見出し画像

【若手先生QA】発達障害の子を担任したら何から手をつけたらいいですか?中編

若手の先生から質問いただきました〜!

発達障害に子が学級にいます。配慮・支援が必要だと頭では分かっていてもその子だけ特別扱いしているように他の子ども達に感じさせてしまうのはどうなのだろうと悩んでいます。宿題を出さない、離席、忘れ物、喧嘩など、まずは何から取り組むことが大切でしょうか。教えてください。

前編は、コチラ↓
https://note.com/wakashizu/n/nc901f829b98d

今回は、中編いってみましょう!

(5)その子と「信頼関係」をつくろう

問題行動がたくさんあって、指導したい。改善させたい。
でも、指導の前にすべきことは、「信頼関係の構築」です。
「あ、この先生の言うことなら聞いてみよう」という感覚が無くてはどんな指導も突っぱねられてしまいます。
その意味で、まずは「共感的に」接することです。「それが嫌なんだね」「そう思うよね」「そう感じたんだね」など本人の感じ方、思いをまずは受け止めましょう。
「指導する側VS指導される側」の対立関係は信頼関係とは言えません。(もちろん、段階が進む中でこういう場面もあり得ます)
まずは、「一緒に課題を解決する仲間」「成長を共に喜び合う仲間」という関係になりましょう。その上で「成長を促す側×成長する本人」という関係性が良いのではないかと思います。

(6)暴力などの「他害」は絶対に止めよう

その子を守る意味でも、周りの子を守る意味でも、ここは絶対のラインです。「他の子に暴力、激しい暴言がある場合は体を張ってでも止める」と私は決めています。(※「体を張って止める」というのは体罰では決してありません。トラブルの相手の子との間に体を入れて接触を防ぐ、怒っている子の体に触れて制止させる、などのことです。)
発達特性のある子が落ち着いていて、ある程度話を聞いてくれる時に、こんな風に伝えておきます。
「A君さ、時々、怒れて叩いたり蹴ったりものを投げたりしたくなるよね?その気持ちはわかるんだよ。たださぁ、それしちゃうと、後で面倒なことあるよね?どんなことだと思う?」
「相手に謝ったり、相手が許してくれなかったり、お家の人にまた叱られたり、弁償したりとか大変なことがあるよね。叩く蹴るものを投げるとかすると、どうしても、A君がワルモノになっちゃう。それは先生嫌なんだ。A君はワルモノじゃないの知っているから。A君をワルモノにしたくないから、その時は、先生しっかり止めるからね。」
そして、その時がきたら体を張って止めます。命に関わりそうな場合や危険な場合は大きな声を出します。(もちろん、できるだけ、そうなる前に場所を変えたりしてクールダウンさせるように努めます)これは結果的に学級の安全安心にもつながりますし、A君を守ることにもなると思います。
そして、ことがおさまって本人が落ち着いてから、A君と振り返って、「落ち着けて偉かったね」「何があった?」「次はちょっとでも我慢できるようにしような」など、事情を整理し、励まします。

(7)その子の行動を「落ち着いて整理」しよう

多くの場合、問題行動が多岐に渡っていると、「もう、本当に困った子ね!」という具合に「全体的に困るんだよね」とまとめてしまって、個別の問題が見えにくくなりがちです。
「いつ、どんな行動が、どれくらい(何回程度)あって、どう困るのか」などを整理してみることが大切です。「印象」ではなく「事実」を掴み直します。その場合に、自分一人ではどうしても冷静に捉えにくいので、校内の先生方に相談しながら、整理していくとうまくいくかもしれません。特別支援コーディネーターの先生がいいでしょう。
この時、特に「その問題行動が起こる”前”と”後”に何があったか」が大切です。原因を知る訳です。例えば、「授業中に離席した」の前には「わからない問題があった」ので離席したのかもしれません。離席した後「先生に注目してもらえる」という本人とっては得なことがあったのかもしれません。そうした因果関係を整理し、対策を練っていきます。

(8)「一番解決しやすい問題」から改善しよう

一番困る問題は、根深いかもしれませんし、すぐに効果がでないかもしれません。ですので、まず「一番解決しやすい問題」から改善しましょう。
例えば「座席の工夫」です。教師の指示が届きやすい前の席にしたり、穏やかな子の近くの席にしたりです。また「忘れ物がひどい」などの場合には、教師がメモを一緒に作って渡す、忘れた時は先生が貸すことにしておくなどです。ちょっとの工夫で改善しやすい問題から改善したら、本人と一緒に喜びます。「おお!Aくん、前までは〜だったけど、今は〜だね!成長したなぁ!」という感じです。あるいはこれを、学級に波及させます。
「A君は、〜ということができるようになりました。素晴らしいね!」と。
”A君は困ったやつだ”というようなイメージを、成長した事実で覆していきたいですね。
ほんのちょっとの成長を褒めるのもいいです。「多動衝動が強く、思いついたことをすぐに喋る子」だったら、いつもなら喋っちゃう場面で、ほんのちょっと我慢したと見えたら「お!A君我慢できたじゃん!」「我慢しようとしたね!」などと褒めて、改善に向かっているよ、というメッセージを伝え続けていきたいですね。

(9)「何を配慮するか」は、本人と保護者の意思を確認しよう

「合理的配慮」という言葉があります。これは、法律で定められていて、教師は発達障害の子に対して、「合理的(とても無理ではない範囲で)」な「配慮(学習や活動における変更や調整)」をしなくてはいけませんってことです。そして、その法律の中には「合意形成をしなさい」よって書いてあります。「合意形成」とは、「本人や保護者と共通理解をしてからしなさいよ」という意味です。
例えば「書くのがとても苦手で文字が乱れている子」がいたとして、教師が「この子にはタブレットを渡して、鉛筆を使わずに打ち込めるようにしよう」と思いついたとしても、本人や保護者がそれを望んでいなければ、教師のお節介になってしまいます。
ここは、保護者対応の部分にもなるので、若い先生方はぜひ学年主任の先生や、特別支援コーディネーターの先生と相談しながら進めてみてください。
発達特性のある子の保護者の方には様々な価値観の方がいます。
しっかりと思いを受け止めつつ、学校での様子を上手に伝え、一緒に課題解決に向かっていける関係(ここは簡単なことではないです。また別に取り上げて特集したいな^^)を作っていきたいですね!

今回はここまで〜〜!!
次が最後です٩( 'ω' )و
次回は後編!担任する若い先生のメンタルケアですよ♪

(10)50点主義でいきましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?