98 こういちろう "ダンスの輪廻"


98年入学の代の飯塚浩一郎です。

いよいよ本番が迫ってきました。
皆さん、悔いのない練習をしていますでしょうか。


私にとってのWとは、ということを考えるにあたり、現役時代のことを思い出してみました。もう、20年も前の話ですが・・・!


僕は一年生の春公演を客席で見て「踊りたい」という気持ちが芽生えた人間です。


夏からWに入ったこともあり、ある程度踊れる人たちの中に飛び込むことになりました。
そんな、遅れて入ってきた僕にダンスを教えてくれたWの先輩方や同期のみんなには感謝してもしきれず、慶應ダンスサークル合同OB組織のZENONや今回の公演で振付しているのも、その恩返しという意味合いが多分にあります。


現在所属しているダンスカンパニーDAZZLEに加入したのがプロダンサーとしてのキャリアのスタートだとするともう約15年。


DAZZLEでは数多くの特別な体験をしてきました。


海外公演で満場のスタンディングオベーションを浴びたり、
人間国宝の方や他ジャンルのアーティストと一緒に作品を作ったり、
コンテストも何度も優勝することができましたし、
素晴らしいダンサーたちとたくさんの大きな作品を作る機会を得ました。


そんな、自分がダンスによって得た幸福の全ては、僕がダンスを始めた場所であるWがくれたものであると言っても過言ではありません。


Wの30年も何か確固たる組織や教科書があるわけではなく、人が人にダンスと踊るための精神を繋いできた末にたどり着いた通過点だと思います。


自分もその大きな時の流れの中の一人であって、自分が先輩から受け継いだものや稀有な経験を、少しでも大きくして次の世代に伝えたいと思っています。


また、キャリアが長いのでWで出会った名ダンサーたち(もちろん外の人たちも)がダンスを辞めていく姿をたくさん見てきました。


僕よりダンスを愛していた人、僕よりダンスが上手い人がたくさんいました。
僕がダンスを続けてこられたのは、一緒に踊ってくれる人がいたこと、そして見たいと思ってくれる人がいたからだと思います。
自分の意思だけでは無理です。周りの人々のおかげです。


だからこそ僕は、自分が人生をかけたダンスを「踊りたい」と思ってくれる全ての気持ちを肯定したいと思うし、踊れる場所が続いていくことを応援し続けたいと思うのです。


ということで私にとってのWとは、


「ダンスの輪廻」



であり、これが今回の公演の僕が振付する曲のテーマでもあります。


Wでダンスを卒業する人がいると同時に、Wでダンサーとして生まれる人もいます。
あの日の僕のように。
踊らなくなった人がいたとしても、そのダンスと魂は、誰かに受け継がれているはずです。

ダンスを続けることにどんな意味があるのか、と考える人もいるかもしれません。
僕も社会人の頃、深夜の2時まで働いてそこから練習に向かうタクシーの中でよく考えていました。
でも、その答えはダンスの中にしかありません。
本番を踊るダンサーの心の中、そして、それを見る観客の心の中にしか。


41歳のいま確かに言えることは、ダンスを続けてきて後悔したことは一度もないし、自分はダンスによって幸せになったということだけです。


最後にもう一つだけ。
SFCにあるダンスサークルの一員として意識していたこと、今も意識していることが「新しいダンスを作る」ということです。オリジナリティですね。


僕はDAZZLEで、世界で僕らしか踊っていないダンスを踊り、僕らしか作れない公演を作ってきました。


本番ではそんな、不思議なダンスに勇気を持って挑戦してくれた、15人のダンサーたちの奮闘ぶりを見届けてあげてください(笑
僕の曲に出てくれたみんな、ありがとう。


ダンスは自由で、「その人らしくあること」が一番かっこいいと信じて。


文セでは「踊りたい」と願っても叶わなかった人たちの分まで、踊りたいと思います。
そして、願わくば誰かの心の中に「踊りたい」という気持ちが生まれますように。


僕の作品を、えみ、まさや、たかっちに捧げます。

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