たみすけ

92年生まれ 思い出やひとりごと。 好きな食べ物はバームクーヘンです。

たみすけ

92年生まれ 思い出やひとりごと。 好きな食べ物はバームクーヘンです。

    最近の記事

    趣味のはじまりはスポットライトの下で【前編】

    誰かから「趣味は何ですか?」と聞かれれば、僕はいつも「ドラムですかね」と答える。 ありがたいことに周囲からは「すごい!」とか「かっこいい!」とか言ってもらえることが多いのだが、なんて事はないただの趣味だ。そして特に上手いわけでもない。 ただ、今になって数えてみると、ドラムを始めてもう12年経ってしまったので、ここまで続いた趣味があるのは自分でも驚いている。 なんでこんなに続けることができたのだろう、と考えると、ふと思い浮かぶ景色がある。 初めてステージに立った日のことだ。

      • 思い出の味は5mmの赤LARK

        大学生時代、僕は実家の近くのコンビニでアルバイトをしていた。 全国各地でよく見られる、緑の看板のコンビニエンスストアだ。 当時生まれて初めてのアルバイトだったので、僕はそこで「働く」ことについて一から学んだ。 接客、レジ操作、品出し、掃除、調理(といっても、おでんやフライヤーの簡単な操作のみ)など。 やることは本当にたくさんあったが、すべてが今の人生に活きていると思う。 当時の時給は720円。シフトは夕勤と夜勤。店長は30代の女性だった。 面接の時、緊張で震えながら手渡

        • 小さな未来を見守る仕事

          11月に入り、少しずつ秋の色が深まってきた。 慌てて僕はクローゼットから長袖や厚い服を引っ張り出す。 朝晩が冷え込んでくるこの時期になると、いつも思い出すことがある。 学生の頃にしていたとあるアルバイトの話だ。 ―――――――――――――――――――――――――― 僕は大学生時代、様々なアルバイトをしていた。 学生バイトとしては定番のコンビニから、怪しげな脳科学実験の被験者までいろいろ経験した。 その中でも特に心に残っているのが、幼児塾のアルバイト。 私立小学校にお受

          • たとえ地獄でも、住めば都

            僕は1990年代、大阪に生まれた。 大阪という土地は、治安の面でいうと本当にピンキリで、高級な邸宅街から超ド級の下町まで様々だ。 僕が育ったのは大阪市内のはずれ、その超ド級の下町。 出身を聞かれて答えると、目上の人からは特に「おぉ…」と明らかに困ったリアクションが返ってくる。 僕はそんな地元の町があまり好きではなかった。 通学路には犬のフンが落ちていて、小学生の頃よく踏んだ。 夜はパトカーのサイレンが毎日鳴り響き睡眠の邪魔をする。 駅前では平日の昼3時からどこかのおっち

            ある朝、死のうと思った日のこと

            ある朝、死のうと思った。 僕はうつを患っている。 30歳になった現在はほぼ寛解し、抑うつ気分が出ることは少なくなったが、発症して間もない大学生の頃は本当に辛かった。 まずひとりで外に出られなくなった。外の世界の話し声が、みんな自分への陰口に聞こえた。大学にも通えなくなり、友人の時間割に無理やり合わせて、なんとか一緒に通ってもらった。 夜は眠れず、朝は起きられなくなった。精神科に通い、強い睡眠薬をもらうと、気絶するように眠り、ますます朝に弱くなった。 そんな自分が、嫌だ

            甲子園は今日も平和です

            今年6月、久しぶりに甲子園球場へ行ってきた。 祖父の代から阪神ファン=トラキチの英才教育を受けてきた僕。 小さな頃から親子で甲子園には足しげく通っていたが、大人になると仕事の忙しさと、幼少の頃に好きだった選手がみんな引退してしまったのもあり少し興味が冷めてしまっていた。 しかし昨年、ある選手を知り、ファンになったのをきっかけに阪神熱が再燃。 もう一度スタンドで見たい!と、はるばるやってきた。一人で。 17時過ぎに阪神甲子園駅に到着。いそいそとライト側の入り口、21号門

            What happens in Vegas stays in Vegas.(旅の恥は搔き捨て)

            僕はいつも、電車通勤、大阪環状線に乗って通勤している。 大阪環状線は、その名の通り大阪の中心部をぐるりと回る路線で、便利さも相まって利用客も多い。 先日、とある平日の18時。一日の仕事に疲れた僕は、大阪駅に着くと同時に環状線のホームへ向かった。 よく、通勤ラッシュの話題になると東京が取り上げられるが、関西の通勤ラッシュも負けず劣らず人が多く、人波に流れて歩いていけば気がつけば環状線のホームまでたどり着いている、なんてことはザラだ。 この日もいつものようにぐったりしながらホ

            ひとり旅は出会いに満ちている【前編】

            あなたは、ひとり旅をしたことがありますか? ぼくは、ひとり旅が趣味のぽんこつサラリーマンです。 ひとり旅が趣味、というとよく周りから「ひとりで行動なんてできない」「ひとりで旅行なんかしてて寂しくないの?」とよく言われます。 ぼくも最初は寂しかったですが、今は平気です。 それは、ぼくが一人旅の「沼」にハマるきっかけになった、とある出会いがあったからです。 今回はそんな話をしようと思います。 旅のはじまり 2017年9月。当時、社会人二年目だったぼくは、初めてまとまった休

            60年前の「ゆとり世代」の話

            先日、職場の先輩と飲んだ。 会話も大いに盛り上がり、気が付けば日を跨いで午前1時。 家に帰れる終電はとうに過ぎている。 仕方なく、タクシーで帰ることにした。 大阪の郊外の駅前、閑散としたロータリーにはタクシーが1台停まっている。ちょうどいい。お世話になろう。 タクシーに近づくと後方のドアが開く。 行き先を告げると静かに動き出した。 ーーーーーーーーーーーーー 「お客さん、見たところ若いね。いくつ?」 運転手のおじいさんに話しかけられたのは、タクシーが走り出して10分

            女子高生ホテルマンがぼくを救ってくれた

            大学2年の頃、リゾートホテルで働いた経験がある。 働いた、といっても、当時あったインターンシップの制度を使って実習に行かせてもらったので、厳密には短期で無給だ。 期間は2週間で、大学が夏休みのお盆期間に受け入れてもらった。 つまりホテルの超繁忙期に無給で働くのだから、ホテルにとってはありがたい労働力だったろうと思う。 当時のぼくは、大学卒業後は観光業界に就職したかったため、この2週間の実習をとても楽しみにしていた。将来のために良い経験を積んでおけるし、業界を覗き見できる

            半分降りたシャッターの先に

            小学生の頃、町外れにある小さな自転車屋に入り浸っていた時期がある。 そこは昔ながらの個人経営の自転車屋で、無精髭を蓄え頭もボサボサの見るからに冴えないおっちゃんが、たった数坪のテナントに所狭しと中古の自転車を並べて売る前時代的な、スーパーアナログな店だった。 そんな小さな店が夕方になると学校帰りの小学生でぎゅうぎゅうに埋まる。 何故か。 主人のおっちゃんはゲームと子供が大好きだった。 お店の奥には小さなブラウン管テレビとゲーム機が大量にあった。プレイステーションやニ

            12年前、ひょんなことからうつになった【ぼくのうつヌケ日記】

            小惑星探査機「はやぶさ」が、長い旅を経て地球に帰還し世間が沸いた2010年、ぼくは高校2年生だった。 部活に勉強に、時々クラスメートに片想いという、今思い返しても甘酸っぱいような青春を謳歌していたぼく。友達にも恵まれ、お正月には当時好きだった女の子と2人で初詣に行くことも成功し、日々は充実していたように思う。 これはそんな僕の、長い長い心の病との闘いの話。 冬休み明けの新学期が始まった教室では、始業式もそこそこにクラスでの席替えが行われた。 ぼくは見事に窓際の席を引き

            はじめに

            はじめまして。たみすけと申します。 1992年生まれの、関西在住の社会人です。 好きな食べ物はバームクーヘンです。 突然ですが皆さんは「うつ病」をご存知でしょうか。 ここ最近になってよく耳にする言葉になってきたように思います。 簡単に言うと脳内の神経伝達物質が、何らかの理由でバランスを崩してしまい、気分や感情をうまく調節できなくなり、心身の不調が表れる病気です。 僕は高校生の時に、ささいなきっかけからうつ病に罹り、現在まで10年以上やっかいな病と付き合いながら生きていま