見出し画像

武者小路実篤

『お目出たき人・世間知らず』武者小路実篤(岩波文庫・1954/10/5)を読んだ。感想を書きます。

『お目出たきひと』

身につまされるところと、いやいや!と突っ込みたくなるところとあった。前者は、気になる相手のことを自分の頭の中で捏ねくり回して、結局行動しないという点。後者は、自分優位というか、相手の女性を下に見すぎているという点。これは生きている時代の違いとも言えそうだけど。

自分のことが大切すぎて、傷つかないために行動をしない。夏目漱石の『三四郎』にも通じる。行動あるのみ!

『世間知らず』

ほとんど行動しなかった『お目出たきひと』に対して、『世間知らず』はいろいろ行動してる。でも相手の女性の素性から、世間の目や母親の目を気にして万事順調とはならない。手紙のやり取りが面白い。

どんなひとでも相手がいるのはいいことだなと思った。第三者のことは置いておいて、自分がどう思っているかを大切にしたい。大切なのは心だ。(シャーマンキング大好き)

そのほか

岩波文庫を久しぶりに手に取って、字が小さいのと歴史的仮名遣いであることに怯むも、最後まで読むと「ああ、この本が出版されたそのままを味わえたのかな」と感慨深くなった。奥付の後に載っている「読書子に寄す」という岩波茂雄さんの文章、胸が熱くなった(たぶんちゃんと読んだのは初めて)。ざっくりまとめると、多くの人に知識を拡めるためにプライド持って出版していきますよ、という感じだろうか。かっこE〜。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?