見出し画像

対立から結論を導く #166 妥協と協調

人は一人で成せることには限界があります。
そのため同じ目的を持った人たちと組織をつくります。
しかしながら、目的は同じであっても、それを果たすための考えや人格は異なります。
その意味でも、組織には様々な主張があって然りです。

しかし、この主張がいつまでも平行線で合っては、組織の目的を果たすことができません。
そのために機能させるのがマネジメントです。

組織内の対立を解消する手法としてコンフリクトマネジメントがあります。
これは相反する意見や態度、要求等によって対立や軋轢が生じることです。
つまり、コンフリクトマネジメントとは、業務や職場のコミュニケーションを円滑化するような組織の成長に役立つ取り組みを指します。

具体的には、コンフリクトからは、5つの傾向あるいは状態になるとされています。
まず、解決には程遠いのが、次の3つです。

1.回避状態
お互いに意見を譲らず決裂し、解決を先延ばしした状態。

2.強制状態
一方が権力などを使い、その意見に無理やり決定させた状態。

3.受容・服従状態
相手の意見に屈服した強制スタイルとは反対の状態。

これらは、事象としては、先延ばしをしたり、権力で沈静化させただけであり、全くコンフリクトが解消されたものではありません。
それどころか、感情的に不満を増長させ、コンフリクトを悪化させただけとも取れます。

次に比較すべき2つです。

4.妥協状態
5.協調状態


どちらも、コンクリクト状態からは脱していると言えます。
しかし、その中身は、似て非なるものであると捉えられます。

例えば、心理学者の河合隼雄氏曰く
「協調と妥協の差は、協調はそのことをするまでに苦しみがあるのに対して、妥協はそのことが終わってから苦しみがある点にある。」(著:「働きざかりの心理学」より)

協調とは、相手と自分の考えを話し合いなどをしながら擦り合わせをし、納得した結論を導き出す行為です。
もちろん、話し合いの中には、互いの考えの相違からぶつかり合いもあるかと思います。
よって、その過程で、人間関係としての苦しみも伴うものです。
しかし、ここでの苦しみは、ポジティブなものと考えます。

一方、妥協というのは、話し合いなどの擦り合わせをしません。
自分の中で、自分の考えを抑えている、我慢する行為なのです。
結果、表面上は、結論が出せているように捉えられるかもしれません。
しかし、納得しないままの結論です。
そのため後々、妥協し合った関係から噛み合わずに苦しむことが出てくる可能性があります。
つまり、ネガティブな苦しみです。

もちろん、組織における結論を全て協調で導き出していたら時間がいくらあっても足りない可能性もあります。
よって、多少の妥協もあって仕方ないのかと思います。
また、望ましくはありませんが、強制状態や受容・服従状態を受け入れざるを得ない場合もあります。
つまり、現実的には、納得した妥協もあり得る覚悟は必要です。

問題は、妥協を絶対にしてならない案件は何かです。

妥協とは、後から苦しむとの表現がありました。
多くは、後悔の念だと思うのです。
後になって、あの時、妥協しなければ良かったと後悔することです。
つまり、後になって妥協したことを後悔するような案件では、絶対に妥協すべきではないと私は思います。

様々な考えが飛び交う組織において、考えの相違があって然りです。
そこには何らかの苦しみがあると覚悟する必要があります。
しかし、どうせ苦しむのであれば、ポジティブな苦しみを選択したいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?