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『本山へ行く!』其の七 禅林寺〈永観堂〉

とりあえず3回連載企画『本山へ行く!』の第7回目記事になります。

この企画は、50以上ある京都の仏教諸宗派本山を寺院営業部・S木くんと一緒に参拝します。それぞれ興味のあるネタを探して、S木くんがインスタグラムに、わたくし工芸舎・F倉がnoteに、同時にネタをアップするインスタ&note連動新企画です。


取材日の2/9は、小雪のちらつく京都らしい寒さとなりました。

今回は、浄土宗西山禅林寺派本山・禅林寺さん。「永観堂」のほうがしっくりくる方も多いのではないでしょうか?『本山へ行く!』企画初の浄土宗本山です。


「永観遅し!」の『みかえり阿弥陀』で有名です。正面からお参りするとそっぽを向かれているように感じ、「こっちを向いて!」と思ってしまいます…。しかし、大丈夫です。ちゃんと阿弥陀様のお顔が向いている方向からも参拝できるようになっています。

禅林寺さんは、『みかえり阿弥陀』の他にも国宝や重文がたくさんあり、長谷川等伯の『波濤図(はとうず)』は「すばらしい!」の一言です。

また、阿弥陀堂・釈迦堂・納骨堂・鐘楼・勅使門・中門は府指定文化財に指定されているようです。〈※HP参照しました〉

今回の注目ポイントは、繧繝彩色(うんげんさいしき)。

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繧繝とは、同系色の濃淡で表現する彩色技法です。斗組(ますぐみ)とか虹梁(こうりょう)、貫(ぬき)などの部材への加飾に用いられます。

なぜ仏堂にこのような繧繝彩色が施工されるのか?

ここからは私の仮説です。

繧繝というのは前述のとおり技法の名称なのですが、柱の上部に幾重にも布を巻き付けたような形状の彩色を「金襴(きんらん)彩色」と呼びます。仏具業界では「巻下(まきさげ)彩色」と呼びます。

そのむかし、天皇など”高貴な方”に謁見できる人は「殿上人(でんじょうびと)」に限られ、謁見できたとしても布やすだれのような御簾(みす)越しで謁見することになり、直接”高貴な方”のお顔を見ることができませんでした。

寺院の建物にも、如来や菩薩など人を超えた存在が祀(まつ)られています。”高貴な方”を匿したように繧繝技法の金襴彩色で仏堂を加飾し、「ここは”特別区域”ですよ」とわかるようにしたのではないかと思っています。本物の金襴布をかけるとすぐに風雨で傷みますからね…。

この金襴彩色には、龍や鳳凰など空想上の生き物が入っていたり、七宝(しっぽう)や花菱などの模様が描かれ、仏堂に華やかさを付加します。

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また、虹梁の部分には波模様と龍図が描かれています。これは「仏堂を火災から守ってほしい」という願いから描かれたと思われます。虹梁に描かれた龍の胴体は絵で描かれ、蟇股(かえるまた)にまたがって龍の頭が彫刻となる構図は「おもしろっ!」と思いました。

右の男性は誰?ご存じの方はお知らせください!

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そのうち、寺院に用いられる模様のあれこれや、瑞獣(ずいじゅう)についてなども話すことができればいいのですが…。この”とりあえず3回連載企画”、それまで続けられるのか?!


工芸舎・F倉






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