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母と娘の物語

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書評家の三宅香帆さんによる、国内のさまざまなフィクションで幾度も反復して描かれてきた「母」と「娘」の物語に潜む本質を読み解く連載
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#天人唐草

山岸凉子──貞淑な娘|三宅香帆

今朝のメルマガは、書評家の三宅香帆さんによる連載「母と娘の物語」をお届けします。今回は漫画家・山岸凉子が描いてきた少女像をめぐる考察です。1979年の短編「天人唐草」をはじめ、親によって「性」を抑圧されてきた少女像を描き、従来の少女漫画に真っ向から向き合ってきた山岸凉子。代表作『日出処の天子』、短編作品「鏡よ鏡…」では、性を抑圧する母親との関係性において「貞淑さ」に焦点を当てます。 三宅香帆 母と娘の物語 第二章 山岸凉子──貞淑な娘山岸凉子は日本の少女漫画史、というよりも