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模擬授業で実力は測れるのか?

 日本語教師になろうとすると、いきなりフリーでは始められせんからどこかの日本語学校に勤務することになります。そこで待ち構えているのが「模擬授業」です。私は、こう見えても8校受けて全て採用の連絡を頂戴しているので、そこそこの(平均よりは上の)日本語教師だとは思っているのですが、この模擬授業、一度もうまく行ったことがありません。模擬授業の生徒役はその学校の先生方が務められることが多いのですが、これが何ともやりにくい。日本人だし、外国人じゃないし、日本語めっちゃうまいし。たどたどしく外国人風に話したり、質問したりしてくれますが、これがどうにも寒々しい。授業するこちら側のモチベーションが全く上がらないのです。生徒役の先生方には意地悪な答え方、意地悪な質問をされる方もいます。わからない人に教えてあげるのは気持ちいいのですが、わかってる人に聞かれても・・・、という感じです。意地悪な質問には、私も意地悪で返すことがあります。フィリピン人想定の先生に「フィリピンのおすすめの観光名所やおすすめの食事を教えてください」とか。だいたい答えに窮します。フィリピン人じゃないですもんねぇ。
 生徒もニセモノですし、こちらもニセ生徒相手ではモチベーションも上がりませんし、こういう模擬授業という形態がどこまで日本語教師の実力を測れるのか、はなはだ疑問です。
 もし私が日本語学校の校長や教務主任なら、実際のクラスに入ってもらいます。最初の30分くらい導入を実地でやってもらう。採用側はその様子を見ていればよろし。これで十分実力は測れるし、臨場感ある授業で教師も勉強になるはず。教師の授業に過不足があれば、本物の先生がフォローすればよい。模擬授業ではなく「実践授業」という考え方です。名称は、「実習授業」「テスト授業」、何でもいいですが。
 ぜひこの「実践授業」を日本語学校で取り入れていただきたい。そのほうが採用される側もやる気が出るし、勉強にもなる。失敗してもそれはリアルな反省となって返ってくるので、その人の糧になるはず。あの、クサい小芝居が入る模擬授業を廃止にしましょう!

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