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月刊「ぶんぶくちゃいなノオト」

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#一国二制度

【ぶんぶくちゃいな】仕組まれた権力の罠:「一国二制度」下の香港区議会選挙

12月10日に投票が行われる香港区議会議員選挙への立候補受付が10月30日に締め切られた。そこで、香港民主派の「惨敗」が確定した。

区議会議員の選挙は4年に1度行われることになっている。前回2019年の選挙は同年11月に行われ、投票率はこれまで香港で行われたすべての選挙を上回る71.23%を記録した。区議会はこれまでずっと親中親政府的な立場を採る「建制派」が牛耳ってきたが、この選挙で争われた合計

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【ぶんぶくちゃいな】台湾海峡「演習」で疲弊したのは一体誰か?

「実のところ、台湾人はもうすっかり中国との関係なんて大して話題にしなくなってるんだよな」

台北にいるFが言った。香港紙に出ていた「国民党はすでに党内路線を『親米愛台』に定めており、ペロシ米下院議長の訪問を歓迎する姿勢を見せている」という論説の真偽について尋ねたときのことだ。その時、彼が抱えていた最大の問題は、彼の家を含む一部地域が停電していることだった。

「大型モニタが使えず、ラップトップコン

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【ぶんぶくちゃいな】新行政長官ほぼ決定! 今後の香港を占う

本日午後、わたしは香港特別行政区行政長官に、香港特別行政区政務長官職務の辞職願を提出し、同時に行政長官に「香港基本法」第48条第5項に基づいて中央人民政府にわたしの政務長官職務解任を申し出るよう提言しました。辞職の理由として辞職願には、もしわたしの辞職が中央人民政府によって認可されれば、わたしは次期行政長官選挙に参加するつもりであることを書き添えました。

4月6日午後、李家超・政務長官は記者会見

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220403 「毎日新聞政治プレミア」寄稿:1日5万人!大パンデミックの脅威から見えた香港のいま

220403 「毎日新聞政治プレミア」寄稿:1日5万人!大パンデミックの脅威から見えた香港のいま

毎日新聞のオンラインページ「政治プレミア」に、香港の新型コロナ感染事情がなぜここにきてここまで悲惨な状況になったのかを分析、説明しています。

正直、この視点で理解するのはここ数年「しか」見ていない人には出来ないと思います。わたしも日々の流れに乗るばかりでうっかりしていたのですが、現地での政府の空回りを見ていて、わたしがかつて香港に暮らし始めて気がついた香港の制度を思い出し、「あ、原因はここや」と

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211231 「ダイヤモンド・オンライン」寄稿:中国が望む「正しい選挙」とは?香港選挙期間中の摩訶不思議なアレコレ

12月19日に行われ、過去最低の投票率となった、香港の最高議決機関立法会議員選挙。有権者になるにはまず有権者登録が必要な香港で、有権者数は過去最大の477万人を集めながら、過去最低の投票率というのはつまり、明らかに市民による「ボイコット」でした。市民の気持ちを二重三重に萎えさせた政府や親中派のあの手この手をまとめました。

【ぶんぶくちゃいな】珍説「投票率」まで飛び出す、混迷する香港立法会議員選挙

この原稿を書いているのは12月18日。明日19日はとうとう香港立法会議員選挙の投票日である。立法会は香港の最高議決機関であり、今回の選挙は2019年の大規模デモ(反政府デモ)後初めてその議員を選出する選挙となる。

わたしは、香港の市民権を持ってはいるがまだ「永久居民」ではない。永久居民というのは、ほぼ香港で生まれ育った人たちと同じ権利を有する市民のことで、ある一定の居住期間を満たした上で申請によ

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【ぶんぶくちゃいな】香港の叫びを忘れない:「理大囲城」から「時代革命」、そして台湾

「中国ニュースクリップ」でもご紹介した通り、10月14日まで行われていた山形国際ドキュメンタリー映画祭のコンペティション部門で、2019年に香港で起きた一連のデモの大きな山場となった、香港理工大学包囲事件を描いた「理大囲城」が大賞にあたる「ロバート&フランシス・フラハティ賞」を受賞した。

今年は同映画祭がオンライン上映としてくれたおかげで、わたしも自宅にいながらにしてやっとこの「理大囲城」を観る

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【ぶんぶくちゃいな】削られる香港市民の権利と自由:「選挙は一体だれのため?」

2021年が始まってまだ3月に入ったばかりだが、香港では1カ月ごとに政治環境や社会制度が七転八倒のような変化が起きている。

2月末の中国政府における、香港とマカオの行政特別区の上部機関である中央政府駐香港連絡弁公室(以下、「中連弁」)トップが「愛国者治港」(愛国者が香港を治める)宣言が一つのスイッチになった。故・トウ小平も使ったこの言葉が文字面は全く同じでも、その意図する意味が根本的にすり替えら

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【ぶんぶくちゃいな】習近平版「南巡講話」に見る威勢と虚勢

【ぶんぶくちゃいな】習近平版「南巡講話」に見る威勢と虚勢

10月12日午前、ネットで2日後に予定されていた、林鄭月娥/香港行政長官による4回目の「施政報告」の内容についての予想論評を読んだばかりのところに、突然「施政報告延期」のニュースが流れてきた。

林鄭長官は延期を告げる記者会見で、この日の朝に新華社が発表した習近平・国家主席の南方視察スケジュール、そして14日に行われる「深セン経済特別区設立40週年記念式典」出席に触れ、施政報告発表がこの式典と重な

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200623 「現代ビジネス」寄稿:《中国政府が進める香港への「恐怖支配」…狡猾なやり口が見えてきた》

週末必死に書きました。

実は先週半ばに一旦書き上げて、ほぼ配信する準備まで出来ていたところに新華社が国家安全維持法の内容を「かいつまんで」報道。甘い予想もしていた(反省)ところもあり、がっつり構成を変えて書き直しました。

個人的には「くるぞ、やるぞ」の後に「かいつまんで」報道がきた、というのは予想通りであり、中国はいっぱい(自分的には)伏線を敷いたんだろうな、というのがよく見える「公開」の仕方

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【ぶんぶくちゃいな】「港人治港」が向かうべきところ

巷が、今北京で開かれている全国人民代表大会(全人代)での「香港に国家安全法導入を検討」のニュースで大騒ぎになっている中、ちょっとヒートアップした頭を冷やしていろいろ考えてみたいと思った。

なので、大騒ぎになってガンガンに熱くなった「話題の中身」に手をつけてヤケドをする前に、と情報を探していたら興味深い資料を見つけた。

香港独立監察警察クレーム処理委員会(以下、監警委)の元英国人専門家、クリフォ

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【ぶんぶくちゃいな】ポスト新型コロナ期の香港 急速に進む秋選挙狙い撃ち

日本と中国は、正月を含めて休日の概念がまったく違う。もちろん、世界中それぞれの国の記念日や歴史から祭日祝日が違うのは当然だ。だが、正月の概念すらも中国では春節がメインであり、元旦は「ただの休み」でしかない。一方で香港では植民地時代の宗主国イギリスの影響がいまだに色濃く残っていて、クリスマスからその一週間後の元旦を含めた10日から2週間がそれなりに休暇ムードになるので、あまり違和感はないのだが。

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【ぶんぶくちゃいな】中国政府の対香港人事「シャッフル」は何を意味するのか

「寂しい香港コロシアム、コンサートのキャンセル、そして待ちわびるかつての栄光復元」
「香港オーシャンパーク、連続4年の赤字 観光客6割減」
「香港ホテル業界、過去最悪のクリスマス」
「今年の冬は辛い香港商業界」
「歴史的最高価格から下落 悲喜こもごもの香港不動産業はどうなる?」

昨年末から今年初めにかけて、ニュースチェックをしていたわたしの目に止まった、中国のニュースメディアの香港報道のタイトル

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【ぶんぶくちゃいな】香港市民が模索する、香港式「一国二制度」

「逃亡犯条例」改訂案の議会提出をきっかけに始まった香港の市民デモ、6月に100万人、200万人の市民が街に繰り出して抗議の声をあげてから1ヶ月が過ぎた。驚いたことに、今でも毎週末に関連デモが続いている。

「逃亡犯条例」の改訂草案自体は、7月1日の立法会議場突入を受けて「寿命を終えた」と行政長官は発表したが、まだ現役でもない草案が「寿命」とは何たる言いぐさ、なぜ「撤回」と言わない?!という声は根強

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