見出し画像

腎臓とは


はじめに


 腎臓とは、血液中の老廃物を取り除いて尿を生成し、体液の恒常性を維持する器官である。

①老廃物の排泄


 私たちの摂取する食事には蛋白質が含まれるが、これはアミノ酸へ分解され、身体全体の組織を作るために使用される。これらのアミノ酸の分解は食事由来であろうが、組織の代謝由来であろうが、窒素含有老廃物である尿素の産生につながる。くわえて細胞の代謝により酸のような、さまざまな他の老廃物を生じる。これらの老廃物が蓄積すると、体に対して毒性を持つようになる。したがってこれらの排泄は効率よく、持続的に行われなければならない。尿素は、非荷電粒子としてほとんどの細胞膜を自由に通過できるので、その分布容量は総体液量(Total body water:TBW)に等しい。TBWは細胞内外の水を含む。体重の40%は骨のような非水性物質から成るため、体重の60%が水である。女性の場合は体重によらず脂肪の割合が多いため男性よりもわずかに水分量が少ない傾向にある。とはいっても平均的な70㎏の人は約42Lの水を含む。平均して、TBWと同量の体液は1日に約4回腎臓で濾過される。つまり70㎏の人においては、腎臓で180Lもの体液が濾過されている。腎臓では還流する血液の一部のみが濾過されるので、腎血流量はこれよりずっと多い。安静時には心拍出量の約20%、つまり1分間に1Lの血流が腎臓に送られる。これは1日に1440Lに達する。この高容量システムによって大量の体液を処理し、老廃物のクリアランスを一定に保つことができる。

②濾過された体液の再吸収


 腎毛細血管から尿細管へ大量の体液を濾過するシステムは、老廃物の除去に効率が良いメカニズムだが、濾過された体液は直ちに、絶え間なく体に戻されなければ、大量の体液喪失と電解質欠乏で私たちは死んでしまう。実際、腎臓は尿細管システムによって糸球体で濾過される180Lの体液のうち、178L(通常の条件下)が尿細管で再吸収される。

③濾液の微調整


 腎臓システムの3つ目の重要な機能は、排泄せずに保持すべき粒子や水の正確な量を決めることである。感知機能が体全体に存在するため、体液の変化や物質濃度の変化を感知することができる。これらの感知機能は、腎臓を刺激し、物質の排泄または再吸収を刺激するエフェクター経路をもっている。水または物質が欠乏しているとき、腎臓は濾過したものの大部分を再吸収する一方、水または物質が過剰な時、腎臓は濾過された水や水分の多くを尿中に排泄する。 



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?