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詩集 幻人録

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2024年9月の記事一覧

詩/冷たい風に

詩/冷たい風に

心が渇いていた

それは水を飲み干しても

潤いはしない

悲観な心情

あなたと話した

朝まで話した

それは私の乾きを

純に潤してくれた

黙っていても

駄目だった

あなたは私の話しが聞きたいと言った

私はあなたに愛を伝えた

宵の縁に腰掛けて

ずっと愛を語りかけた

それはもう鬱陶しいくらいに

あなたは笑った

愛はもう聞いたと笑った

他にどんな話しをしよう

冷たい風に変わ

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詩/待ち合わせ

詩/待ち合わせ

待ち合わせの時間

少し遅れるという君からのメッセージ

そんな時間に

喫茶店に入る

静かな空間

コーヒーの香り

虚ろな僕の

頭が冴える

君は

どんな服を着てくるのかな

どんな靴を履いてくるのかな

僕は君が無事に辿り着くことを願う

頭の中で流れる音楽

それはゆっくりとしたピアノの音

早く君に逢いたいな

かわいい君に逢いたいな

詩/知らない君

詩/知らない君

僕の知らない君の心

古い時計の針の音

カチカチ鳴ってる電話の向こう

僕と君との歩幅の差

悲しいくらいにひらいてる

涙が出てきて

洪水になれば

歩幅もなにも埋まるのに

涙は出ないの

一滴も

愛してるって言ったって

声も届かない様な

距離が開いてしまったのなら

もう一度君のところまで

駆け足で戻って抱きしめる

だから

君にあげたリングの中に

僕と君とを閉じ込めて

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詩/夜風讃歌

詩/夜風讃歌

私が夜風を抱いたら

心の傷は癒えるのかしら

私が夜風と踊ったら

揺れる想いは熱く燃え盛る

まだ見えない場所からの合図

受け取ったらそこに行けるの

静かな夜、ひとり歩いた

住宅街を抜けて明るい場所へ

私が夜風を抱いたら

あなたへの気持ちは変わるのかしら

私が夜風と唄ったら

胸騒ぎは静まるの

まだ感じとれない

浮かんだ月の匂い

星屑はなんとなく

私を包んで散っていく感覚

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詩/愛がはじまる瞬間に

詩/愛がはじまる瞬間に

愛がはじまる瞬間に

僕等はなにを考える

人間の強さだとか弱さだとか

そういう類いの話しの中で

僕等は希望を捨て切れず

誰かに頼って

誰かを救う

愛がはじまる瞬間に

僕等はなにをすべきだろう

互いの心に傾けて

寄り添いあって歩くのか

それはとても奇跡的なことで

愛の行き場を作ってあげられる

涙が出るくらい素敵な歌を

心おきなく歌える時

土砂降りのなか

あなたの傘になっ

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