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日本最大の城門

はじめまして。若林佛具製作所・寺院営業部のK池と申します。
主に九州・中国地方でのお寺様向けの仏具販売や、御荘厳に関する内装工事のご提案など、お寺にまつわる様々なことを担当しています。

“お寺様向け”と紹介しておきながら、今回はいきなり普段とは違ったフィールドでのお仕事のお話しをしたいと思います。

以前の記事でも紹介しましたが、若林グループには家庭用仏壇やお寺様向けの仏具製造販売を行う『若林佛具製作所』と、文化財建築や神社など職人の技術を更に多方面へ活かした事業を扱う『若林工芸舎』、またネット販売の『なごみ工房』があります。

今回は『若林工芸舎』でのお仕事ですが、場所が九州・鹿児島という事で私もお手伝いをさせていただきました。

さてそのお仕事というのが・・・日本最大の城門 鶴丸城 御楼門(ごろうもん)の復元工事です!

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鶴丸城(鹿児島城)は、1601年(慶長6年)頃に薩摩藩初代藩主・島津家久が着手した島津氏の居城です。そのお城のシンボルとして高さ約20mに及ぶ日本最大の城門・御楼門がありましたが、残念ながら1873年(明治6年)の火災により焼失してしまいました。

そして2013年(平成25年)より、鹿児島県の一大事業として御楼門の復元が計画されました。復元にあたり民間からも多くの寄付が集まり、まさに官民一体での取り組みとなりました。

私はといえば、2018年放送のNHK大河ドラマ『西郷どん』にどハマりし、度々描かれる鶴丸城での島津家とのシーンを見る度に、「この復元工事に関わりたい!」と思っていました。(青木崇高さん演じる“国父”島津久光はサイコーに魅力的でした!)

その後色々なご縁をいただき、いよいよ復元工事が本格始動していく中で、若林工芸舎として御楼門の主に建具金具の製作に携わることができました。

今までも様々なお寺様で建造物金物を施工しましたが、今回は日本最大の城門です。主柱となるケヤキ材の鏡柱は一辺約90㎝×70㎝、高さ8mもあるとても巨大なもので、その柱を包むように黒漆を焼き付けた根巻金具・帯金具を取り付ける大掛かりなものになりました。
寸法取りから型合わせ、素地製作、色付け、取り付け作業と、通常の大きさでは味わえない多くの苦労がありました。
金物一枚運ぶのも、複数人の手で運ぶものばかりで、高所に上げるためにはウィンチを設置し吊り上げなければなりません。

特に、大扉(1枚 縦5m×横2.5m 重さ約1.4トン!)を支える肘坪と呼ばれる金物を取り付ける際には、扉の開閉に関わるため、大工さんと打合せを重ね、ミリ単位の微調整を繰り返しました。

幸いにも若林工芸舎として以前携わった、京都・二条城大手門での金具工事の経験があったため、そのノウハウを活かし、何とかすべての金物を無事に取り付ける事ができました。

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御楼門の完成直後は新型コロナウィルスの影響もあり、一時閉場されましたが、一般開放されてからは多くの地元の人や、歴史好きの方が見学に来られ、今では鹿児島の新しい観光スポットとして賑わっています。


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ちなみに『鶴丸城』という名前の呼称は、背後に広がる城山の形が、鶴が舞っているように見え『鶴丸山』と呼ばれたことに由来します。

明治維新の立役者でもあった西郷隆盛が、明治新政府との戦い(西南戦争)で最後を遂げるのがこの『鶴丸山』と呼ばれた城山になります。そしてこの御楼門の石垣にも戦争当時の多くの弾痕が今も残っています。

西郷隆盛の死は武士の時代の終わりを象徴しており、西郷こそラストサムライであるとも言われています。またその西郷も島津家がなければ表舞台へ出てくる事もなかったでしょう。そんな歴史の激動の地で、お仕事に携わることができ何とも感慨深い気持ちになるのでした・・・。(ドラマにハマっただけのにわかですが・・・。)


皆さんも鹿児島に行く際はぜひ鶴丸城御楼門にお立ち寄り下さい!


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営業部 K池



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