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臨床心理士と体癖

体癖を学んでいる臨床心理士や公認心理師はほとんどいないし、出会ったことがほとんどない。自分としては臨床活動の中で大いに活かしていきたいと思っているが、なかなか同業者と話す機会がないことは残念だ(それはアドラー心理学でも同じなのだけれど)。

心理士が体癖を学ぶとどんなメリットがあるのか。
今のところ、以下の3つがあると思っている。

1.アセスメントに活かせる

クライエントと出会うファーストコンタクトの、まだ言葉を交わしていない段階から性格や行動傾向の仮説を立てることができるのは、やはり一番大きなメリットだろう。色々な側面からアセスメントをしていく上で、間違いなく有効な視点だし、実際にこれによって助けられた部分はたくさんある。

類型論はもちろん諸刃の剣になる場合もあるのだが(○種だと思っていたけど☓種だったと後で分かるとか)、類型論を使わずとも仮説は常に立てるわけで、要は使用者の柔軟さと自己モニタリングの精度を上げ、客観的意見がもらえるような場を設けていくことでフォローできる。

2.身体性への注目

体癖論は体型や行動に焦点を当てるため、自然と「頭の中」だけにとどまることから抜け出すきっかけになる。例えば「したいことが見つける」のではなく「何に快を感じるか」に目を向けるなど、理論的なオリエンテーションにもよるのかもしれないが、心身共に目を向けるような姿勢を常に持っていられるのは良いなと思っている。

3.研究の面白さ

体癖論はまだまだ発展途上であり、また自身の体癖によっても用途や解釈は変わってくる。つまり、それだけ可能性を含んでいて、オリエンテーションの研究と合わせてどこまでも深く学んでいくことができる。勉強していて面白い、そのことが何より臨床活動の動機づけとなる。待ちゆく人を眺めるだけで仮説を立てて検討できるのは本当に面白いのだ。

無論、体癖論のみでカウンセリングや心理療法はできない。しかし、ひとつのツールとして持っておくことは、まさに『一生モノ』だと思っている。

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