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能登半島地震における旅館の記録58

今回は、和倉温泉の復興が遅れている原因の1つである護岸についてもう少し詳しく話をしたい。先日の全体集会で社長が話をしてくれたのだが、もう一度詳しく社長にインタビューする事にした。まず、護岸とは。大雨などによる河川の堤防の崩壊を防いだり、高潮や津波などによって地盤や堤防が浸食されたりする事態を防ぐ役割をするもの。

どんどん、海側に護岸が倒れていきます
それと同時に旅館も傾いていきます

まず、社長は地震が起きるまで旅館を経営していて、護岸の事を気にしたことなど一度も無かったとの事。私自身も、耳にした事も使った事も無い言葉であった。地震後、和倉温泉の護岸が、国・県・市・私有地で権利が分散していることが分かる。復旧にあたり、市の部分は市で、県の部分は県で。多田屋のように私有地の護岸は、自分達で工事を進めるのか。そんな事が可能なのか…。これは個人で解決できる問題ではない。行政に頼らないといけない。護岸全部を公共帰属にして同時に工事をに進めていくべきしか道はない。

その為に、和倉温泉全体で協力して意見をまとめ、意見を統一しなければならない。漁業関係者の方々にもご協力をお願いしなければならない。意見の中にはプロムナード(散歩道)を造ってはどうか。旅館の大浴場や客室の前を散歩道にするのか?護岸自体の高さを今よりも高くしなければならない。海が見えなくなるってこと??とにかく出される案が現実的ではない。もちろん安全安心あっての商売だとはわかっていても、和倉温泉としてはどうしても譲れない部分があるのだ。何度も何度も話し合い、意見交換をする。その結果、現状復帰という事で話がまとまった。6月末に計画を提出する予定が9月提出となってしまった。

ついに、多田屋の敷地内でボーリング調査が入る!

工事の仕方としては、多田屋から海側に幅10メートルほどの道を作る。10メートルの広大な敷地が多田屋の前に出来るってこと!?和倉温泉全体が幅10メートル大きくなるのか!大きな重機がすれ違う事が出来る幅が10メートル。そして海側から工事をするのだ。まず、海の中に自然石を敷いて、土を盛った上に鉄板を敷く。護岸完成後は自然石のみ残して藻場とする。そこに魚たちが生息してくれたならば、七尾湾はもっと豊かになるに違いない。護岸工事2026年度内に終了予定。あと…丸2年か。やはり時間はかかるな。

この景色は絶対に記録に残さねば
多田屋にあるものは何でも愛おしくなるよね

スタッフ皆で館内を周っていると、館内の中でキノコが育っていた。お客様がいる時ならば、ありえない事であったし、館内でキノコが生えていたなら大変な騒ぎになる。でも、キノコ達を見てスタッフ達が可愛い!と写真を撮り大切にしている姿がとても微笑ましかったと総務スタッフが言っていた。
さぁ、少しずつだけど何かが進み出したような気がする!スピードはゆっくりでもいいから、少しずつでいいから、止まらないでいて欲しい。

続く…

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