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新米社会科教師のサッカー指導者note ep1~ジェンダーレスの時代~

「サッカー部に女子部員入ったらしいよ」

隣のクラスの生徒から噂で回ってきて、私は初めてサッカー部に女子部員が入ることを知った。

今から10年前... 私が中学二年生の時、地元でもサッカーが上手と有名な少女がサッカー部に入部した。

同じ内容のトレーニングをこなす彼女の姿を横目にいつも通り練習する。しかし、練習も終盤に差し掛かった頃、ある違和感を感じる。

「いつもよりやりにくいなぁ」

この違和感の正体は、今考えるとフィジカルコンタクトが取りにくいことや思春期ならではの考え方から生じたものではないかと思う。

当時の私は、この違和感に戸惑いながら日々の練習を過ごしていた。特別なにか問題があったことはなかったが、彼女のサッカーが上手くなりたいという欲求から生じる挑戦に日が過ぎるにつれ、誰もが感化されていった。



**2020/09/10 **

また1人新たな挑戦を始める

昨日、永里優季選手が神奈川県二部の男子チームに期限付き移籍することを発表した。
これはサッカー界の新しいページを開く挑戦になるだろう。

Jリーグを目指すために結成された「はやぶさイレブン」はこの彼女の挑戦を快く受け入れたそうだ。
プロクラブを目指すこのチームが選手として迎え入れたということは、プロ組織として彼女がもたらす影響がチームに利益を与えると判断したからであろう。

男子選手と比較すると、フィジカル面で劣ってしまうのは目に見えている。この壁を彼女が海外で得た経験やこれまで積み上げてきたトレーニングによって、いかに克服し、チームに溶け込むことが出来るのかが今後注目するポイントになる。

私の見解では、彼女の加入によってこのチームは3つ大きなメリットを得ると考える。

①知名度の向上
②選手の能力向上
③地域の活性化

①知名度の向上
言わずもがな、女子サッカー界のレジェンドと言われる永里選手が加入したことは既に多くの報道によってチームの名前とともに広く報じられている。
今後、このクラブが注目されていくのは間違いない。

②選手の能力向上
ここが一番重要なのだが、永里選手が海外で得た経験を直に聞いたり、見ることが出来ることは男子選手にとっても大きな利益になる。
また、フィジカル面が課題の小柄な選手などは永里選手が男子に混ざりプレーする姿から学ぶことは多いだろう。ポジショニングや相手との駆け引き、ワンタッチプレー等、間違いなく通用することも多いはずだ。

③地域の活性化
「はやぶさイレブン」は彼女の地元にあるチームだ。地元出身である彼女の加入に胸を躍らせる人々も多いだろう。サッカーを始め、スポーツは人々の心をより豊かにする。チームが強くなれば、その街も活気が一層高まり、ゆくゆくは経済の活性化にも繋がるだろう。
また、地元のサッカークラブにサッカースクール等を通して貢献していきたいと会見で言っていたことから、彼女に影響をうけ、選択肢を広げることができるサッカー少女が増えることに期待したい。

Conclusion -スポーツはジェンダーレスの時代になる-

現代は多様化の時代だ。
ファッション・メイク・髪型だけではなく、スポーツもこのように社会的な性差をなくしていくべきであり、またそれがスポーツ界を盛り上げていくことに繋がるだろう。

部活動も同じことが言えるだろう。
大会は身体的な能力値の差があることから、今まで通り行われていくだろう。

しかし、東京五輪からスポーツの男女混合が検討されている。それはバトミントンやテニス、卓球、ボート等である。男女融合することで双方にこれまでとは異なった価値観や視点を手に入れることになる。

私が中学生の時感じた違和感

とは、まさにこれではないのだろうか。
部活動を通して、1人で男子の中に混ざる彼女からこれまでとは異なった価値観や視点を手に入れていたのではないか。

そして10年後、私は社会科の教員となる。
大好きなサッカーを通じて、得た経験を含め今の私に至るのだろう。

部活動はその競技を教えることはもちろん、人としての力量を育む場でもある。
これからの部活動という場は、生徒一人一人の成長を支援できる場であるべきであり、また変化に寛容でなければならない。

生徒と共に、人が社会の中で生きていくために必要なこと、大切にしなければならないことを見つけていきたいと思う。