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月刊「ぶんぶくちゃいなノオト」

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中華圏の現地でどのような注目の話題があるのか。必ずしも日本とは関係のない、また日本では話題にならな… もっと詳しく
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#新型コロナウイルス

【ぶんぶくちゃいな・全文無料公開】武漢新型コロナ患者・その後:社会復帰を阻む差別

先月ご紹介した、謝海涛さんによる新型コロナウイルス肺炎の後遺症についての記事は、多くの方々に読んでいただくことができました。武漢に残って取材を続ける謝さんから続編が届きました。新型コロナから回復したはずの人たちを巡る差別の問題です。苦しく、また体力的にも辛い治療を経てやっと治癒したはずなのに、親しかった周囲の態度の激変にショックを受ける元患者たちの姿。今回も謝さんの許可を経て、そのルポルタージュを

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【ぶんぶくちゃいな・全文無料公開】見えない痛み:新型コロナ後遺症に苦しむ武漢の患者たち

今回は中国のフリーランスジャーナリスト、謝海涛さんが武漢市の新型コロナウイルス肺炎罹患者のその後を取材した記事を、謝さんの許可を得て全文公開します。中国ではほとんど伝えられていない新型コロナ患者の「後遺症」問題。謝さんは3ヶ月以上かけて洪水の危険にさらされた武漢に滞在して取材、発表しました。なお、できるだけ多くの人に読んでほしいという謝さんの希望により、今回の「ぶんぶくちゃいなノオト」は全文無料公

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【ぶんぶくちゃいな】ポスト新型コロナ期の香港 急速に進む秋選挙狙い撃ち

日本と中国は、正月を含めて休日の概念がまったく違う。もちろん、世界中それぞれの国の記念日や歴史から祭日祝日が違うのは当然だ。だが、正月の概念すらも中国では春節がメインであり、元旦は「ただの休み」でしかない。一方で香港では植民地時代の宗主国イギリスの影響がいまだに色濃く残っていて、クリスマスからその一週間後の元旦を含めた10日から2週間がそれなりに休暇ムードになるので、あまり違和感はないのだが。

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【ぶんぶくちゃいな】中国国内で高まる「承認欲求」と台湾叩き

「日本企業を逃がすな!」(別譲日企跑了)。

先週、朝のニュースチェックをしていたら、こんなタイトルの記事が目について、ぎょっとした。

中国メディアに「別譲◯◯跑了」(逃してはならない)というタイトルの記事が踊るのを見るのはこれが初めてではない。4年ほど前には、「李嘉誠を逃がすな」という、国有通信社「新華社」傘下のシンクタンクが発表した記事が出現して、物議を醸した。

香港のトップ富豪である李嘉

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【ぶんぶくちゃいな】「大砲」拘束の衝撃:火を噴いたポスト新型コロナ「内」戦

2月は「ウイルス対抗全面戦争」にのぼせ、一息ついたら3月になって海外に向けてつばを飛ばしてムードだけでも「戦後賠償」を求めようとした中国政府が、4月に入って国内の「戦犯」処理に入った――7日夜からばらばらとSNSのタイムラインを駆け巡った、元国有不動産企業の董事長、任志強氏の拘束、取り調べ情報を見たとき、真っ先にそう思った。

わかりやすいといえば、非常にわかりやすい。中国の「戦時体制」ムードにつ

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【ぶんぶくちゃいな】「ロックダウン下の灯火」作家方方の武漢日記

来週の4月8日、新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけとなった湖北省武漢市の封鎖がようやく解かれることになった。1月23日午前10時に外部との往来をシャットダウンされて以来、なんと77日ぶりの「開城」である。

この間、突然の前代未聞の都市封鎖、そして正体不明のウイルス感染という二重三重の恐怖の中、徹底的な不便を強いられた市民は、それでも大きな混乱を起こさず、怒りを爆発させることもなく、この日を乗

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200327 「現代ビジネス」寄稿:中国政府が、コロナ危機で「戦時ハイ」になっていた…その危うさ

日本でも深刻な事態に入って、「欲しがりません、勝つまでは」といった戦時用語を振り回す人が出てきました。でも、この記事を読んでいただければわかるように、現状を安易に戦時ムードに喩えてしまうと、さまざまな解釈が進み、個人の基本的な尊重される権利までが踏みにじられる恐れがあります。

「欲しがりません、勝つまでは」はその最たるものです。欲しがっていいのです、でも近くのスーパーに食材がなければ、我慢するの

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【ぶんぶくちゃいな】まだまだ続く、中国の「新型コロナ」戦時気分

前号「『戦勝』に酔う中国政府vs.『戦争』責任を問う市民 」でご紹介した、武漢市中心医院の艾芬医師のインタビュー記事騒ぎ後の1週間、中国ではメディアを舞台に、さまざまな「情報合戦」が展開された。

「合戦」と呼んでいいのかどうか、迷うところなのだが、間違いなく政府はメディアや報道を利用して情報を待つ人たちの心をつかもうとしている出来事が続いた。今回は簡単にその動きをまとめておきたい。というのも、今

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【ぶんぶくちゃいな】「戦勝」に酔う中国政府vs.「戦争」責任を問う市民

「【ぶんぶくちゃいな】新華社の『謝罪しろ、感謝しろ』に見る中国戦時ロジック」で、やっとのことで新型肺炎の確定患者数の伸びが下がり始め、これまで国内に向けて感染事情の抑制を「戦時」に置き換えて「戦時ムード」を振り巻いてきた中国政府が、今度は中国人の「犠牲」を手に握り、世界に向けて「戦後賠償」を求め始めたと書いた。

それから1週間後、中国政府は明らかな「戦勝」ムードに酔い始めた。実際ニュースチェック

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【ぶんぶくちゃいな】新華社の「謝罪しろ、感謝しろ」に見る中国戦時ロジック

ニュースクリップでもご紹介したが、中国の国有通信社、新華社が「はっきりと胸を張って言う 世界は中国に感謝すべきだ」という記事を掲載した。

この記事はもともと新華社内部で書かれたものではなく、SNS「WeChat」で利用者が自由に登録して記事を配信する「公衆アカウント」の一つが発表したもの。「黄氏の金融話」というそのアカウントは深セン市に拠点を持つ、投資相談や投資テク講座を展開する私企業が主宰して

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【ぶんぶくちゃいな】武漢肺炎:女性医療者の涙

今週、日本では神戸大学医学研究科感染症内科の岩田健太郎・教授が、横浜港で係留中の「プリンセスダイヤモンド号」(以下、クルーズ船)における新型コロナウイルス措置についてコメントした動画が大きな話題を呼んだ。

簡単に言えば、「現場の管理はダメダメで恐ろしい」ということをさまざまな面から説明する内容だった(文字の書き起こし版はこちら )。そしてやはりというか、日本ではもうお約束というか、まずこの動画で

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【ぶんぶくちゃいな】新型コロナウイルス「人事」、強権発動の裏にあるものは

中国画の大家に徐悲鴻という作家がいるが、彼の著名な作品の中に「八駿図」という、八頭の馬がそれぞれに力強さをみなぎらせて駆けている様子を描いたものがある。このところ、どんよりと重い新型肺炎騒ぎに包まれている中国で、これをもじったギャグ「湖北八駿図」が流行っているという。それは、こんな感じだ。

 一問三不唐志紅,   何度問うても「分からない」唐志紅
 準備不足邱麗新,   準備不足でごめんなさいの

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【ぶんぶくちゃいな】新型肺炎騒ぎに彷徨う香港

李文亮医師が亡くなった。

「【ぶんぶくちゃいな】武漢人」でもそのインタビューを紹介したとおり、昨年12月の時点でSNSグループ内で「SARS患者が出た」と大学同級生たちに注意を喚起した結果、公安局に「不実な情報を拡散した」として訓戒書にサインさせられた、武漢市中心医院の眼科医だ。訓戒書のわずか1週間後に発熱して入院、先月末には症状が反復してICUに収容されつつも、オンラインで名乗り出て一躍「時の

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【ぶんぶくちゃいな】武漢人

中国のSNSで「武漢封城」という文字を見た時、よくやるように自分が見間違えたのだと思い、軽くやり過ごした。指を繰り続けると、またも「封城」の文字が。えええーっとびっくりして、慌ててそこでシェアされた記事を開き、初めて武漢市が本当に「封鎖」を宣言したのだと知った。

こんなとき少しでも中国と付き合いのある人なら、すぐに自分の知り合いに武漢出身者はいなかったっけ?、と振り返るはずだ。わたしには10年以

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