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オートチェスとその類似ゲームたちについて

オートチェスは今年1月に誕生するとともに爆発的な人気を集め、それはそれはもうヤバかった。ヤバいゲームというのは徹底的にパクられ、急速に広まる運命にある。Dotaやハースストーンがそうだったように。そして、2019年、ヤバいゲームがパクられるスピードは光の速度に接近しつつあるというわけだ。

最初は「Dota Auto Chess」というDota2のカスタムゲームだった。開発してるDrodo Studioは五人ぐらいしかいなかったらしいし、会社とかじゃなかった。なにせ元はMOD(のようなもの)なので、ソフトウェアをゼロから作るって感じじゃないっぽい。「Dota Auto Chess」は(未だに)Dota2のマッチングシステムを利用しているのでスキルマッチアップ――つまり、弱いやつは弱いやつと対戦し、強いやつは強いやつと対戦することになるというシステム――がま~マトモに機能していない。マネタイズも(キャンディとかあるにせよ)構造上困難だし、とっとと独立クライアントを作る必要があった。そうしてDragonestとの協力のもと開発されたのが「Auto Chess」であった。「Auto Chess」という言葉は現状ジャンル名のように用いられるが固有名詞であり、単にオートチェスと言った場合はこの「Auto Chess」のことを指す。

このアプリ版、ちょっと出るのに手間取ってしまった。オートチェスが海外で最もホットだった2,3月ぐらいにはまだベータ以前だったのだ。「Dota Auto Chess」は4月に入ると日本語化され、にじさんじのvtuberやLoL界隈などのゲーム実況者に取り上げられ始め国内ブームに火がついたが(ちなみにオレもこの時点でプレイを開始した)、iOS版の登場は6月までなかった。

光速で進むゲーム業界のスピードにオートチェスは追いつけなかった。NetEaseのMOBA「決戦!平安京」がガンガンにオートチェスをパクった「平安京麻雀棋」というコンテンツのテストを開始したのが5月。それに付随してオートチェス日本語化チームのアカウントがブチ切れ、プチ炎上が起こったりした(炎上のオレ個人的なまとめはこちら。有料です)。ご存知の通りゲームのルールそのものには著作権がない(らしい)。マリオに似てるゲームや、テトリスに似てるゲームや、ハースストーンに似てるゲームが世の中に溢れているのはそのためだ(そしてそのハースストーンも何かに似ている)。なのでここで問題になったのは「決戦!平安京」が広報の際に用いた「オートチェスコンテンツ」という呼称だった。前述の通り「Auto Chess」というのは固有名詞である。しかし、実態として、固有名詞としては用いられていないという現実もあった。かつてMOBAが「DOTA系」と呼ばれていたように。「Auto」も「Chess」も、あまりに一般名詞的すぎるのだと思う。

「Auto Chess」とGoogleplayで検索すると数多の「Auto Chess」を名乗る類似ゲームがひっかかる。そして結果だけ見れば「決戦!平安京」はここのリザルトにいないのでまだ節度があるといえる。

5月末ごろ、「Dota Auto Chess」の大本である「Dota2」の開発元であり、Steamを運営しているValveが(Drodo Studioの公認を受け)「Dota Auto Chess」や「Auto Chess」とは別の「Dota2」を元にしたオートチェス類似ゲームを作っているという発表をした。意図的に分かりづらく書いています。なぜならオレの感じた「なんだかわけのわからんことになってきたぞ」という感覚を君たちにも追体験してもらいたいからです。この話は後でまた出てきます。

6月6日、ようやく「Auto Chess」のiOS版がアプリストアに並んだ。しかしその時点でもうパクリゲームは溢れていたし、それがなくとも「Dota Auto Chess」と「Auto Chess」で分離していてややこしかった。どちらも本家ではあるのだが、ゲーム内容やインターフェイスはかなり違い、プレイヤーはノウハウを完全に使い回すことができない。そして、Drodo Studioが熱心にアップデートを続けているのは、今に至るまでずっと「Dota Auto Chess」のほうなのだ。「Auto Chess」はそのアップデートのスピードにまったく追いつけないので、現在ではかなり別ゲーになっている。「Dota Auto Chess」には始終アプデが当たるのでバランスが安定しないという難点があるが、その分ゲームとしては一番面白い(と個人的には思う)。しかしマッチングの難点は解決しておらず、インターフェイスも割と粗悪で人を選ぶ。「Auto Chess」はわかりやすくてとっつきやすいがPC版が現状存在しないし、かなり古いバージョンの(といっても数ヶ月前とかだが)「Dota Auto Chess」を下敷きにしているので、ゲーム的な深みは「Dota Auto Chess」に及ばない。

6月11日、E3。「Auto Chess」のPC版はEpic独占であるという発表。valveが分裂したのはこのためだったのか……という答え合わせになった。「Dota2」はSteamのゲームであるし、「Dota2」のカスタムゲームである「Dota Auto Chess」も当然Steamでなければ遊べない。しかしその本家が開発に携わった「Auto Chess」のPC版はSteamではどうやら遊べなくなる。「Auto Chess」はSteam VS Epicという、(2019年現在)PCゲーム最大の戦争に巻き込まれる格好となった。

同日、世界で最も人気のあるMOBAであり、世界で最も人気のあるe-sportsであるところの「League of Legends」がオートチェス類似コンテンツである「TFT」を月末ぐらいまでに搭載することを発表した。LoLの開発元であるRiot Gamesがここまで俊敏な動きを見せるのはオレの記憶上初めてのことだった。いよいよオートチェス類似ゲーム界隈が大変ややこしいことになってきた。そしてこうなるとvalveも手を打たざるを得ない。

と、いうことで6月14日、Valveによるオートチェス類似ゲームである「Dota Underlords」のベータが開始した。Valveがこんなに完成度が低い時点のゲームを公開するというのも、オレの記憶にはなかったことだ(少なくとも最近は)。「TFT」はおそらくかなりの人気になるだろう。事と次第によっては「Auto Chess」を食ってしまうこともあるかもしれない。しかし「Auto Chess」にはモバイル版という「TFT」にはない強みもある。……そうなってくると「Dota Underlords」とはいったい?となる。Valveは焦る必要があったのではないかと推察される。こうなってくるともうややこしいのはプレイヤーだ。人口も分散されるから、どのゲームをやったらいいのだかまるでわからない。

……いや、実はわかっている。もともと「Dota Auto Chess」をやっていたプレイヤーは未だに「Dota Auto Chess」をプレイしている。「Dota Underlords」でもないし、「Auto Chess」でもない。「TFT」が出たらどうなるかはわからないけど……、でもまあ大きくは変わらないと思う。先程言ったように、元々の「Dota Auto Chess」と「Auto Chess」は違うし「Dota Underlords」も全然違う。元々の「Dota Auto Chess」がやりたい場合は「Dota Auto Chess」をやるしかないし、一番熱心にアップデートされてるのもそこなのだ。オレの観測範囲では、この風雲急を告げるオートチェス類似ゲームの動向に、プレイヤーたちはかなり冷笑的である。と、いうか早耳なPCゲーマーの間ではオートチェスの旬は過ぎかかっているような気すらする。「世間で流行るころには流行はすでに下火だ」みたいなことってよく言われるけど、ほんとにそれ。ちょっとずつルールのことなる色々なオートチェスをプレイすることになったオレも、正直ちょっとうんざりしている。つうかランク上げたりするモチベーションが上がらないのでどれか一番流行るやつがあるならそれに一本化したい。みんなそう思ってることだろう。

インターネットにはかつて通ったサイクルを高速で自己模倣する習性がある。簡単にいえば、かつてと同じような流行が起こるが、二度目のときは前回よりスピードが上がっている、ということだ。MOBAがそうだった。Dotaがあり、LoLやらHoNやらHotSやらDota2なんやら……。しかし、そのときは数年かけて類似ゲームが増殖していった。ハースストーンからシャドウバースが生まれたのだって二年ほどかかっている。「Dota Auto Chess」から「TFT」まではたったの半年だった。しかし、人間が四分の一のスピードでゲームを消費できるようになったかというと、まったくそんなことはない。なのでオレたちほんとに困っちゃってるワケさ。

……と、愚痴っててもしょうがない。現状本ジャンル(名称未定)のゲームをやるならオレのオススメはやはり「Auto Chess」だ。ルールがシンプルだし、インターフェイスもわかりやすい。スマホでも遊べる。しかしPC版はEpic独占になる。Epic独占のゲームにはアレルギーがあるプレイヤーも多いため、ある程度人口が分裂するのは避けられないだろう。

完全に新規ではじめたい人、かつPCゲーマーであれば「TFT」を待つのがいいんじゃないかな。ゲーム内容がダメダメでなければある程度流行るだろうし、「Dota Auto Chess」とは全く違う層のプレイヤーたちが遊ぶことになると思われるので、まあとっつきやすいだろう。面白けりゃいいね。さて、オレは……どうするかな……。

追記

ちなみに本家「Auto Chess」と契約を交わしたEpicも「TFT」のRiotもどちらもテンセント傘下なので、クリアランス問題はなんとかなってるのではないかと思われます。(このあたりはPUBGがフォートナイトへの訴えを取り下げた経緯などを知っていると理解が早いです)

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オス
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他人のコンピューターをハッキング(クラッキング)して悪いことをしようとしているハッカー(クラッカー)のイラストです。http://twitter.com/waniwave

コメント29件

全体って全体のことだから。お前がなにか記事を一つあげて、それに不評のコメントがついてることを「全体」と称し続けるかぎり、お前が言葉について無理解であるという証拠が積み上がり続けるだけだぞ。まあ自分の説得力をなくしていくのが趣味ならそれを止めることってできないけど。
なぜ自分の稚拙さ、幼稚さ、負けず嫌いに基づく粘着、そして自分への指摘を一切無視し続ける無自覚さ、短絡さを無視しつづけながら、だれか相手に「指摘」とかできるわけ?ネットはお前のケンカ相手を探す場所じゃない。お前はe-sportsファンを代表する論客でもない。
お前は何も代表していないし、言葉について充分な知識もない。だから誰かに何かを指摘して納得させることはできないし、説得力もない。それでも続けることは自由。でもオレは「お前は何も代表していないし、言葉について充分な知識もないのだからお前が何を言っても無意味である」ということを返し続けるのみだ。そして「言葉について充分な知識がない」というのは決めつけではなく、バイアスではなく、いままでさんざん理由を書き続けていて、それをお前は無視している。そういう卑怯な論の運び方をする人間からは、どんどん説得力という刃が失われていく。
切れない刀で永久に切り続けても、何も傷つけることはできない。オレだって傷つかない。それを続けるのは自由。そして、オレはそのたびに毎回「お前の言葉には説得力が無い」と言い返すだけだ。お前の指摘には妥当性がないし、裏付けとなる説得力も存在しない。ただ言い負かされただけではいられないという感情だけがある。その感情が発作的に蘇ったときに書き込みをし、オレに相手をされて、また二ヶ月眠るわけだ。オレは別にいつまでだって続けてもいい、ここは自分のnoteなので。
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