ケモノイドよ、歩行は快適か?

照り付ける太陽とは裏腹に、霜の降りるような寒さ。
孤独を感じさせる彩度の低い荒野をゆく3匹…否、三人。

先頭を行くのはサラブレッドのように逞しい男。
最後尾を歩くのはカラカルのようにしなやかな男。
中間をぶらぶらと歩くのはイエネコのように呑気な少年

「ッあ・・・ァ~ハ」ブチャはクソデカい欠伸をした。

これから行く場所に彼は何の興味もないのだ。尻尾も退屈そうに揺れている

「ちっとは興味持ってもらいたいモンだな」徐にブチャの尻尾を掴むラニ。
ラニの尻尾はススキのように凪いでいる

「やる気がなくて結構だが、着いたらお前にも手伝ってもらうからな」

先頭を行くエミュースは磁石を見ながら歩き、時折止まってはノートに何やら書き込んでいた

三人は今、地図にない場所を歩いている。『遺跡』とはそういう場所にあるのだ。フィールドマップを作りながらの冒険は、二人の探究者とっては日常茶姦事であるが、一介のシーフにとっては刺激に欠けた。


【続く】

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