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NDロードスターにエアコンフィルター取付(内側編)

 半分は終了といったな。あれは、嘘だ。
 大変さでいったら、10%くらいしか終わってません。本番はここからです。

 内側のフィルターを取り付けるには説明書にあるとおり10㎜のレンチが必要です。それからラジオペンチとバレーボールの選手がつける膝当てもあった方がいいです。はじめての方は勇気と折れない心もご準備ください。
 内側のフィルターはロードスター助手席前の奥深い場所にあります。川口浩探検隊なら2時間番組が作れるくらい奥深いです。そんな冗談いってると本当に2時間かかっちゃったりするので早くも折れない心を抜き身で構えていてください。

チャレンジャーを待ち受ける助手席側

 ドアを開けてまたぐ部分をスカッフプレートといいます。まずはこれを外しましょう。車体後部側から真上に引っぱると「クコッ」という音と共に簡単に外れます。

スカッフプレートを外した状態

 たいへん簡単に外れました。「なんだ、簡単じゃん」と思う気持ちはわかります。しかし、油断こそが最大の敵です。第二次世界大戦でフランスは「マジノ線があるから大丈夫じゃん」なんて思ってシャンゼリゼ通りでシャンソン歌いながらフランスパンなんてかじってるからあっという間にドイツ軍に占領されましたし、『シン・ゴジラ』では総理大臣が「上陸しないっていっちゃった」りしたから内閣総辞職ビームを浴びることになりました。
 我々はそんなことにならないように慎重に、かつ心を強く持って進みましょう。

 続いて、モールと呼ばれる部品を引き抜きます。スカッフプレートのあった場所に向かって引っぱると、この部品は柔らかいのでズルズルと抜けていきます。途中からはベロベロと外れてくるでしょう。

モールを外した状態

 モールの次は下の写真のパーツを外します。

助手席足もと、左足があたる辺り

 まん中に見えているクリップを引っぱって抜き、パーツそのものはまっすぐ車体後方に引っぱるとこれまた簡単に抜けます。「ガコッ」という音がしますが、たぶん気にしなくて大丈夫です。

パーツを外した状態

 このあたりで膝当てが有効になってきます。ロードスターは車高が低いので、パーツを下からのぞき込んだり引っぱったりするときにけっこうアクロバチックな姿勢を強いられます。へたすると地面に膝ついて怪我したりしますので、準備は怠りなく。
 さあ、いよいよ車をいじっている感が増してきました。Aピラー内張を外します。上の方から下に向けて引っぱると、「ゴッ」という音がして3か所あるクリップが外れます。

外したAピラー

 こんなところ外したことない人が大半でしょうから、ちょっと腰が引けるかも知れません。でもそれくらいでちょうどいいです。
 なぜならこの内張にはツイーターが仕込まれているからで、調子に乗って強く引っぱると断線します。

手書きの文字に人の手が入っていることを感じます。

 さあ、いよいよ今日一の大物を取り外すときがやって来ました。助手席前の下半分を覆うパネル、普通の車ならグローブボックスがあるところです。ND型ロードスターは普通の車ではないのでグローブボックスがありません。
「ワックスを拭き上げるとき、バンパーのここを撫でるときの感覚がたまりませんよね♡」といっちゃうような人がデザインした車ですから、普通なわけがないんです。本人から直接聞きました。
 件のパネルを外すには、先ほど外した左下のパネルで隠されていた10㎜のボルトを外します。

これはドライバーでは外せません。

 下側パネルをネジ留めしているのはこのボルトだけです。それ以外はツメでひっかかっているだけなので、強く引っぱれば取れます。ものが大きいだけに「グゴッ」というけっこうな音がしますが、たぶん大丈夫です。

ガバッといきます。

 さあ、これで戦いの準備が整いました。大物が外れたからといって、戦いは終わりではありません。それどころか、まだはじまってもいないのです。
 フィルターボックスにアクセスするには、行く手をさえぎる5つのコネクターすべてを外さなければなりません。まるでインディ・ジョーンズを苦しめる古代神殿のトラップのようです。あるいはお姫様の救出に向かう勇者を待ち受ける仇敵でしょうか。

「ククク、ここを通りたければ我らを倒していくんだな」

 このコネクターは振動で外れないようにツメで固定されています。このツメを押し込んでやれば簡単に外せる……はずなのですが、なかなかにツメの位置がわかりにくい。そしてわかってもうまいこと押し込めません。やはり内装剥がしか精密ドライバーがあると助かります。助かりますとはいっても簡単になりますという意味ではありません。聖剣は持ち主を助けてくれますが、決して代わりに戦ってはくれないのです。
 特に右下のコネクターは難敵です。他の4つを外しても、「あいつらが束になっても俺一人の戦闘力の方が上なんだぜ」とでもいうかのように、かたくなに降伏してくれません。なんでおまえだけツメの形が箱形なんだよ!

勝利なんて、むなしいものなんだな……

 とはいえ人類の英知の前にコネクターなどというものが勝てるわけもなく、思い出したくないくらい時間をかけたことを除けば楽勝でした。あとツメを押すのに使ったマイナスドライバーがすべって中指ざっくりやっちゃったのを除けば。
 さて、最後の難関はクリアしたわけですが、フィルターボックスは手が入らないくらい奥にあります。

手が届きそうで届かない。

 上の写真で見えているのはあくまでもフィルターボックスで、手前のカバーを外すとフィルター本体が露わになります。しかしこのフィルターボックス、手前のカバーを外すには両サイドのツメを起こさないといけないんですよ。手が小さいかE.T.ばりに指が長くないとそんなところ触れません。

手前のエアコンダクトを外す。

 というわけで邪魔になるエアコンダクトを外します。ダクトは他のダクトにはめ込んであるだけなので、手前に引けば外せます。これでフィルターボックスの手前のカバーを外すことができるようになりました。
 それでもフィルター本体を手で取り出すのは困難なので、ラジオペンチを使って引っぱり出します。

もう、はなさない。

 純正のフィルターを取り出したら、MLITのフィルターと入れ替えです。取り付けるときには上下の指定があるので注意しましょう。

再交換用に引っぱるタブもついてます。


 純正と並べるとその違いは一目瞭然。PM2.5も吸着してくれるそうなので、花粉の季節は頼りがいがありそうです。

純正の素材でマスクつくったら怒られそうです。

 あとは外した順番どおりに元に戻していけばいいのですが、チリ合わせとか忘れがちなので、部品を外すごとに写真を撮っておくといいと思います。
 そうそう、それからコネクターを外しているのでオーディオ等の設定はすべてリセットされますので気をつけて。
 それでは安全運転ですてきなロードスターライフを。


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