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遠炎

遠くで誰かが想うのは

遠くに暮らす私の心情


庭に咲いた小さな花に水を垂らす様に

窺い知れない遠里の花に
水を差すのは

巨人の長腕が必要物資

残念ながらに巨人は幽霊 夢の化身
触れられないから当てにはしちゃ駄目


屈強な花は雨を啜り
泥だらけの花弁でも
背骨の茎は曲がらないのだろう

そんな花だとしても尚
たまの便箋一通なんかじゃ
不安の球はハートのなかで静かに跳ねる

病と契約してないものか


優しい温度は36度
炎は隣で灯っているのか


受話器はたまに嘘をつくから

あんたに触ってサイコメトリー覗かせて


遠くの山をまたいだ先では

今日も誰かが私を想う

追い風は乗るほどに初源を遠ざけ

私に想いの矛先があてがわれていることを

3番目の初恋の様に忘れてしまうから

匂いや声や撫で方を

破けたページの一枚にしないよう

栞を挟んで何度だって読み返えす


逢いに行こうか

山吹咲く頃

誰かの好物の羊羹でも売店で買いこんで

遠炎の狼煙をたてるのは

私だけじゃなく

そっちもだからな





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