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【引力】を信じるか?

どうも。緊急事態宣言のため、自宅に引きこもり中のWanderer-Kです。
(皆さん、同じですよね。もういい加減、慣れてしまいましたね。)

今回は書籍の紹介は一旦お休みして、僕が美術に興味を持つようになったきっかけについて書いてみたいと思います。(書籍の紹介は、いずれ再開します!)

2019年の5月頃、いつも通っている書店で本を購入しようと、自宅の最寄駅から2つ隣りの駅に下車した際、ふと見上げると、ある女性の姿が描かれたポスターが掲げられていました。それを見たときに僕は、そのリアルな描写と妖艶さに驚き、唯々呆然とするばかり・・・・。絵に吸い込まれるかのように少しの間立ち尽くしていたんです。そんなことは初めてで、書店で本を購入し、帰宅した後も「何でこんな風になるんだ?」とずっと考えていました。しかし結局答えは出ず、自分が見た絵について調べたところ、その絵は、グスタフ・クリムトの『ユディトⅠ』という作品だということが分かりました。

・グスタフ・クリムトって誰?

グスタフ・クリムト(1862年7月14日-1918年2月6日)とは、オーストリアを代表する画家、ウィーン分離派(1897年にオーストリアの芸術家たちによって創設された芸術運動を推進した画家、彫刻家、建築家たちの派閥)の創設者であり、代表的なメンバーで、装飾芸術、絵画、壁画、ドローイング、オブジェなどさまざまなメディアで制作していました。中心となるモチーフは女性の身体で、率直なエロティシズム表現が特徴ですが、最も影響を受けているのは日本画と日本画の手法なんですね。また、金箔を使って描いたセレブたちの注文肖像画『黄金時代』で大成功し、まさにこの時代がクリムト黄金時代だったようで、クリムト自身は、当時弟子であった若手芸術家のエゴン・シーレに大きな影響を与えています。

・『ユディトⅠ』とは?

『ユディト Ⅰ』は、1901年にグスタフ・クリムトによって制作された油彩作品。アッシリアの将軍ホロフェルネスの首をはね、手に持つヘブライ人寡婦ユディトの姿を描いたもの。ユディトは、旧約聖書外伝「ユディト伝」に登場する女性のことで、ユディトを主題とした絵画は一般的に、彼女の住むユダヤの町べトリアにホロフェルネス将軍が侵攻し、町は陥落状態でしたが、ユディトが敵陣におもむきホロフェルネスの寝首を掻いて持ち帰る物語を描写したものだそうです。

調べてみて分かったのは、思ったよりずっと怖い絵だったんだなということですね。(最初、絵の中央の女性にしか目が行かず、全体をよく見たときに、初めて恐ろしい絵なんだと気付いたんです。)リンクを貼りたいところですが、怖いものが苦手な方は絵の右下の部分は見ない方がいいかもしれないので、興味のある方のみ、ご自身でネットから『ユディト Ⅰ』と検索してみて下さい。(ちなみに、今回の記事の見出し画像の絵は、『ユディト Ⅰ』とは、全く関係ありません。何となく、いいなぁと思って選んだだけなので。しかも僕も、よく知らない絵です。すみません。)

しかし調べてみても、結局何故自分があそこまで『ユディト Ⅰ』に惹かれたのか、よく分かりませんでした。勿論その画力に驚いたのは事実ですが、本当にそれだけなのか?と思い、当時都内で開かれていたクリムトの個展に行ってみたんですね。そこで『ユディト Ⅰ』を鑑賞してみたんですが、やっぱり、その時も足が止まり、「ここから動きたくないなぁ」という思いが生まれるわけで・・・・。いつかキングコングの西野さんも、素晴らしい絵画に出会うと離れられなくなるんだと仰ってましたけど、本当にその通りなんですよね。立ち去りたくなくなるんですよ。

▼好きなものに出会うと、人はどうなるのか・・・・?

離れられなくなる、立ち去りたくなくなるということは、一種の引力が発生しているんだと思います。引力というと大袈裟かもしれませんが、僕はそう思うんです。引き付けられるということは、その対象に愛着が湧いているという事。そして愛着が湧いているという事は、ただ大切に思っているというよりは、渇望しているのだと思うんです。渇望とは、自分が持っていないからこそ心の中に渦巻くもの。つまり僕は『ユディト Ⅰ』に対して、憧れやコンプレックス・・・・、いずれにしても自分の欠落している部分を投影して見ているのかもしれません。

以前、小説家の村上龍さんの『おしゃれと無縁に生きる』というエッセイの中に、『偏愛は、欠落と過剰の隙間に発生する。』と書かれていたのですが、僕は駅で『ユディト Ⅰ』を見た時から偏愛が始まり、自分の欠落した部分を無意識の内に感じ、それ故に過剰に『ユディト Ⅰ』を渇望しているのかもしれない。そんな事を考えるようになりました。

自分の欠落している部分が何なのか、正直これを書いている今もまだ、よくは分からないけれど、少なくとも偏愛の中にこそ、自分という人間の本質があるんだなということは分かるようになりました。

これが、僕が美術に興味を持つようになったきっかけです。『ユディト Ⅰ』を通して、他の画家の個展にも行くようになり、今までは書店で手に取る事もなかった美術関係の本も、読むようになりました。

もしもこの先、別の偏愛の対象に出会ったら、きっとまた同じように離れられなくなるのでしょう。目には見えない引力に導かれて・・・・。

あなたは、引力を信じますか?

では、また。






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