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八月の読書録と積読状況

 八月に読了したのは以下のとおりです。

「自分ひとりの部屋」ヴァージニア・ウルフ
「青と緑」(「月曜か火曜」)ヴァージニア・ウルフ
「吉村昭の平家物語」吉村昭
「砂の本」ホルヘ・ルイス・ボルヘス
「予告された殺人の記録」ガルシア・マルケス


感想

「自分ひとりの部屋」ヴァージニア・ウルフ

「青と緑」(「月曜か火曜」)ヴァージニア・ウルフ

「吉村昭の平家物語」

 平家物語の現代語訳版です(平家物語を元にした小説ではありません)。本来、原文で読むべきものですが、わたしは古文が苦手なので、現代語訳版を購入しました。結論としては、やはり原文を読めば良かったと少し後悔しています。
 というのは、この物語の「諸行無常の切なさ」を味わうには現代語訳よりも原文の方が適しているように思ったからです。個人的には中盤から大半を占める源平合戦の部分は今ひとつ面白くなく、前半に清盛に翻弄される者たち(男も女も)が「はらはら涙を流す」姿の切なさが心に残りました。
 また清盛が死ぬと一気に平家が落ちぶれていって、源氏が幅をきかせるようになるのですが、今度は逆に落ちぶれた平家側や頼朝に虐げられた人たちが「はらはら涙を流す」姿が切ないです。そしてなんといっても、ラストを飾る建礼門院と後白河法皇のシーンが何とも切ない。平家が、源氏に変わろうが同じこと。源氏もいつか滅ぶ。まさに諸行無常。その切なさをより深く味わうには原文でなければ、と思いました。将来時間があればチャレンジしたいです。


「砂の本」ホルヘ・ルイス・ボルヘス

 ずっと積んであった本ですが、ガルシアマルケスを読んだのを機に、読んでみました。短編集なので一編一編は短いのですが非常に難解でした。正直、理解できない作品も多かったです。
 ドッペルゲンガーを扱ったポオの幻想小説を思わせる「他者」、ラヴクラフトの恐怖小説そのものの「人智の思い及ばぬこと」、マルケスのマジックリアリズムを感じさせる「砂の本」、ワイルドの童話のような「鏡と仮面」。これらは、怪奇幻想に類する作品で非常に楽しめましたが、「会議」などは理解できませんでした。ただ、一編が短いので何とか読了しましたが消化不良です。
 この本を読んでいて思い出したのが、昔好きだった山尾祐子さん。若い頃に日本SFのルートで山尾さんに行き着いたのですが、他の作家と違って難解で不思議ワールド全開でした。当時は幻想小説として読んでいましたね。何となく雰囲気が似ているので、もしかすると山尾さんはボルヘスの影響を受けたのかもしれません。実は山尾祐子さんの比較的新しい作品「飛ぶ孔雀」も積読にあるのですが、これがボルヘス以上に難解でお手上げ状態。わたしはこれを発売当日に新刊で買ったのですが、泉鏡花賞を受賞したのですね。いつか読もうと思っているのですが、いつになることやら。。



「予告された殺人の記録」ガルシア・マルケス


次に現在の積読状況です。

アリス物語(芥川龍之介・菊池寛訳) 併読中(止まってる)
高慢と偏見(ジェイン・オースティン) 併読中(もうすぐ読了)
最期の物たちの国で(ポール・オースター) 併読中(もうすぐ読了)。
イラクサ(アリス・マンロー) 併読中(止まってる)
ダロウェイ夫人(ヴァージニア・ウルフ)
フラッシュ(ヴァージニア・ウルフ)
オーランドー(ヴァージニア・ウルフ)
族長の秋(ガルシアマルケス)
オウエンのために祈りを(ジョン・アーヴィング)
芥川龍之介編英米怪異幻想譚
動きの悪魔 ステファン・グラヴィンスキ

 今は海外文学一色です。
 どうしてこうなった?


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