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僕のアイデアの出し方

お世話になっております。若林です。

たまに「アイデアの出し方」について質問されます。
そこで今回は僕なりのアイデアの出し方を紹介します。

アイデアを頭の中から出すには、きっかけとなる「問い」が必要です。
「どうしたら面白い話が思いつくだろう?」
「今ウケるのはどんな漫画だろう?」
こうした「問い」を前にすると、人間の脳は何か答えを出さないと気持ち悪くなるようにできてるそうです。

ところが、その「問い」が難しいと、欲しい答えを出すのに時間がかかります。
「どうしたら面白い話が思いつくだろう?」→「たくさん案を出してみる」→「その案を出すには?」
「今ウケるのはどんな漫画だろう?」→「面白い漫画」→「つまりどんな漫画?」
「問い」が難しい場合、このように答えと問いを積み重ねて「問い」を単純化していくことになります。

ただ、この単純化のために「問い」を何度も繰り返してると、だんだん頭がぼーっとしていくんですね。
なので最初から、自分にとって案を出しやすい「問い」のパターンを用意しとくんです。

まず僕は、「問い」に「自分なら」か「あの人なら」という主語をつけます。
「どうしたら面白い話が思いつくだろう?」→「自分ならどう面白い話を考えるだろう?」
「今ウケるのはどんな漫画だろう?」→「あの人にウケるのはどんな漫画だろう?」
主語を付けることで考え方が限定されるので、答えが出しやすくなるんです。
検索内容を具体的にするほど欲しい答えが出やすくなるのと一緒かもしれません。

次に「どう思いつくか」「0を1にするには」という考え方は時間の無駄なのでやめます。
0から1を生み出すのは無理ですもんね。
なので「問い」が難しい時は、「1を100にするには」という考え方に当てはめていくんです。

「自分ならどう面白い話を考えるだろう?」→「自分がバトル漫画を描くならどう描くだろう?」
「あの人にウケるのはどんな漫画だろう?」→「あの人にウケる恋愛漫画はどんな漫画だろう?」
ここまで具体的になってくると、だいぶ「問い」に対して答えが出しやすくなります。
主語が限定されると条件が絞られますし、方向が決まると余計なことを考える余地が無くなります。

僕が漫画のアイデアを出す時は、元となる「問い」に対して「自分なら」と「あの人なら」を両方やります。
人は意外と自分のことをよくわかってなかったりするので、他人との違いの中で自分を再認識する作業が必要なんですね。
なので「あの人だったらこう考えるだろうけど、自分だったらこう。」と考えることで、自分と他人の違いを再確認しながら、自分の描きたいアイデアを導き出すんです。

「徒然チルドレン」では20組くらいカップルを考えました。
あの時の僕は打ち切り寸前でとにかく仕事が欲しかったので、読者だけでなく、編集者に向けても漫画を描いてたんです。
そのために「特別個性の強いキャラを作るんじゃなく、誰にでも描けそうなキャラを自分なりに描いて、自分の作家性がわかるようにアピールしよう。」と考えていたんですね。
なので「恋愛漫画」「4コマ」「1日1本描ける程度の話」という縛りの中で、「ツンデレを自分が描いたらこうなる」「先輩キャラを描いたらこうなる」というふうにキャラを作っていきました。

それ以来「面白いアイデアを出す」ではなく「どんなアイデアでも自分なりに面白くする」という考え方でやっています。

どうでしょう。
僕がアイデアを出す時の考え方はこんな感じです。

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