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ファクトフルネスの極み。~中国企業の実力を冷静に考える~

米中貿易摩擦が激化する中、アメリカ商務省は5月に中国の通信機器メーカー「華為技術(ファーウェイ)」向けのハイテク輸出規制を強化するなど、事実上の「ファーウェイ禁輸措置」を発表しました。

対岸の火事のように日本では感じている方が多いかもしれません。コロナ渦中、米中貿易摩擦のことに目を向けるよりも日々の感染者の増減。これから会社や自分たちの暮らしがどうなっていくのか。取引先をささえる日々の業務などに奔走している方がほとんどだと思います。

僕もそうだったのですが、オリエンタルラジオの中田さんが挙げているYOUTUBEで中国企業についての解説をされているのを見て、アンテナに引っ掛かりました。

・・・これ、本当に米中の経済戦争なんだろうか・・?もっと大きな話に繋がっているのではないかと。・・・じゃあ日本と中国企業の関係はどうなっているのかあ・・。ファクト(事実レベル)で調べてみようと思い立つと結構びっくりすることが起きているのに気が付きました。

特にテンセントグループが興味深かったので、少しお話いたします。
あまり突っ込んだことを言って、ビンゴだったらかえって怖いので、具体的なところは触れません(笑)

まず、大前提としてですが、僕たち日本人は現在の「中国」が世界経済に与えている影響を冷静に見て考える必要があります。

是非、中田さんのチャンネルをご覧になってから読んでいただけましたらと思います。

かえって感情的な面を持ち出すと、どうしてもブレるというか良い感情にはならない方が多くなるのでお勧めしません。民主主義国家ではないという国家体制が大きなウェイトを占めているので、「そんなのあり?」という施策もあるので理解しがたいと思います。

アメリカの巨頭企業については、身近に存在しているので分かり易いと思います。google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Facebook(フェイスブック)Apple(アップル)。
日頃からめっちゃ恩恵を受けております。特に携帯アプリプラットフォームについて、アイフォンとアンドロイドの2強だと言っても過言ではないはずです。
次に中国企業の巨頭企業を挙げてみます。Baidu(百度/バイドゥ)、Alibaba(阿里巴巴集団/アリババ)、Tencent(騰訊/テンセント)
Huawei(華為技術/ファーウェイ)

今猛烈にHuawei社が叩かれているわけでありますが、調査によれば、2019年のスマートフォン(スマホ)出荷シェアは米国からの制裁があったにも関わらずファーウェイがアップルを抜いて、世界第2位のメーカーとなっています。

「そんなにシェアがあるの?」と疑問に思われるかもしれませんが、昨年アフリカのウガンダに行った際も、ほとんどの市民はスマートフォンをもっていてデパート、空港にもファーウェイの看板がありました。
また、疑惑としてファーウェイの社員が、諜報活動を手助けし、政敵を監視していたという報道があったのもウガンダだったりします。

では、今回取り上げる対象の「テンセントグループ」。有名なのが「WeChat」というアプリで、まあ一言で解説すると「銀行決済機能をつけたLINE」です。

僕はまだ体験していませんが、めがっさ便利っぽいです。LINEも「LINEPAY」というサービスを開始していますが、ウィーチャットが真価を発揮するのは銀行の口座に紐づいており、簡単にお金の移動が出来ることです。

銀行口座に紐づいているモバイルsuikaと携帯電話がくっついたと考えると近いのかな。会員同士であれば簡単な操作で決済できます。

例えば、友人グループで食事をしに行った際にワリカンになりますよね。そんな時なんかに重宝します。
「はーい、一人1500円ね~」「はーい」
ピッピッ→終了

他にも「ちょっとお金貸してくれない?」「いくら?」「3000円。給料日前でさ」「いいよ~」ピッ→終了

もはやATMって何だろうか?「紙幣」って「硬貨」ってなんだろうか?って思ってしまいます。
日本でも昨年くらいからようやく電子決済の推奨を始めていますが、今後急激なスピードで割合が増えてくるはずです。くしくもコロナ渦が後押しします。
紙幣や硬貨についてあまり触れていない人が多くないですが、相当汚いです。誰の手に渡っていったのかも明確ではありません。除菌もされません。
Wechat型のサービスについても数年以内に導入・拡散されるでしょう。

すでにWechatと比べても、導入~実装までに数年のラグが生じています。現金使用率が未だに大きい日本において広く使用されるまでに時間がかかりそうです。
ETCの導入時のように相当なメリットを用意するなど、官民一体でシフトチェンジをする覚悟がなければ大きく電子マネー化からは取り残されていくでしょう。

さて、そんなテンセントが今資本をドカドカ投入しているのはネットゲーム業界。特に「eスポーツ」の分野です。

eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ(electronic sports)」の略称です。

簡単に言ってしまうと、複数人のプレイヤーで対戦するゲームをスポーツとして解釈して「eスポーツ」と呼びます。ですので、「サッカーゲーム」や「バスケットボールゲーム」のような一般的に言われる「スポーツ」の範囲ではないジャンルも含まれます。

日本でも広く遊ばれているソフトとして有名なのは「スプラトゥーン」や「荒野行動」といったところでしょうか。
「落ちゲー」と言われる「テトリス」や「ぷよぷよ」も公認ソフトとして取り入れられています。

開催が危うくなっていますが、オリンピック競技の中にも「eスポーツ」の導入が検討されており、世界中で既に競技人として1億人以上のプレイヤーが存在して「見る専」の人たちも3億8000万人存在しています。

僕もヘタクソな割にゲーム好きで時々「ゲーム実況動画」を見たりするのですが、すでに半分足を突っ込んでいるのかもしれませんね。

テンセントは既にアメリカにて「Trovo Live」というゲーム実況専用ライブストリーミングプラットフォームを立ち上げおり、Amazonの運営している「トウィッチ」というサービスとバチバチシェア争いを始めております。

また、驚くべきことにイギリスのファンドから大量の出資を受けている為、アメリカとイギリスの同調が見込めるかわかりません。

日本に目を向けてみるとさらに驚愕の事実が。

既に東証一部上場企業のゲーム会社「マーベラス」の筆頭株主にテンセントがなっています。つまり経営権に大きな影響を及ぼしているということです。他にも「プラチナゲームス」社も今年に入って資本提携をしており、相当な出資を受けています。
優良な、つまりeゲームの公認ソフト開発が狙いです。
2社とも傘下にするかどうかは未だにわかりませんが、経験値やノウハウの情報を中国サイドのテンセントグループ企業と共有することも狙いにあると思います。
ゲームコンテンツの開発においてはまだまだ日本の企業は強いんです。

テンセントが行っていることは、「プラットフォーム」を作り、箱をつくり、「魅力的なコンテンツゲーム」「ゲーム実況動画」を作り、自動的に市場が増えていくようにして、「エンタメ(世界大会など)」を開催し、広告料収入として世界中の企業からお金を吸い上げる戦略でしょう。

日本政府が真剣に国策としてeスポーツ立国を目指すのかは分かりませんが、優勝賞金が莫大なため日本では景品表示法の観点から考えると「聖地化」として存在しうるポテンシャルを持っているにも関わらず、中心にはいられない感が今のところありますね。(優秀なプレイヤーはごろごろいそうですが)

おそらくこの手のM&Aはコロナ渦後の世界不況も相まって加速するでしょう。かつて日本の企業が摩天楼の土地を買いあさったのと同様に伸びしろのある企業をくっつけてより市場を大きく、影響を強くもっていくのがトレンドです。

これは僕の勘ですが、おそらくテンセントは表に出る戦略は取らずに、表向きは現地法人運営とすることで、市場に食い込んでいく手法をとると思います。今回のファーウェイ事件を鑑みるに、強引な国家運営について好感度として「中国」は強くないです。あえて押し出す方がリスクになります。

僕たちが気が付かないうちに、サービスを受けている先が中国系の企業でしたということは普通になるでしょう。

究極論なのですが、日本の米・野菜・伝統工芸品などを扱い、日本に所在し登記している日本の企業だけど中国系企業が出資しているということもあり得ます。

そしてグローバル化の波はストップすることはないし、世界経済に与える中国系企業の影響は今後より大きくなってくると思います。

アメリカ系企業のサービスについて恩恵を受けていてそのことにあまり気が付いていない僕たち。
世界の市場上位に位置する中国系企業の財閥のことすらよくわからない僕たち。
経済という面で世界と対等に本気でやりあうつもりであれば、まず最初に僕たちは立ち位置を見定めて考えなくては勝てません。

僕はけして中国企業の味方でもないし、肩をもつつもりもありませんが、正確な実力を見定めて優れている部分は認める必要があると考えています。素晴らしいかどうかは別として、ビジネスとしては非常に上手いです。

これは世界に散らばっている華僑の方たちの総数とバイタリティを見ても容易に想像できます。いったいどれだけの日本のビジネスマンが世界で仕事をしているのでしょうか。

日本の割箸業界について、すでに92パーセント程度は中国からの輸入によって賄われています。世界で使用、販売されている「箸」全体の総数をみてみると99.9パーセントくらいに拡大するでしょう。

「箸は日本文化の象徴だ」と日本国内では取りだたされていますし、僕もその通りだと考えていますが、

にしては広がりを見せていない。
世界の市場で販売すらしてない。
「市場が限界だ」という。
後継ぎ不測の為に工場が廃業する。

もったいなさすぎです。完全な日本企業の「実力不足」です。

鉄砲隊の前に屈した武田の騎馬隊。
もしくは新式の銃に対して旧式の銃や刀をもって争った戊辰戦争のようにデジタルインフラに日本が取り残されそうになっています。

僕は負けるの嫌です。日本も参加プレイヤーとして対等に渡り合いたいです。そちらの方が楽しいでしょうし。

だからこそ、学びます。取り入れるところを吸収します。

僕は日本が大好きです。誇れるものがたくさんあるし、世界市場で需要がうまれるものも膨大にあることを感じ取っています。

明治時代のスローガンは「和魂洋才」でした。この気持ちは忘れてはいけないと思います。

かつて木戸孝允や大久保利通、岩倉具視、福沢諭吉らは積極的に海外の学べるものを選別、導入しています。

昭和、特に戦後の栄光からバブル崩壊という経験値がある僕たち日本人だからこそ、フラットに価値観を考えられる下地があるはずです。

時代の転換期だからこそ激動の中に身を置いた方が「自然」なのではないかという考察でした。

あつくなっちゃった!

ではまた次回~

埋もれてしまっている宝石がたくさんあるように思います。文化だったり、製品の場合もあるけれど一番は人間の可能性です。見つけて、発信してよりよい世界を共に生きましょう。