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ドリームマッチ2020の答え合わせ②

前回は各ペアに対しての感想を書きました。今回はドリームマッチ2020の総評を書いていきます。良かったら前回の記事も読んでください!

事前に予想記事も書いたのですが、組み合わせの予想と希望については大方外れました。唯一当たった予想で言うと、

”今回は過去最多の漫才披露数になりそうな予感”

まぁ過去最多を更新したわけではありませんが、今回は10組のペア中3組が漫才を披露しました。最多タイですね。

ドリームマッチは圧倒的にコントを披露するペアが多い

この事実を踏まえたうえでドリームマッチを見ていくとお笑いの裏側が興味深くなりますので、是非頭の片隅に入れといてください!


とりあえず今回のドリームマッチで一番感じることがあります。


〇実験的な試みを披露するペアが圧倒的に多い

実験的な試みというのは主に2つのパターンがありました。

①構成や設定で勝負するタイプのネタ

②新相方のもしくは自分の全く新しい一面を見せるネタ

そして特に顕著だったペアが3組います。

・サンドウィッチマン富澤×ナイツ土屋ペアは①と②の両方

→①と②の要素を最もバランス良く取り込むことに成功!仕掛けながらも安定感抜群のペア

・ハライチ岩井×渡辺直美ペアは①と②の両方

→ハライチでは出来ない世界観とキャラを直美と組むことによって実現!ドリームマッチを最大限に生かしたペア

・チョコレートプラネット松尾×霜降り明星粗品ペアは①のみ

→粗品の好奇心がさく裂!構成に全振りしたような超実験的ペア

他にも霜降り明星せいや×バイきんぐ小峠ペア、野生爆弾くっきー×オードリー若林ペア、オードリー春日×南海キャンディーズ山里も①か②の片方もしくは両方の要素が含まれてるので、該当します。

千鳥大悟×ハライチ澤部ペアは微妙なラインですが、普段の千鳥とハライチの漫才を程よくハイブリッドしただけなので、実験的な試みとまでは言えないかも。


〇優勝しやすいのは王道スタイル

別に実験的な試みをしてないからつまらないというわけではありません。むしろその逆で、王道なネタの方がウケやすいです。歴代のドリームマッチ優勝ペアのほとんどは王道系が取ってます。その例に漏れず、今回優勝したロバート秋山×千鳥ノブペアは王道なコントです。秋山は普段の秋山らしい強力なボケであり、ノブは普段のノブらしい強力なツッコミでした。ですので、彼らの優勝は納得であり、他のペアが実験的な試みをしまくっていたので、必然とも言えるでしょう。

ただ、筆者は前回の記事でロバート秋山×千鳥ノブペアについて

「優勝ペアですが、正直な感想を言うと、ビミョーでした。」

と書きました。その理由についてココから詳細を書きます。


〇相乗効果が薄いので刺さらなかった

秋山ノブペアのネタがイマイチだった理由は相乗効果がイマイチ感じられなかった事です。普段の秋山と普段のノブを見てる感じ。融合することなく個々ってニュアンスかな。構成がシンプルで各々の新しい一面が見られないなら、せめて掛け合いの面白さで笑わせて欲しかったです。

歴代優勝ペアで例えると第1回の三村×田中ペア、第4回の大竹×出川ペアが近いです。構成がシンプルでボケとツッコミがハッキリし、なおかつボケがツッコミを振り回すコント。

これら2つのペアと今回の優勝ペアの違いは相乗効果の部分にあります。もっと細かく言うと、笑いを増幅する掛け合いのテンポに違いがあります。前者の2ペアは”ボケがツッコミを振り回しまくってツッコミの気性が荒くなる”といった所謂「畳み掛け」の部分がありました。M1グランプリなどのショーレースにも同じことが言えますが、この畳みかけの部分が爆笑を生み出すポイントとなり、優勝への分かれ目となります。

この部分が今回の優勝ペアである秋山ノブペアは弱かったです。「畳み掛け」の部分は存在したのですが、少しテンポが悪かったです。それによってボケとツッコミの掛け合いの強さを感じられず、故に相乗効果がイマイチに感じました。ノブってゆっくりとキラーワードなツッコミをするスタイルなので、どうにも畳み掛けの時に掛け合いのテンポが生み出しづらいというか、、、当然相方が大悟ならソレが出来るわけですが。

それならせめてボケの秋山が「畳み掛け」の部分で合わせに行けばいい話ですが、彼のボケも一つ一つが強烈で面白いのですが、どうにも他と合わせるのが難しいんですよね。。。だからピンで活動したことによって、より成功に繋がったのかもしれません。ツッコミを排除してひたすら秋山ワールドを見せたほうがスムーズだったりします。孤高の天才タイプ。くっきーもそんな感じだよね。

でもロバートのコントは面白いし、山本はツッコミとして存在するけど、全然邪魔じゃない。実は山本ってメチャクチャ凄い奴なのかも。。。ちなみに放送前に書いた予想の記事に「山本は居ても良かった気も」なんて書いてました。今後、ロバート山本特集をしてみますか。


〇実験的な試みが多い故に全体的に笑いの量は少なめ

ただ、今回の優勝ペアを否定し過ぎるのも失礼なので、フォローをするとなると、やはり今回のドリームマッチは実験的な試みを披露するペア多かったので、全体的に笑いの量は少なめでした。「笑った」「面白かった」という感想より、「興味深い」「もっと面白くなりそう」という感想寄りです。そういった意味では”お笑いガチ勢”は楽しめる出来と言えるでしょう。ただそこまでお笑い好きじゃない方、”大衆”にはどうだったかは微妙なところです。ハライチ岩井×渡辺直美ペアがバズらせる方向に照準を置いたことで、大衆を取り込むことも出来た気もしますが、それは如何ほどなものか。

話を戻すと、シンプルに「笑った」「面白かった」を生み出すことに成功した秋山ノブペアが優勝することは必然的だったわけです。番組のバランスを考えると、もう1組ぐらいは秋山ノブペアの様に王道スタイルのネタを披露した方が良かったです。

こればかりはどうしようもないですし、バランスを取るためにネタ作成に規制を加えたり、フィーリングカップル形式を排除するのは改悪でしかないので、ルールにテコ入れは不要です。回によって傾向がガラリと変わるのもドリームマッチの醍醐味と捉えましょう。


〇今後のドリームマッチへの適性度

まぁルールを変えずテコ入れをするとなると、大事なのはキャスティング。

ここでは今回の出場芸人のドリームマッチ適性度の高い人と低い人で分けてみます。その後、今後キャスティングするなら、この芸人だ!的な紹介もします。

・ドリームマッチ適性度が高い芸人

オードリー若林、サンドウィッチマン、霜降り明星、ナイツ土屋、ハライチ

全体的にネタにおいてクセが少なめな人がやはり適性度が高いと言えるでしょう。普段通りにボケたり、ツッコんだりすることも出来れば、いつもとは違う一面も見せることが出来る人達でもあります。今後も彼らはキャスティングの際に優先して入れることで、安定感は増すでしょう。

スーパーオールラウンダーの若林と最多出場のサンドウィッチマンは流石という感じ。初出場の霜降り明星とハライチ岩井は普段注目されない才能を見せつけた形です。澤部と土屋はボケのあらゆる無茶ぶりにも対応するカバー力を改めて発揮しました。


・ドリームマッチ適性度が低い芸人

秋山竜次、くっきー、千鳥、ナイツ塙、山里亮太、渡辺直美

クセが強いというか、おそらく相方を変えても普段の芸風以外が出来ない感じ。しかし決して今後キャスティングしない方が良いという意味ではないです。むしろ彼らの存在がドリームマッチの色を作り、強烈なインパクトを生み出すので、この枠は毎回何人かは居るべきです。多すぎると渋滞を起こすけど。全体的にこだわりが強いブレーンが多いのも特徴。

秋山とくっきーは誰と組んでもブレることのない世界観。初出場の千鳥は意外にもクセ強めな芸風の2人であることが分かりました。やっぱりお互いが最高の相方です。ナイツ塙は新しいボケのキャラを発見出来たものの、相方のツッコミには特定の条件が必要っぽい。亭主関白感がある。山里と渡辺は合わせることは出来なそうだが、今回は自分を生かす相方を見つけられた模様。


・どっちとも言い難い芸人

オードリー春日、バイきんぐ、チョコレートプラネット

何も考えないノンブレーンなラジコンの春日と西村は腕利きの操縦士と組めば化ける存在です。ただ組む相方はブレーンじゃないと絶望的です。ブレーンで優秀なツッコミである小峠は意外と思われるかもしれませんが、力強過ぎるツッコミが故に、ボケ側からしたら少々人を選びます。ボケツッコミの垣根がないコントなどでは小峠の存在は浮きやすいと思います。初登場のチョコプラは今回は2人とも魅力を発揮出来なかったので、何とも言えないです。それこそネタによってはボケツッコミが違ったり、垣根がなかったりするので、ある意味オールラウンダーです。適性度が高い可能性を秘めてます。特に長田はブレーンで、しかもオリジナル小道具を作れたりとハイスペックな存在だと思うので、次回こそは期待してます。


・今後キャスティングするなら、この芸人だ!

かまいたち

→今回のメンツの中に居ても一番違和感がなさそう。漫才もコントも一級品の彼らは適性度が高いです。ネタによってはボケツッコミが変わることもあるので尚使い勝手が良い2人。


和牛

→漫才師なのでコントは出来るか分かりませんが、達者な2人なので多分出来るでしょう。逆にコント師が漫才をしてみるパターンはほぼ存在しないです。それぞれ優秀なボケツッコミで味付けが濃すぎない2人ですが、水田は神経質なクレーマー、川西は女形を得意としており、ちゃんと個性を持ち合わせています。


中川家

→何気に一度も出場したことがない2人。漫才師だけど、ライブではコントもやってます。ウィキ情報によると、ダブルブレーンですが、漫才は剛が考え、コントは礼二が考える分業制です。モノマネは両方の担当。唯一の懸念点は剛がストレスでキリキリしないかだけです。


劇団ひとり

→何気に一度も出場したことがない。たぶんやるならボケ側ですが感情に身を任せたツッコミも上手い。秋山と同じ憑依系ですが、劇団ひとりの方が誰と組んでも合わせやすそう。



今、一番推してる金属バットもいつかは出てほしいですが、彼らは完全にドリームマッチに不適正です。千鳥と一緒でお互いが最高の相方。でも見てみたいですよ。




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