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絵本、画集、アイテム…多岐に渡る活動を支える「描かなきゃ!」の気持ちに迫る、ももろインタビュー ①

イラストレーター、そして絵本作家として活躍するももろさん。絵本や雑貨はもちろん、ご本人のSNSでの発信など、ももろさんの描く世界に出会う場所がどんどん増えています。

ももろさんから「画集を作りたい」という話をいただいてから、どういった形であれば手にした人に楽しんでもらえるのかを考えて「ももろペーパーワールド」を製作しました。1ページ1点の収録という仕様なのに、50点を超える絵を収録した画集であり、印刷や製本にもこだわり、手にした人が自由に使える新しいもの。ももろさんの1ファンとして、日々生み出されていく多くの作品を手元に留めて置ければ、という気持ちもありました。

2018年8月にももろペーパーワールドを発売して、予想を上回る売れ行きで多くの方に手にしていただき、2019年1月にはペーパーワールドvol.2も製作しました。
2つの画集を編集/デザインし、ももろ作品と向き合うなかで、ご本人に聞いてみたいことがたくさん生まれ、ももろさんのお家にお邪魔し、作家とデザイナー、友達同士、フリーランスで働くもの同士など、いろいろな立場からももろさんとお話を聞いてきました!

◼︎ももろ プロフィール

ももろ/イラストレーター・絵本作家 笑い声が聞こえてくるような生き物の動きや、楽しくなる色の組み合わせを大切に、ストーリー性のある外国の絵本タッチのイラストを制作。note: https://note.mu/momoro66記者/若林  まんまる〇という屋号でデザイナー、編集、企画、活版印刷アテンダントなどをしています


--- 絵が生まれる時間

若 ペーパーワールドvol.1、そしてvol.2と製作する中でどうしても聞きたかったことがあります。ももろさんは、絵を描くのが早いですよね?

も うーん…どうかな、早いかもしれない。1日に3枚くらい描いている日があるかな。

若 多い!毎日それくらい描くんですか?

も いや(笑) 描かない日はもちろんあります。でも、若林さんに送ったペーパーワールド2に収録したパンダの絵は、言われてすぐに描きました。モノクロイラストをもう一点という話があって、パンダのアイデアはあったのでそこから描きました。

▲お願いしてからすぐ描いてくれたというパンダの絵。

若 えーーー!描いてあったんだとばかり!伝えてから2時間ほどで送ってくれたので…早い…。

も アイデアがあると仕上げるまでが早いかも。日々描いた絵を夫に送っているんですが、これとかは1日で全部描いてて。(実際にスマホで送ったイラストを見せてくれて、多い日は3、4点のイラストが!)  
例えば、これを描きたい!と思った構図で一枚絵を描いていると、描きながら違う角度からの絵、パターン的なものも描きたいというアイデアが浮かんできて。そういう時は、このアイデアも!という感じで同じ日に描いてます。でもSNSにアップする日はバラバラにしていたりします。

若 なるほど!続き物としても楽しめる絵がvol.2の編集中は多かったです。今回は新作も多く描いてくれて。新作も含めた画集の編集作業をしている最中に、ももろさんがSNSには他の新作をアップしているから、やはり複数人いるんじゃないかと思ってて(笑)

も ひとりです(笑) vol.2は新作という引きがないとダメかなぁと思って多めにしました。vol.1、2と作ったものの、2が売れるかどうかという不安はあって。1は物珍しさで買ってくれた人も多かったかも、と考えることもあって。

若 そうだったんですね。私はvol.1が品切れしそうだったので、これはvol.2も早く作らないと!と思っていて。新作もどれもいい!と楽しく製作をしていました。編集作業中はとにかくももろ作品を多数見るんですが、構図がうまいなぁとデザイナーとして感心させられるものか多いです。

も 構図については良くtwitterなどでも褒めてくれてありがたいなと思っています(笑)

 本当に構図がいいんです!絵として完成しているんだけれど、文字を入れても世界が崩れなくて。むしろ文字入れやすい!と思うことが多い。構図がしっかりしていて世界観が強いのに、ちゃんと隙間があって…(しばらくももろさんの絵を褒める) 構図は強く意識してますか?

も 自分ではあまり構図を意識してはいなかったんだけど、描きたい構図を思いついたときは嬉しくて、あ!描かなきゃ!となり、他はとりあえず置いて、描きたい構図を優先しているかも。

▲構図を思いついたとき勢いで描いたというスイカの絵。

も なので、描きたいものから仕上げていくことが多いかな。やっぱり描きたくならない日というのもあって、そういう日が続くとすごく焦ってきて。描きたいという気持ちが自分の中では一番大事かなと考えているので、描きたいと思うものがあったら、他を置いてもそれを優先しています。

若 描かない日があるというのは驚き!日々楽しく描けるタイプの作家さんだと思ってました…

も 1日1枚のようにコンスタントに描くことはできなくて。毎日描こうと決めて描いていると、つい同じような絵になり、自分でも飽きてしまって描けなくなるのかなと思います。だから、描きたい!と思った構図やアイデアは大切にして描くようにしています。

若 ももろさんの作品は明るい力を感じることが多いんですが、前向きな描きたい!っていう気持ちが構図や絵の強さを生んでいるのかも。

---ペーパーワールドvol.2のスリーブ表紙仕上がりまで

▲画集・ももろペーパーワールドはカバー表紙がスリーブになっている

も vol.2表紙は納品したデータより、スリーブになった状態がすごくいいなと思いました。あまり意識していなかったんだけれど、スリーブ仕上がりを見て色味が表と裏で別れて世界ができた感じもよかったです。

若 意識してるんだと思ってました!(笑) 表紙絵を少し変更してもらったこともあり、気に入ってくれていると聞いてデザイナーとして安心しました。良かった…

▲上がももろさんの最初に送ってくれたデータ。右側の白い四角を取ってもらった。

も 変更をお願いされて、もともと裏表紙の白ありきで構成も考えていたから若林さんから白部分を取りたいと言われて、それを抜くと絵として寂しくないかなと不安だったけれど、仕上がってきたらすごく良かったです。

若 本当に安心した…。タイトル文字はvol.1から変えないというのは決めていたので、タイトルが入って引き締まりつつ絵に目が行く感じになったかなと。

▲イラストに若林が文字などを配置した最終の入稿データ。白い四角を取り、タイトルが大きく白で入っている。

も 青の面積が増えたのも最終的にすごく良くて。若林さんの言うことだから大丈夫、と任せて良かったです。
今回の画集もですが、他の雑貨なども納品したあとは、デザイナーさんや編集さんに任せることが多いです。スマホカバーなどもデザイナーさんがいいと思うように配置や展開をしてくれるんですが「うまいな〜」と思ってすんなりとOKすることがほとんどです。

若 ももろさんの絵の強さがあってこそ!だと思います。デザイン作業もしやすいし、デザイン案が、パッと思い描けます。

も vol.1、2と並べるといいデザインにしてくれたのも嬉しかったです。スリーブは仕上がった後、自分の絵なのにこう見えるのかと新しい見え方を感じ、裏面がより好きになったりしました。5月に個展があるんですが、その展示テーマが水辺ということもあり、個展制作時と同時期にvol.2の表紙も描いていたのでこういう構図や色が生まれてきたのかもしれません。

▲緑とピンクの明るい表紙がvol.1、青のグラデーションが綺麗な表紙がvol.2。色合いがかなり違うが世界観は変わらず伝わってくる。

若 やや暗めの色合いがすごく良かったです。ももろさんの世界観だけれど、vol.1のスリーブ表紙とは全く雰囲気が違って。

も 若林さんが暗めの作品もとても良いと言ってくれてたこともあり、こういう絵が生まれたのかも。でも出てくる動物とかはvol.1と同じだったりします。ヨルン(※ももろさんの描くクマの名前)やキツネが表紙にいて。

若 そういわれれば確かに!キツネはvol.2の方が目立っているような…。

も キツネを好きと言ってくれる方が多いのもあるかもしれないです。言ってもらえたことを作品に反映していることは多いです。

若 周りの意見を組み込みつつ、しっかりと自分の世界にする力が素敵です。そういうバランスが本当に上手い。デザイナーとしては水辺に浮かぶアヒルたちが可愛くてお腹を切らさないようにデザインをがんばりました(笑)

も え!? 位置の修正は言ってくれれば!デザインしづらいことがあったら言ってくれれば変えます。タイトル文字もうまく入れてくれたけど、白い月の部分が邪魔じゃなかったのかなと気にしていました。

▲奇跡的に良い位置に来ているタイトル部分の白い月。

若 もらった絵がすごく良かったので、白だけ取ってもらえたら仕上がりは想像がついていて。月部分もタイトルの白が浮きすぎず良いなぁと。AとPの文字が見える程度もバランス良くちょうどいい位置に入るなぁと感心してました(笑)

も ほんとに!よかった。邪魔だったら取ったほうがいいかな、って思っていて。奇跡的にうまくいってたね!

若 デザインを任せてくれているという安心感もあるから、私も柔軟に提案できて。さっきデザイナーさんの展開などはほぼOK…という話をしてくれたけど、そういう信頼関係があるとデザイナーも意見を出しやすくて、結果いいものができるのかも。

も 自分のできることをしたらあとは任せる!と思っているけど良い方に転がっているようで良かったです。


後半へ続く

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