中国共産党の台湾侵攻に備えない日本政府

■危険度が高まる台湾
 中国共産党は1950年に台湾侵攻を計画していた。台湾侵攻を目的とした、人民解放軍を約60万人用意。だが台湾侵攻直前に、朝鮮戦争で計画が頓挫した。北朝鮮から開戦し、朝鮮半島南部まで侵攻。だがアメリカ軍の反撃で、逆に北朝鮮領まで押し返される。アメリカ軍は追撃し北朝鮮領を侵食。これに中国共産党は危機感を感じ、義勇兵と称して北朝鮮に援軍を送る。

 これで台湾侵攻は消えたわけではなく、チベット・ウイグル・内モンゴルの支配を強化。これで国内問題を強引に消してきた。2000年代に入ると、中国は世界の工場と呼ばれるまで成長。同時に軍事力も強化され、中国共産党は長年の夢である台湾侵攻を成し遂げようとしている。

中国戦闘機、台湾の防空識別圏に侵入 米ミサイル駆逐艦が海峡通過
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 中国共産党はトランプ前大統領と対立すると、台湾侵攻の動きが出始めた。大規模な軍事演習を行い、台湾への防空識別圏への侵入も増加。アメリカは台湾軍への武器供与を拡大し、台湾軍を強化。中国共産党と台湾の口撃は、シーソーゲームの様に続いている。お互いに批判し、お互いの軍事力を見せ付ける。そして回避不可能な領域まで到達しようとしている。

■久しぶりの軍事演習
 昨年の中国共産党は、世界に大規模な軍事演習を世界に見せ付けた。黄海・東シナ海・南シナ海まで広範囲に軍事演習を行い、人民解放軍の武威を示した。だが大規模な軍事演習は消えていき、小規模な軍事演習すら消えていく。

 この原因は後方支援が不足している。中国共産党は戦闘力優先で、戦闘部隊を支援する後方支援部隊の育成を怠った。しかも基地ネットワークの育成も後回しにしたので、武器・弾薬を生産しても、戦闘部隊の補給整備が困難。

中国軍、台湾周辺で軍事演習 米をけん制か
https://www.cnn.co.jp/world/35169036.html?ref=rss

 人民解放軍の久しぶりの軍事演習は規模が小さいようで、中国共産党が派手に宣伝する領域ではなかった。軍事演習は4月5日に行われたのだが、大規模な軍事演習を行うよりも、台湾侵攻用の物資に回したと思われる。

■作戦原則を無視した軍事演習
 軍事演習は敵が居ないだけの戦闘。指揮命令は実戦と同じで、燃料・弾薬の消費も同じ。だから各国の軍隊は、練度向上・維持を目的として定期的に行っている。さらに軍事演習には各国の軍事思想が出るので、定期的な観察は方向性を知る手がかりになる。

 人民解放軍は4月5日に、台湾の東西で軍事演習を実行した。見た目は台湾を2方向から攻撃し、台湾軍の戦力を二分する動きに見える。同時に台湾を半包囲し、台湾侵攻の足がかりを作る動きになる。

 これは理屈の動きであり、3000年の戦争史から導き出された経験則では失敗案。3000年の戦争史が導き出した経験則は、戦力の分散を戒めている。これは作戦原則として記されているのだが、人民解放軍は軍事演習で作戦原則を知らないことを宣伝した。

作戦原則:「火力に予備無し」

 大砲・空爆・空母は火力であり、火力に予備戦力は存在しない。火力は敵軍の拘束と撹乱に使い、最大限の火力を敵部隊に叩き付けることが基本。火力が不足すれば、敵部隊は自由に動ける部隊が生まれ、必ず反撃に出る。この基本を忘れたのが、第二次世界大戦当時の日本海軍。日本海軍は作戦原則を忘れ、ミッドウェイで敗北している。

■日本海軍の失敗
 ミッドウェイ海戦は基本に忠実なアメリカ海軍と、基本を無視した日本海軍の立場が鮮明に記録として残されている。両者は海の機動防御で共通しているが、日本海軍は戦略の中身が、目的・手段・方法であることを理解していなかった。

海洋戦略=目的(制海権の獲得)・手段(敵艦隊+敵基地ネットワークの破壊)・方法(艦隊と基地ネットワークの造成)

アメリカ海軍:ハルゼー提督の作戦構想
日本艦隊をミッドウェイ島付近に誘致し撃破する。

日本海軍:山本提督の作戦構想
ミッドウェイ島を攻撃し、アメリカ艦隊を誘致し撃破する。

 アメリカ海軍のハルゼー提督は、日本艦隊の撃破を手段としていた。それに対して日本海軍の山本提督は、アメリカ艦隊の撃破を目的とした。戦略の基本は、敵軍を撃破することで、目的である制海権を獲得できる。山本提督は目的と手段を間違えたことで、戦略そのものを破綻させている。これが1つ目の敗因。

 さらに山本提督は、2つ目の敗因として、火力である空母艦隊をミッドウェイとアリューシャンに空母艦隊を分散運用した。これは作戦原則に反する作戦構想。南雲艦隊(主力機動打撃部隊)は、ミッドウェイ基地航空部隊の偵察機に探知される。その後、ミッドウェイ基地を自艦隊の航空戦力で攻撃した。ミッドウェイ攻撃は近藤艦隊の任務。南雲提督は作戦計画を忘れ、近藤艦隊の仕事を奪うような戦闘を行った。


ミッドウェイ急襲任務の近藤艦隊:空母1
主力機動打撃部隊:空母4
戦略予備:空母1

アリューシャン攻略別働隊:空母2

 ミッドウェイ海戦の敗北は、偵察機に責任を押し付けられている。実際は目的と手段を間違え、火力の分散を行った山本提督に有る。根底から戦略が無いのだから、生贄として偵察機の将兵を選んだ。ハルゼー提督は日本艦隊撃破を追求したが、山本提督はミッドウェイ攻略とアメリカ艦隊撃破で迷走。戦史に残した教訓は、基本原則を守れ。このことを日本海軍が示している。

■基本原則を理解していない人民解放軍
 台湾の東西で軍事演習を行うと戦力の分散。脅し目的なら金食い虫。実行すれば海洋戦略を知らないことを世界に宣伝する。実際は作戦原則を知っており、敵を騙す目的で軍事演習を行った可能性も有る。

 ならば、実行した将官は馬鹿者として記録に残る。これを受け入れるとすれば、近いうちに正しい作戦原則で台湾侵攻を行うことを意味する。敵を騙すなら己を道化にすることが最適。勝利で己の戦略を戦争史に残せる。

 人民解放軍の将官が作戦原則を理解しているかどうかは、近いうちに明らかになるだろう。人民解放軍による台湾への威嚇は日々増しており、台湾軍の警戒心も高くなっている。だが人民解放軍の将官が基本を忘れていたら、ミッドウェイ海戦の日本海軍の様に敗北する。

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