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わかおの日記107

そろそろ専攻を決めなければならない。我が慶應文学部は他大学と違って2年次から専攻を絞るので、この時期に専攻の希望を出さねばならない。このシステムがあって本当によかった。一時の気の迷いで他大学の哲学科なんかに進学していたら、4年間を棒にふるところであった。

この8ヶ月ほどでぼくはすっかりドイツ語に嫌悪感を覚え、「ハーゲンダッツ」とか「フォルクスワーゲン」とか「アルバイト」とかいった単語を聞くだけで鳥肌が立つほどのアレルギーになってしまった。ゆえに2年次もドイツ語を学ぶのはまっぴらごめんである。そうなるともはや選択肢としては国文学専攻しか残されていないのだ。

他の授業では、授業コメントやリアクションペーパーが取り上げられたことなど1回も無いが、国文学の授業のときだけは、結構な頻度で教授に褒めてもらえる。このこともぼくが国文学専攻に傾いている理由のうちの1つである。やっぱり向いていることをした方がいいだろう。

そんなわけで、専攻選択のガイダンスなど出席しなくてもいいくらいなのだが、ぼくは真面目なので土曜日にわざわざ日吉まで赴くという凶行に至った。

今日は国文学専攻のガイダンスは無かったようなので、適当に心理学専攻と民族考古学専攻のガイダンスを受けた。民族考古学の先生達は、みな一癖も二癖もある人たちでとても面白かった。あと教授たちの仲が良さそうで見ててほのぼのしたので、第3志望くらいにしてもいいかなと思った。

それよりも憂鬱なのが、専攻が決定した後のことである。各専攻はそれぞれで合宿などをやるらしい。ということは2年次になったらまた新たに同じ専攻の友だちを作る必要があるということである。これは難儀だ。慶應の文学部にはなかなか波長の合いそうな人たちがいないというのをぼくはすっかり悟っていたので、卒業まで現在の交友範囲を広げるつもりはなかったからである。6年間男子校で過ごした身としては、慶應の女子なんかと喋れる気がしない。しかも国文学専攻は、6割がたが女子だという。ああこわい。おそろしい。ぼくは世にも珍しい彼女持ちの女性恐怖症なので、女性に周囲を囲まれると何も喋れなくなってしまう。

ドイツ語からも人間関係からも逃げることの出来る道はないものか。

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