人民解放軍は張子の虎

■外交圧力の連続
 米中関係は悪化しており、双方が戦争回避に向けた動きを見せていない。それどころか、アメリカは中国共産党を挑発する外交圧力を連続させている。7月28日には、アメリカとオーストラリアは、対中国共産党向けの軍事協力を公言した。それだけに終わらず、オーストラリア・ダーウィンに燃料備蓄基地を建設。そのたダーウィンで、日本・インドなどを加えた国と合同演習をする計画まで公言した。

 7月29日になると在日米軍司令官は、尖閣諸島問題で日本を支持することを公言。尖閣諸島で連日中国共産党の命令で中国船が侵入している。これは日中の領土問題だが、アメリカは積極的に米中関係にすり替えている。

在日米軍トップ 中国による尖閣侵入に言及「日本の姿勢を100%支持」
https://www.epochtimes.jp/p/2020/07/60206.html

■海の縦深防御
 アメリカ海兵隊は今後の計画を公表したが、大雑把には内陸作戦から海岸部での戦闘に変更。戦車隊を削減し、代わりに地対空ミサイル部隊・地対艦ミサイル連隊を増設する。さらに沖縄・グアム・ハワイに配置することを公表した。

 アメリカ海兵隊は敵前上陸作戦が前提であり、内陸作戦はアメリカ陸軍の任務だった。だがアメリカ海兵隊も内陸部での作戦が多くなり、任務が拡大することで過剰な装備が増加したのも事実。そこで海兵隊の基本に回帰し、上陸作戦と島の防衛に適した任務と装備を追求している。

 アメリカ海兵隊とアメリカ海軍が連携すれば?アメリカ海兵隊が島を防御し、アメリカ海軍は防御の傘の範囲内で機動防御を行える。アメリカ海兵隊が島で敵戦力を拘束し、アメリカ海軍が敵戦力を打撃する。

 これは実際に第二次世界大戦中に、日本海軍に使っている。典型的な戦例はミッドウェイ海戦。ミッドウェイ島の航空戦力が日本海軍を拘束。この間にアメリカ海軍は機動防御を行い、日本海軍に損害を与えた。

 ミッドウェイ海戦における日本海軍の敗北の原因は、根本的な戦術・戦略の欠落。さらに作戦原則を無視したことが敗北の原因。余談だが敗北の原因を索敵にしているが、これは生贄にされただけで、戦術・戦略の無い作戦に原因が有る。

 アメリカ海軍とアメリカ海兵隊は、基本に回帰し人民解放軍に対抗している。アメリカ軍は沖縄・グアム・ハワイで機動防御が行える様にしており、しかも海で縦深防御が行える様にしている。だが広い海で戦場を限定できるのか?

 太平洋は広いが、海戦の基本からは逃れられない。海戦では戦場に近い海域に基地・泊地となる島が必要。島から水・食料を補給し整備しなければ制海権を得られない。制海権は基地から戦場を継続的に往復することで獲得できる。

 継続的に往復するためには、可能な限り戦場に近い島が求められる。だが、海では島は限られている。これが原因で、3000年の戦争史では95%の確率で島の付近で海戦が発生している。

■オーストラリアの価値
 オーストラリアで燃料備蓄基地が合同で使えるなら、アメリカ・オーストラリア・日本連合軍は、太平洋で長期戦が可能。しかもインド洋での長期戦にも対応可能。それに対して人民解放軍は、太平洋に有力な軍事基地を整備していない。これは人民解放軍が、太平洋で短期戦しかできないことを意味している。

 これは海戦・空戦では致命的で、基地から継続的に往復できなければ制海権・制空権を獲得できない。仮に中国本土からグアムまで進出するとしても、沖縄の戦力との交戦が発生。次にグアムで交戦。さらに本土の基地まで帰還するには沖縄の戦力との交戦。これでは人民解放軍の戦力が消耗するだけ。

 人民解放軍が沖縄攻略を実行した場合は、アメリカ・オーストラリア・日本連合軍は安全な後方から安定した補給を受け取れる。さらにオーストラリア基地の安全が保たれ、インド洋の作戦を支援することが可能になる。

 人民解放軍は一帯一路構想でインド洋の作戦も想定されているが、人民解放軍にはインド洋で作戦を行う有力な基地が無い。これでは人民解放軍がインド洋で作戦することは自殺行為。それだけオーストラリアの軍事的価値は高い。

■尖閣諸島と日米地位協定
 日米地位協定では、尖閣諸島は空白地帯の一つ。基本的に尖閣諸島はアメリカ軍の担当外。理由はアメリカが日本の政治に巻き込まれないため。本来は日本の自衛隊が防衛を担当し、日本単独で解決する海域なのだ。

 問題になるのは日本の政治家の方針。日本の政治家には、「自国は自国の軍隊で守る」気概を持つ者が少ない。これが原因で中国船が連日尖閣諸島に侵入している。これでは尖閣諸島が失われ、アメリカも使う海上交通路を失うことになる。これではアメリカが困るので、在日米軍は尖閣諸島で自衛隊が活動すれば支援すると公言した。

 つまり尖閣諸島は日米地位協定の空白地帯だが、状況の変化で在日米軍が積極的に関与することを意味している。それだけ米中対立は深刻。アメリカは日本を代理人として中国共産党に関与したい。中国共産党は日本への外交圧力で強気に出たが、逆にアメリカに利用された。それだけアメリカが米中戦争を覚悟している証。

 米豪日の連合になれば、太平洋は基地ネットワークで覆われる。そうなれば基地ネットワークが無い人民解放軍の作戦は困難。強引に実行すれば人民解放軍の敗北は確実。人民解放軍の装備は近代化したが、基地ネットワークは無いも同然。つまり人民解放軍は張子の虎。

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