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物件探し

移住先として選んだ長野県南佐久郡佐久穂町は、2005年に佐久町と八千穂村が合併してできた町で、戦後をピークに2万人弱人あった人口は1万人辺りまで減少。過疎化が進む山間部の美しい田舎町だ。

半分弱にまで人口が減っているのだから当然家は余っているはずだと、点在する空き家を眺めながら始めの内はそう思っていたが、実際はその逆だった。他の過疎化地域も同様なのではないかと思うのだが、田舎町にある家はきちんと相続されていないケースも多く、家主が既に亡くなられていたり所有権がはっきりしなかったりで、取引できる不動産は極端に少ないようだ。加えて、外から人が移住してくる機会が極端に少ないためであろうか、家を人に売ったり貸したりという文化もなければ、仲介業者も機能していない。したがって、土地勘や人脈もない外から来る人にとっては、売買/賃貸に関わらず、住める空き家を見つけるだけでもかなりハードルが高い。

僕は幸い、町役場が運営する移住・定住を斡旋するサイト「佐久穂で暮らす」に設けられた空き家バンクで情報を入手し、購入物件に巡り会うことができた。オープンではない村社会への入り口として、自治体が運営するこのようなサイトはとても役立った。役場が運営しているので信頼ができるし、住居に留まらず様々な情報に同時にアクセスすることができる。助成金など活用できる制度や、暮らし始めてのことなどについても同時に聞くことができるので、それらを理解した上で準備を進められたことは大きなメリットだった。加えて、佐久穂町は物件視察の際に地域おこし協力隊が現場対応してくれたので、移住の先輩である隊員から、移住や地域のことについて直接聞くことができたのはとても良かった。

ただ、佐久穂町の現状では、空き家バンクに登録されている物件数は僅かで、新しい学校が開校しても多くの移住希望家族が町内では家を見つけることができず隣の佐久市に住んでいる。住みたい人がいて、みたところ空き家がないわけでもない。このミスマッチは、田舎の閉鎖的な文化も大きく影響しているので簡単には解消できない問題ではあるのだけれど、放置されて古くなっていくだけの家を見ていると、どうにかして有効活用できないものかと考えてしまう。

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