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京都「江畑」という愛情を食べられる焼肉屋

京都で「江畑」という焼肉屋がある。昔の遊郭だった場所をリノベーションした店で、僕はこの店がとても気に入っている。WAGYUMAFIAをしてから外で焼き肉を食べることはほとんどないのだが、どうしてもこの「江畑」だけはふらっと立ち寄りたくなる。ここの店はカウンター一択である、テーブル席もあるのだがカウンターに座らないとその価値は半減することだろう。店員さんと地元客との会話、すべてがなんとなく居心地がいい。頼む品物はテッチャンとハイボール、そしてどぼ漬けである。どぼ漬けとはぬか漬けのことである、そこにバサッと味の素、そして鮮度のいい僕好みの山椒、醤油を一回し。これが旨い。

カウンターに座るためには始業する5時より10分ぐらい前に行くのがいい。そうすると大抵カウンターに座ることが出来る。今日は前段のミーティングが押してしまい、ダメもとで訪問した7時半。タバコを吸っている常連客と話すと中は一杯という、それでもと扉をあけてカウンター越しのおやっさんに聞くと「3人か?ちょっとまっていて。」と合図、待つこと5分、今日は運がいい。どうしてもWAGYUMAFIA HONG KONGのパートナーのJeroにこの店をみせたかった。このテッチャンはヒダ面を焼かない。脂がついているサイドのみをじっくり焼いていく。彼らのタレがまたいい。

この店がいいのは店員とお客さんがビールを入れていたりと、とにかく仲がいいことだ。横の繋がりも自然に生まれる。YAKINIKUMAFIAもそうだが、僕はこの人々の何気ない愛情みたいなものを食べにやってくる。旨い料理なんてどこでも食べられる、でも人々の愛情を食べられる店はなかなかない。釣り好きの先代のおやっさんが亡くなってからも、この独特のウェルカミングフィーリングは変わらない。嬉しい気分ですすむハイボールをくいっと傾けていると、となりの女性が話しかけてくる。「私、江畑っていうんです。すぐに子供は大きくなっちゃうからね、うちなんて190cmで靴のサイズ30センチなんだから。」と生まれて1ヶ月が過ぎたうちの赤ちゃんをみながらそう言う。「息子さんはおいくつなんですか?」と尋ねると「27歳!」と返ってきた。あやうくハイボールとテッチャンが吹き出そうになった。

オーナーファミリーが横で美味しそうに食べているっていうのはこういう感じなんだろうなぁっと思った。WAGYUMAFIAもそうだ、僕も堀江もまあよく店で食べている。自分で言うのもなんだが、旨いし、実に居心地がいいからだ。Jeroが香港で焼肉屋をやっているというと、嬉しそうに色々と教えてくれる。そのおやっさんも8ヶ月の赤ちゃんがいるらしい、赤ちゃんを抱っこしていて片手しか使えないから、と賄いのカレーをさっと出してくれる。スプーンがカレーとライスに下に埋まった賄い用のメラミン皿で出してくれる。”THIS IS JAPANESE CURRY"と、おやっさんは流暢な英語でJeroに伝える。そして「残った端材をドバドバ入れて作るんや」とJeroに教える。肉屋しかこんなん出来ないもんなーとガハガハ笑う。

こんな店が最高だ。

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