ芸術協会HPより)。ね、嘘や夢じゃないでしょ!

これは「日本文化の入り口マガジン」を謳っている和樂webとしては、「一肌脱がなくてはならない。キャシャーンおまえがやらねばだれがやる。オリンピック公式スポンサーにはなれないけど、非公式スポンサーになるんだ!」。いつもながらそう妄想して小学館と日本経済新聞社が手と手をとりあって企画したプロジェクトが「UKIYO-E2020」なんです。

詳しくは下のリンクをご覧いただくとして、ばくっと説明すると、せっかく2020年の東京オリンピックで多くの方が日本に興味を持つから、浮世絵を通して日本文化の魅力をシェアしようよ!というプロジェクトです。

宣言! 2020年東京が浮世絵ランドになる!「UKIYO-E2020」絶賛進行中!

でもなんで浮世絵なの?

はい、それは浮世絵が、どこかで聞いたようなキャッチフレーズで恐縮ですが、世界中の現代アートと比べてもまったく引けを取らない「キング・オブ・ポップ」だからです。

まずは下の絵を見てください。どうですか、このポップでキュートでアバンギャルドな発想!巨大な骸骨がにゅっと顔を出して武者に襲いかからんとしたり、擬人化した猫で遊郭の賑わいを描いたり。これはどちらも歌川国芳という絵師によるものなのですが、浮世絵にはこんな度肝を抜くようなものから、どこまでもうっとりするような歌麿の美人画、北斎や広重に代表される風景画などがあって、まさに百花繚乱です。


大判錦絵3枚続きの作品の中でも、最も有名な大作。歌川国芳「相馬の古内裏に将門の姫君瀧夜叉妖術を以て味方を集むる大宅太郎光国妖怪を試さんと爰に来り竟に是を亡ぼす」弘化元(1844)年ごろ 大判錦絵三枚続

猫を擬人化して遊郭を描いた作品。歌川国芳「おぼろ月猫の盛」弘化期 団扇絵判 錦絵

私は和樂という雑誌の編集を15年ほどしておりました。その間ありがたいことに、日本美術や茶の湯や歌舞伎、職人の技といった伝統文化に多少ふれることができました。そこで気が付いたのは、日本文化の魅力って、もちろん伝統とか美しさとか繊細さとかもあるのですが、実はその最大の魅力は「多様性」なのではないかということです。で、その多様性を体現する存在として、びっくりするほど多様な表現を誇る浮世絵こそがぴったりなんじゃないかなぁと思っているのです。

そしてもうひとつ、浮世絵が世界に誇る存在である理由があります。それは、江戸では長屋のおばちゃんたちが、いやおじちゃんたちもですが、浮世絵を楽しんでいたということです。

江戸で浮世絵が隆盛を誇り、人気があったものは何千枚も擦られ、庶民がわいのわいのと楽しんでいた頃、西欧諸国ではアートはほんの一部の上流階級だけが享受するものでした。これって実はすごいことですよね。「スポーツとアートのマリアージュ」と矛盾するようですが、浮世絵はアートとしてではなく、あくまでも大衆の娯楽として大量につくられ、結果として日本では意識されないままものすごい数の人々がアートを楽しんでいたという。もしかして江戸という町は、当時世界最高のアートシティだったんじゃないかなぁなんて思ったりしています。

そう考えると、今や世界中で万人が楽しむ存在となったスポーツ、そしてその世界最大の祭典であるオリンピックと、エンターテインメントとして作られてアートにまで昇華した浮世絵って、なんだかすごく相性がよくないですか。

兎にも角にも2019年4月18日にスタートした「UKIYO-E2020」ではあの手この手で浮世絵を楽しんじゃえ!って思っています。2020年の夏には日本経済新聞社が主催する超スケールの浮世絵展が開催されますし、小学館はこれでもかこれでもかと浮世絵に関する本を出版する予定です。

でもそれだけではなくて、今夢想しているのが浮世絵と工芸の破壊的融合(大げさですみません!)。その第一弾として製作したのが、上の写真の招き写楽です。こちらは写楽の代表作「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」をモチーフにした招き猫。そんな浮世絵と工芸の異次元の組み合わせを四十七都道府県分作っちゃおう!とスタッフと話し合っているところです。

だって和樂webのモットーは「バカバカしいことを真剣に!」。古代アテネのオリンピアの精神をオリンピックとして復興したクーベルタン男爵も、なんかすげぇ絵をこれでもかと作り続けた江戸の浮世絵師たちも、「バカバカしいことに命をかけていたように」見えませんか?

東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」

#好きな日本文化


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コメント2件

ありがとうございます。
本当にそうですね。
馬鹿馬鹿しい事に命を張るというのが、粋ですよね。

私は戦国時代の兜を色々調べていた時期があるのですが、黒田官兵衛如水の兜なんか、お椀ですからね。

何でお椀なんだ?と。^ ^
お椀をかぶって!戦地に赴く訳ですからね。馬鹿馬鹿しいですよね。
発想というか、アートというか、昔の人は凄いですよね。
誠に江戸文化の奥深さには恐れ入ります。日本の食文化や芸能を調べていくと「江戸で熟成された」「江戸で今日の姿ができあがる」などの記述が多いです。
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