とある戦士の記録

僕は勇者だ。このたび戦士としてこの世界に生を受けた。

ここはキャンプ・ルノアール。僕は現在、信者達によって神降ろしされてしまった邪神を倒しに行くミッションの途中だ。キャンプ・ルノアールではこれから僕が乗って敵陣に乗り込む予定のグランドアーマーに放火機能をつけてもらっている。グランドアーマーの修理を眺めながら、なぜ初めて乗るのに僕は操作方法がもうわかっているのか考えていた。

「おう、戦士か。どうだ、完璧だろう」

違う種族の修理士が僕に話しかける。

「ありがとうございます。試しに乗ってみても良いですか」

「もちろんさ。じゃあ、ここから北の門を出たルノアール高原で乗ってみようじゃ無いか」

僕の昨日の記憶は無い。それなのに今朝起きたら、僕は戦士でこれから邪神を討滅せねばならないとわかった。グランドアーマーの乗り方も知っていた。高原をうろつくモンスターの倒し方も、武器の扱いも、必殺技の出し方も全て知っていた。


(続く)

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