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【シネフク大黒座】忘れられない映画館

こんにちは。
ニク・ジャガスです。

初めてのお題応募!
#映画館の思い出  です。

私には、一生忘れられない映画館があります。

それは、かつて広島県福山市にあったシネフク大黒座です。
高校を卒業するまで足繁く通った映画館ですが、2014年、惜しまれながら122年の歴史に幕を閉じました。

2014年9月の取り壊し前

沢山の人から愛された映画館で、同年9月の取り壊し直前には、シネフク大黒座を舞台に時川英之監督、藤原令子さん、本郷奏多さん主演で『シネマの天使』という映画が撮影されました。

久しぶりに写真見たら、泣けるな。
今回は、当時の思い出に、少しお付き合いいただければ幸いです。

映画を教えてくれた、大好きな父

現在、私は31才ですが、昨年82歳を迎えた父がいます。

父の青春時代は、まさに戦後日本の映画黎明期。
広島中の映画館に足を運び続けた父は、さながら映画の生き字引に成長。

娘の私にも、しっかり映画の楽しさを教えてくれました。

まだ私が小さかった頃、ドラえもんやポケモンといったアニメの新作が始まると、満面の笑みで父が言うんです。

「娘〜!一緒に映画見に行くか!」

私の実家は、福山市からかなり離れた田舎にあったので、映画館までは電車を乗り継ぐこと約1時間半!

決してフラッと立ち寄れる場所ではなく、綿密な計画が必要でした。

今のようにスマホで「○時○分〜」と、すぐに上映時間を検索できるわけでもなく。
一週間前には新聞の映画欄を見て、「恐らくこの時間だろう」と赤鉛筆で丸印をつける。
上映時間に間に合わせるには、「この発車時刻の電車に乗れば、時間までにたどり着けるだろう」と計画を立てていく、みたいな具合です。

大好きな映画を、大好きな父と見に行ける。
田舎者の私にとっては大冒険のような一日

毎日、映画上映欄の切り抜きを何度も眺めては、指折り数えて待ちました。

一週間が経った!

待ちに待った当日。
映画館に到着すると、父は必ずパンフレットを買ってくれました。
それをパラパラ捲りながら「今から特別な体験が始まるぞ〜!」とちびっ子の興奮はMAX。

しばらくすると、場内が暗転。
スクリーンに光が満ちます。

これは余談なのですが、当時、空前のブームだった「学校の怪談」。
いわゆるホラー映画の予告編が、子供向け映画の前には必ず流れていました。

怖い映画が苦手だった私を、父はよく知っていて。

映画の予告編が流れ始めると、必ず自分の腕を出して、視界を遮ってくれていました。
折角の楽しい一日、娘の心に辛い時間が入り込まないように。
その腕が、どれだけ心強かったことか。


時は流れ、現在。
奇病を患った父は、家を自由に出ることができなくなりました。

最後に父と映画を見たのは、2001年にシネフク大黒座で上映していた『ハリー・ポッターと賢者の石』

『ハリー・ポッターと賢者の石』映画20周年HPより

当時、社会現象と化していた本作は、地方の子供たちにも大人気!
待ちに待った日でしたが、なんと吹き替え版は、全ての回が満席。

仕方なく1時間後に上映される字幕版を見ることになるのですが、、、

この日を境に、今日に至るまで洋画は字幕派。
偶然の産物でしたが、何がキッカケとなるか、わからないですね。

お父さん。待ち時間の間、売店で買ったビールを美味しそうに飲んでたな。


あぁ、涙が出てくるなぁ。


福山市内の中学に入学して、片道1時間以上の電車通学となった私。
シネフク大黒座へ一緒に訪れる相手は、自然と友達に変わってしまいました。


こんなことになるなんてな。
もう一度、お父さんと大冒険に出たかったな。

幾度となく思いましたが、父はまだ頑張って生きてくれてます。
映画の話だって、まだ一緒にできます。

なので、これからも会うたびに伝えるつもりです。

「私に映画を教えてくれてありがとう」



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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