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【スポット相談】テナントの入れ替えに伴う間仕切り変更工事

今回のご相談は独立したて若き建築家さんからのご相談。twitterのDMよりメッセージを頂き、お急ぎの感じでしたのですぐにオンライン打ち合わせを設定致しました。

案件のカテゴライズとしましては、「既存建物」系です。建物のテナント工事に関する遵法性確認がざっくりした内容となります。
そのテナント工事も「サービス店舗」⇒「サービス店舗」の変更ということもあって、用途自体が変わらない為、用途変更にも該当しません。このように増築にも大規模修繕模様替え、用途変更にも該当しない場合、どのような規制がかかるのか?というのがご相談の趣旨でした。

このようなケースの場合、この建物が建てらた当時の建築基準法等の制約に適合していること、ということが基準となります。ではその内容はどこに書いてあるかと言いますと、基準法第8条の維持保全の項目です。

(維持保全)
 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。

建築基準法第8条第1項より

要は建築物の所有者等は適法状態を維持して使う必要がある、ということになります。テナントが変更されて間仕切りが変更された場合も、遵法性を確認し、改修工事を行う必要があるということです。

世の中には確認申請が伴わないテナント入れ替え工事等は相当数あります。本来であればビルの所有者等のクライアントはその遵法性をチェックしながら改修を行う必要があるのですが、確認申請等の手続きがないと遵法性確認をしないまま改修工事が進んでしまうということも珍しくはありません。内装工事を専門としている業者も必ずしも建築基準法等に詳しい人ばかりではないため、クライアントはそのあたりを意識して業務発注する必要があります。

またテナント入れ替えに伴う間仕切り変更によって特に注意すべき内容は排煙設備等の避難規定です。特に排煙設備は防煙垂れ壁が必要な部分にフルハイトドアが設けられており、防煙区画が形成されていない、ようなことがよくあります。

ちなみこれらは新築工事時ですらよくある事象です。
工事区分がA工事として建築を対応、C工事として内装テナント工事を行う場合、A工事の申し送りがうまくされずC工事で好き勝手やられ、遵法性が確認できないようなこともよく聞く話です。

今回の若き建築家さんはそのあたりをしっかり認識されており、ワクコエテはそのセカンドオピニオンのような立ち位置で相談にのらさせて頂きました。このように確認申請等のエビデンスがとれない場合の遵法性確認も今後ニーズがある分野なのかもしれません。

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