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Day2 ブックレビュー「著者は経V字回復の経営―2年で会社を変えられますか」

目の前にある課題解決のヒントが得られそうか。そんな基準で年間100冊以上を目標に読書するようにしています。中でもnoteでは私の独断と偏見で90点以上に認定した本をご紹介したいと思います。

今回は「V字回復の経営―2年で会社を変えられますか 企業変革ドラマ」(日経ビジネス人文庫)という企業再生物語です。

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見せかけだけの再建、不発続きの改革、危機感のない従業員達を静かにむしばむ知られざる赤字。これを打開するために外部から投入された黒岩達は行動を開始していきます。

物語の舞台や登場人物はフィクションですが、出来事や人物等の素材はノンフィクション。サラリーマンやマネジメント経験がある方には自分自身を重ねて読み進めることができるでしょう。理論や理想に留まらない現実的な内容になっています。

この本の強みはどの頁からも強い組織作りのノウハウ、教訓、心理術といった帝王学を学べることでしょう。巻末にある「不振事業の症状50」「改革を成功へ導くための要諦50」は行動を変えるヒントが詰まっています。

私はこの本からリーダーとしての視点を持つことについて考えさせられています。私が初めてマネジメントをしたとき、メンバーは元経営者、新卒、学生でした。メンターについたのは社長。一言でいうとひっちゃかめっちゃかでした(笑)毎日怒られて毎日喜んで。よくあんな体験ができたなと思います。

人は責任を引き受けたときに初めて景色が変わる。

責任を引き受けると会社もメンバーそれぞれの期待値で様々に成果を求めてきます。会社の展望、チームの目標、メンバーのモチベーションの管理、顧客満足度の向上、新商品企画、プロ論の担保。一つ一つの判断に複数の意味がもたされその影響力は大きいものでした。それでも背負うものを背負って初めてスタートライン。自分を信じる強い気持ち、その気持ちを保つために日々の発信や行動には非常に重要な意味がありました。ビジョン・行動・思考が一致しているか。メンバーもそれをしっかり見ていて、私の中でそれらが一致しているときはチーム全体の生産性がものすごく上がったものです。

世の中には様々な人格のリーダーがいます。そんなリーダー達に共通する資質や行動指標を本書からほ少しだけ感想とともにご紹介しておきましょう。

●ひとつ上の階層に居る上司が早め早めに積極的に動くことしかない。配下のタテヨコの矛盾を自分で嗅ぎまわり問題を自分でいち早く吸い上げる。下の者が妥協的な案を固めてしまう前の多少まだ生煮え段階で積極的に入り込んで本来とるべき戦略や基本思想をインプットしてやることが必要。———これこそ真のリーダーがとるべき行動。積極的に入り込むことができるのは本当に実力と責任感がある人だけ。クチだけの人はこれができず教育のためとか他責にして逃げる。自分が今そうなっていないか自戒を込めて読む。

●ガンバリズムは古臭いなんていうのは絶対に間違いです。米国のベンチャーなんかガンバリズムの塊ですから。朝食のミーティングから始まって夜中まで。週末には家に仕事を持って帰るし。———ワークライフバランスとはときに綺麗事ではないかと思う。頭捻って走り回って泥臭いこともして汗をかいた経験や努力の積み重ねが組織人としての筋力に差をつける。思いっきりどハマりしよう。

●商品の基本サイクルは「創る→作る→売る」。———“創る”は重要度が高くて緊急度が低いフェーズ。7つの習慣でも言われているように実は一番力を入れるべきだ。変化する世の中、未来のために先回りする体制でありたい。この商品の基本サイクルをいじりまわす最大の目的は、実は幹部や社員のマインドを一つにすることだという。皆が目的と意味を共有すれば、皆の行動が束になってすごいエネルギーが生まれ組織改革も加速する。

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●人選のカギは「気骨」と「論理性」のあるやつ。それさえあればあとはめちゃめちゃどついて鍛えればすぐ光ってくる。———人は必ず下のA~Eまでのいずれかに該当する。今回起用された組織再生の中核メンバーは皆A3積極行動型に適合する人材だった。パレードの法則がここにも当てはまりそうだ。あなたは今どこに属しているだろうか。上位20%に入る努力をしよう。残り80%はないも同じ。更に、元気な組織とは感情の起伏が激く褒められたり悔しかったり痛かったりを豊富に体験させる組織であるという。動物園みたいな多様性ある組織こそ案外強い組織なのかもしれない。

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この本の著者は、三枝匡(さえぐさただし)氏。ボストン・コンサルティング・グループの一人目の日本人社員をだった彼は、退社した後は事業再生の専門家としてコンサルティング会社を起業し、複数社の企業再生を成し遂げた方です。ミスミグループを超優良企業へと生まれ変わらせた経営手腕でも有名です。

その華麗なる経歴と学びと深い感動にこれだけ安価で触れることができるなんて。改めてコスパが良い本だと推薦します。サラリーマンの皆様、サラリーマンを支えるご家族の皆様には是非一度手にとって読んでみていただきたい。働くことの面白さと誇りを思い出し、身体にエネルギーがみなぎってくるのを感じられるはずです。

控えめにいっても、働くことへの意識を変えてくれる、そんな本です。

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