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第8回近藤芳美賞応募作15首詠 「二色の血」

第8回近藤芳美賞応募作15首詠

「二色の血」


梶間和歌

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細腰にゴツいベルトを締める音こゝでは誰(だ)れもかへりみぬおと

メンツ見てけふの立ち位置把握する誰(だ)れがゐたつて笑つてるけど

心地よき緊張とさらぬ緊張がある何百回現場終へても

出ぬ杭も女子同士だと、ロングヘア巻けどくゝれど自由ではない

言はれずと五尺脚立(ゴシャク)を担ぎ「GO」を待つ二番手といふ役割が好き

「フタ先行」といふ合図に駆けてゆくあたしが、ガテン系女子の血が

全体重迷はずあづけラチェ回す一命(イチメー)を取る(トル)といふ五尺脚立(ゴシャク)に

たぶん血が出始めたなと手を止めず天板跨ぐ腰をずらしつ

「ビームより板(イタ)優先! 」と叫びたり手元をビヾらせぬ声色で

全体を見渡し指示すPバンの有無、ラップするパレットの順

距離感はよくわからぬがうまく巻き上げつ ラップの量も強度も

滾る血に夜風吹き寄す一時間十分巻いてバラし終へたり

血と汗の混じるこゝちを思ひ出し女子トイレにて戻る をんなに

出ぬ杭も打たれるけれどよしさはれ来む世もラチェを握つてゐたい

紅を引き髪を巻いてもふつうのをんなにはなれないあたしを愛す

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この記事に添えたコラムはアメブロをご覧ください。

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梶間和歌の発表済みの和歌アーカイブ


歌集『生殖の海』


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