能登半島地震における旅館の記録57
12月になりました。雲の重い、北陸らしい冬になってきました。先日は霰も降り、辺り一面真っ白になりました。車のタイヤもそろそろ交換しなくてはなりません。今年は雪が多いとの事。道路が不安定な中、除雪車が入れるのか…。雪による2次災害が本当に心配です。
11月18日 ボランティアデー
先週は主に器の片づけをしたが、今週はグラス類の整理。若女将!旅館が再開したらどれを使うのか選んでください。スタッフから言われるが、私もまったく想像出来ない…。取りあえず取っておくか…。
この日のまかないは、クリームシチュー。震災後、はじめて皆で食べたのもクリームシチューだったよね。この日から護岸の本格的な調査が始まる。潜水士さん達が、冷たい海の中に潜り護岸の調査をする。朝一番に多田屋事務所に挨拶に来られる。「旅館の敷地内に入ったりすることもあり、ご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします。」と。いえいえ、本当にありがとうございます。事故の無いようにくれぐれも気を付けて。地震から1年経とうとする今からの護岸調査。もう少し早く出来ないものか…と思う時も多々あったけれど、こうやって目の前で調査をして下さる人達の姿を見ると、スピード感よりも安全に作業が進むことの気持ちのほうが大きい。
~勤務中のスタッフより~
事務所前の落ち葉を掃いていると。。。散歩中の男性、去年当館に宿泊された方で「大変ですね~再開されたら泊まりに来ます」と通り過ぎ去りました。こうやって時々多田屋を見にいらっしゃる方がいる。スタッフも声をかけてくれると嬉しい。
11月22日 サッカーボール等が寄贈される
福井県のライオンズさんが、息子達のサッカークラブを訪ねてくれる。震災から1年になろうとしているのに、ずっと能登の子供達に想いを寄せて下さっている事に感謝しかない。ライオンズの方が、子供達が元気に挨拶する姿や、体育館でボールを蹴る姿に感動されて泣いてらした。「本当にたくましくて、一生懸命で…。素晴らしいです。」と言葉を詰まらせていた。
11月25日 全体集会
この日は月1回の全体集会。11月末とは思えないほどいい天気で、皆で集まるには最高の日となった。私はゴミ拾いと落ち葉拾い担当。一緒に作業するスタッフとお互いの近況報告。能登の新鮮な空気と美しい景色を見ながら、
「やっぱり、能登は最高だね!」
多田屋スタッフ、宿泊業として旅館が機能しない中で、どうマネタイズをしていくかを考えています。その為に、館内ツアーの勉強会をしたり、自分達で集まり会議をしています。そんな中、私は保育園に出かけます。「いってきま~す!」と言うと、「いってらっしゃ~い!」と送り出してくれるスタッフ。後ろ髪を引かれながらも、保育園の子供達の中で未来の多田屋スタッフになる子が出てくるかもしれないと思いながら、全力で子供達と向き合っています。その為か、最近21時過ぎには寝てしまう…。
続く…