見出し画像

学校内外の学び場&居場所、確実に増える!フリースクールと連携で「公設民営」も。  文科省の不登校対応「COCOLOプラン」、深掘り①

文部科学省が3月31日に公表した、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」COCOLOプラン
その中でも、重要と思われる項目をピックアップして深掘りしてみます。

「COCOLOプラン」1つ目の柱

COCOLOプランには、3つの柱があります。
1つ目の柱が
「不登校の児童生徒すべての学びの場を確保し、『学びたい』と思った時に学べる環境を整える」
具体的には、大まかに次の6種類の学び場・居場所が新たに登場、または増える見込みです。

①不登校特例校。「子ども目線」の名称へ、近く変更!

☆「不登校特例校」という名称は、近く「子どもたちの目線に立ったふさわしいもの」へと変更される予定です!☆

学校に行きづらい子どもたちのために、通常の学校より柔軟に学べるよう特別な教育課程が編成されている学校のこと(小・中・高等学校等)。
「柔軟な学び」とは、例えば授業時間数や授業内容が少なく設定されている体験型学習が多く組み込まれている、など。
2016年に成立した普通教育機会確保法(※)には、不登校特例校の新設や、既設校の充実化に取り組むことが定められています。
全国の不登校特例校の数は現在、21校にとどまりますが(現在、設置を検討中の市町村は約400)
文科省はこれを300校にまで増やす方針を打ち出しており、設置に向けた準備費用を補助する予算も計上。昨年度に一旦、公募を締め切りましたが、近く公募を再開する予定です。

またCOCOLOプランには、不登校特例校と、NPOやフリースクールなどの民間団体との連携強化も明記されました。
双方の人事交流などが促進される見込みです。

※正式名称は「義務教育の段階における普通教育び相当する教育の機会の確保等に関する法律)

②校内フリースクール。増設に向けて、予算確保も検討


校内フリースクールとは文字通り、学校内に設置された、落ち着いた空間の中で自分に合ったペースで学習・生活できるスペース

「校内フリースペース」や「校内教育支援センター」や「スペシャルサポートルーム」など、呼称は様々。
全ての学校にこれを設置している市町村は、全国で228ありますが
COCOLOプランには、設置を更に促進していく方針が書き込まれました。
そのための予算の確保も検討する、とのこと。

③教育支援センター。フリースクール等と連携で「公設民営」も

教育支援センターとは、教育委員会などが主体となり
不登校の児童生徒等を対象として、個別カウンセリングや集団での指導や教科指導などを行う組織。
旧呼称は「適応指導教室」です。
学校以外の場所や、学校の余剰教室などを活用して設置されています。
この教育支援センターで今後、民間のノウハウを取り入れた支援も行えるよう
NPOやフリースクール等の民間団体に、教育支援センターの運営を委託する、言わば“公設民営”の形が想定されているようです。

このほか保護者への情報提供など、教育支援センター自体の機能強化も図っていく方針。

④子ども家庭庁との連携で創出、「学校・家庭以外の多様な居場所」

4月に発足した子どもの家庭庁と連携し
「身近な地域で人とつながり、学びに向かう土台づくりや様々な体験活動ができるような
学校や家庭以外の多様な居場所」

づくりを広げる、と明記されました。
様々な運営主体が想定されますが、「例えば子ども食堂やフリースペースといった『困難を抱えている子どもの居場所』を運営している事業者」(文科省)などが考えられるそうです。

⑤地域の公的資源を活用した学び場・居場所

不登校の児童生徒が学んだり、相談したりする場として
夜間中学を活用する方針が打ち出されました。
不登校の子の中には、様々な要因から朝起きられない子が少なくない実態も鑑みての施策です。
また多様な居場所として、公民館や図書館など、既設の社会教育施設の活用も書き込まれました。教育委員会から活用の可否を呼びかけていく流れになりそうです。

ゼロにするのは「不登校」ではなく、「学びにアクセスできない子」

COCOLOプランが目指すのは、「不登校により学びにアクセスできない子どもたちをゼロにする」(永岡文部科学大臣のメッセージより)こと。
普通教育機会確保法にもうたわれている通り、必ずしも学校への復帰を前提とするものではありません。
もちろん「学校に戻りたい」という子どもの意志があれば、クラス変更や転校といった選択肢を提示するなど、丁寧に対応することも目指すそうです。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
COCOLOプランをよく読み、聞き込みもしたところ
具体的には上記のような学び場・居場所の増設&新設が想定されていることが分かりました。
文科省が最も力を入れているのが、不登校特例校の増設
名前がね……と以前から思っていたところ(笑)、近く改称されるとのことです。
個人的には、特例校にほぼ共通している、非認知能力を重視した弾力性のあるカリキュラムを、特例校に限らず一般的な公立学校でそもそも導入したらいいのに…と思っています。
学びの本質は、そちらだと思うので。


この記事が参加している募集

多様性を考える

よろしければ、ぜひサポートをお願いいたします。 電話代をはじめ、「教育行政かわら版」の取材経費にあてさせていただきます。 100円などでもとっても助かりますし、お気持ちを大切に巡らせたいと思います。