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RPA2.0による新しい未来を目指して【後編】

こんにちは、バーチャレクス・コンサルティングのykです。

先日より、「RPA2.0による新しい未来を目指して」と題して、DXを加速させる「RPA」や「周辺のテクノロジー」について3回にわったてご紹介しています。

前回の中編では、今注目度が増している「RPA×AI-OCR」についてを説明させていただき、その具体例として、RPAを「パソコンを操作する身体(手・足)を代替する機能(作業・処理の実行)」として、それに加えて、OCR(AI-OCR)「目(視認)」との連携をはかることによって、読み取り作業、帳票の仕分け、システムへのアップロードといった業務をイメージスキャナの活用により、一気通貫での作業を実施できるようになることをご紹介しました。
今回はRPAとChatbot「口・耳(対話・発信)」を連携した場合の効果や、また発展形として注目を集めている、「AI(NLG)」との連携についてご紹介していきたいと思います。

RPA2.0実現へのさらなる一歩「RPA とChatbot(チャットボット)の連携」

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RPAをChatbot(チャットボット)と連携させることで「人間が手を動かすことなくシステムを操ることができる」ようになります。具体的には、Chatbotを使い、ユーザーからのリクエストに対応する形でRPAがシステムを自動的に操作し、必要とする情報の照会作業や、それに付随する作業・処理を行えるようになります。また、Chatbotを介した質問・確認に対する回答や処理結果などを返すことも可能です。

より具体的に「RPA × Chatbot」がもたらす業務自動化に関して、例示を通してみていきたいと思います。RPAと Chatbotにおける業務自動化としては、以下のようなものを考えることができます。

■社員からの有給に関する一時受付窓口と回答
社員から「有給休暇の残日数」について訪ねられたChatbotが、RPAに勤怠システムのデータ取り込みと対象社員に関するデータを取得します。続いてRPAが勤怠システムから取得した対象社員の有給休暇残日数を確認し、Chatbotに受け渡しを行います。Chatbotは、 RPAから取得した結果(勤怠システム上の有給休暇残日数)を社員に提供します。
同様の効果が得られる方法として「有給休暇の社内ルールについて」という質問に対する答えをFAQから探し、社員に回答します。(回答例:有休休暇は、毎年1月に計算を行い、勤続年数に沿う形で付与されます。付与される日数に関してはリンクの規定を確認してください。)

■残業申請に対する自動確認作業
社員からの残業申請に対し、RPA × Chabotが照会作業を自動で実施します。もし社内で定められている規定の残業時間を超過してしまっている場合は、Chabotが上長に対して「この社員は、現時点で働き過ぎの為、残業を許可することはできません。」といった回答を行います。その結果、上司は部下に対して、チャットベースで「残業時間超過の為、残業をすることは認められない」という返事をすることができます。

■社内外からの問い合わせに対しての自動回答業務
金融機関等において発生する利用者からの残高照会や、各種公共料金の確定請求額照会に対して、自動応答にて対応することが可能になると考えられます。また、利用者がChatbotに対して知りたいことを質問したら、RPAとの連携で各種システムを検索して、必要な情報を明示することも可能となります。このとき、利用者の各種ユニーク情報(名前や住所等)を使い、本人認証も完了させてしまいます。また、RPAやChatbotでは対応しきれない例外的事項に対しては、「オペレーターに連絡をする。」という選択肢を用意しておくことで、補完機能を果たすことが可能です。

また、AI-OCRとRPA、Chatbotの連携が進めば、こういった業務を全て定型化することが可能になります。


「RPA × AI(Natural Language Generation=NLG【自然言語生成】)」を使った更なる自動化


「RPA2.0」の世界観では、「RPA × AI(Natural Language Generation=NLG)」の導入がこれから進んでいくと考えられています。ちなみに、RPAが手足ならば、NLGは「脳(解析・学習)」の役目を果たしていくことになります。

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それでは、NLGについてもう少し詳しく理解していきましょう。Natural Language Generation=NLGは、日本語では「自然言語生成」と訳されます。

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また、「NLG」は、言語を扱うAIの構成要素・技術といえます。ただし、NLGの実現方法(文章を過不足なく自動化していく段階)は1つではなく、そのレベルに応じて3つの基準で構成されます。

■ベーシックレベル「Basic NLG」
NLGの基本的な段階である「Basic NLG」は、「データをそのままテキスト情報に変換する」というレベルに対応しています。例えば、データベース内の「最低気温」列に、「10」という値が格納されているとき、規則性に基づき「本日の最低気温は10℃」といった単純な文章を自動生成することが可能です。

■ミドルレベル「Template-Driven NLG」
Basic NLGをより発展させた概念が「Template-Driven NLG」です。Template-Driven NLGでは、事前に用意されたテンプレートにデータベースを変数として代入する形で、文章の生成が可能です。先ほどと同じ例を用いて考えると、データベース内の「最高気温」カラムに「10」という値が格納されているとき、気温の前日比データを参照して補完し、「本日の最低気温は10℃です。昨日よりも2℃低い気温です。上着を準備してお出かけください」というような、人間味のある文章を作ることができます。

■ハイレベル「Advanced NLG」
NLGの最も高い水準のレベルである「Advanced NLG」は、データから意味や内容を解釈し、自動的に最も適した文章作成を行います。今までのステレオタイプ的な文章作成とは大きく異なるものになり、人間的な文章を完全自動で生成できるレベルです。例えば、「最低気温」「10℃」というテキストから、テンプレートを用いることなく、「今日の最低気温は10℃で、昨日より2℃低く、ここ数年の平均よりも低い気温です。上着を準備してお出かけくださいませ。」というように、きちんと意味が通る文章が生成されます。つまり、一般的に私たちがAI(人工知能)に対して求める最終系の働きに近いものになるのです。

NLGのレベルが上がるほど、ビジネスへの貢献度は高まる反面、実用化へのハードルも高いのが現状です。

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RPA × NLGの連携が実現すると、これまでRPA単体では不可能だった、「データから文章を生成する」という作業の自動化を可能とすることになるでしょう。いわば、「書ける(文章を生成できる)RPA」が実現します。

「各システムから必要なデータを収集し、レポートを作成してメールで送る」という業務があるとしましょう。この業務を遂行するためには、「収集されたデータ(グラフ)を確認する」「データ(グラフ)から何が読み取れるかを考える(分析)」「分析した結果をコメントとして残す」という作業が必要でした。この作業は「ヒトの手によるアナログな作業」で、RPAの適用範囲に含めることができませんでした。そのため、全業務プロセスを自動化する際のボトルネックになっていたのです。

このボトルネック部分を解消できるのがNLGです。NLGを導入することで、「分析し、コメントを残す(文章を書く)」部分の自動化が可能になるでしょう。

「書けるRPA」が実現するRPA×NLGの活用事例
●レポート等の分析コメントの自動生成
●企業業績や株価関連記事等の自動生成
●”個客”別コンテンツの自動生成

「ヒトとAIとの共存」「手段ではなく目的」~RPA2.0の未来の実現に向けて

日々変わりゆく生活者のニーズに対応し続けるには、「デジタルトランスフォーメーション=DX」の推進が必須の時代となりました。これからは「ヒト」のみのビジネスモデルではなく、「ヒト」と「AI(RPAも含む)」が共に補完しあうモデルの構築を考えていく必要があります。

進歩時間を生きている私たちは、RPAをはじめとした新しい武器を使うことで課題解決を図っていくことが求められています。RPAについては、単体での導入(RPA1.0)はほぼ完了したと言ってもいいでしょう。それに加えてAI-OCRやChatbotといった周辺テクノロジーと連携し、活性化が進むことで、より人間に近づいた自動化・効率化を目指す段階(RPA2.0)へと移行が進んでいます。さらに、AI(NLG=自然言語生成)との連携によって、「非ヒト」が考えるという行為を獲得し、ワンストップで自動化できる構成も見えつつあります。「内容をくみ取って解釈し、自動的にコメント・文章を生成する」という「書けるRPA」もその一つです。

本シリーズ「RPA2.0による新しい未来を目指して」では、前・中・後編を通して、DXを加速させる様々なテクノロジーをご紹介してきました。
「AIとは」「RPAとは」といった言葉・概念の定義は大切ですが、それでは十分ではありません。もっとも重要なことは、「テクノロジーの利用は最終的な目的を達成するための"手段"である」ということです。このことを考慮すれば、性能等のみで良し悪しを判断するのではなく、結果にフォーカスした導入効果や継続性(効果に対する)が高いものがパフォーマンスの高いツールである、という判断にたどり着くでしょう。

言い換えると、状況・目的によっては、「学習能力は高いが、精度や成果において劣る"正統派AI"」よりも、「学習能力が低いとしても、導入効果が高く、継続して効果が期待できる"俗っぽいAI"」という結論に達します。

RPAをはじめとしたテクノロジーの利用においては、最終的な目的・目標をイメージし、長期的なスパンで新しいテクノロジーと付き合っていくことが肝要なのではないでしょうか。
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バーチャレクスでは、業務効率化・高度化に向けたDX支援を行っています。RPAやAI-OCR、チャットボット等の有効活用や、DXの具体的な推進方法など、課題やお悩みなどありましたらお気軽にお問合せください。
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