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医師のタスク・シフトは進むのか?

医師不足の地域などで医師の業務を移管する「タスク・シフト」を進めるため、医師の業務を担うための看護師の研修を受講しやすくしたり、その対象範囲の拡大を検討したりする。

医師不足の対策として、医師の業務を軽減する「タスク・シフト」を進めることについては、今後も高齢社会で医療ニーズは増え続けると思うので賛成です。しかし、医師の業務を担うための看護師の研修を受講しやすくしたりすることで、タスク・シフトが実現するとは思えません。

なぜなら、看護師にとっては、高度な医療行為を担いリスクを抱えることになるにも関わらず、インセンティブがあまりにも少ないからです。元々、看護師は医師の指示のもとで一定の医療行為はできますが、さらに難易度の高い特定の医療行為については、国の研修を受講した看護師が担える制度がありました。しかし、本制度が始まった2015年以降、研修が長時間に及ぶなどの理由で普及が想定通りに進まなかったという現状があります。おそらくですが、普及が進まなかったのは研修が長時間に及ぶだけではなく、先ほども言及したように、リスクと負担を抱える割にインセンティブが少ない、ということもかなり影響しているでしょう。もしやるとすれば、報酬に関しても変化させていくべきで、看護師の報酬を医師に近づけるべきだと思います。

このように現状では看護師にタスク・シフトさせるのは難しいと思うので、私は医師のタスクをAIにシフトさせていったらいいと思います。例えば、最初の診察はAIが担当して、より高度な判断が求められるものや手術は医師が対応する、というような感じです。そして、医療情報や医療行為には高い信頼性が求められるので、その信頼性のチェックの部分は国が行い、お墨付きを受けたAIだけを現場で使えば問題も起きないと思います。

最後に、マクロな視点からも考察しましょう。日本は世界的に見ても「少子高齢化」が深刻になっています。逆に言えば、少子高齢化に伴う問題、例えば医療リソースの逼迫や介護人材不足を解決することができれば、そのノウハウやテクノロジーを海外に輸出することができます。つまり、「医療・介護分野」が日本の一大産業になる可能性があるのです。だからこそ、今回取り上げた「タスク・シフト」に取り組む意義は大きいし、国はもっと本腰を入れて医療・介護分野の変革に取り組むべきだと僕は思います。今日は以上です。

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