山本解析力学 §1.6.2

1形式はQにおける1ベクトルを、多様体全部に広げた双対ベクトル場である。
1形式という名から想像できんが、たしかにベクトル場のたぐいである。
あるベクトル場の1形式をω、別のベクトル場の1形式をσとしてこれらはベクトル空間を張る。ベクトル場とベクトル空間を混同してはいけない。ベクトル場はある点Qに作用し接ベクトルvQを像とする写像であり、ベクトル空間はベクトル空間の公理の成り立つ集合である。
1形式はベクトル場と同じく、点Qから1ベクトルdfQを対応づける「場」である。
1形式ωとベクトル場vとの双対内積は関数であって、「ベクトル場vに1形式ωを作用させて得られる関数」という。1.6.20は全て関数であって、Qに作用させてはじめて実数となる。

1形式を用いることで、関数fの全微分や全導関数を表せる。というか、全微分の表現そのものをよく見るとベクトルの成分と基底の線型結合となっているのだ。全導関数の表現はdfをv方向へ射影するということになろうが、もはや抽象的で想像がつかない。

全導関数の導出は丁寧に記載してあるが、自問しながら考えてみると、

1形式はベクトル場に作用させると、函数すなわち0形式となる。x^nの微分がnx^(n-1)とパッと思いつくといったように操作のみに焦点を当てる操作主義の視点から見れば、マシン<ω|●>としておけば良い。●にベクトル場を入れると0形式すなわち関数、何にも入れなければ1形式を表している。

1形式とは何かの関数の全微分dfだから、fがxyzで表されようが、rθφで表されますようが物理的には変わらないはずである。したがって1形式は座標系によらない幾何学的対象であって、共変性をもつ。

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