肋間神経

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炎の日

 炎が猛る。黒い中華鍋の底を炎が舐める。炎の情熱はその向こう側の食材どもの身を熱く焦がし、中華鍋を握るものはそれを望んでいる。 「臭い。とても耐えられない。とても」 「バカ、耐えろよ。死にたくなきゃ」  炎が猛る。中華鍋を握るものは、縦に四つに割れたまなざしのない顔を、中華鍋の上で踊る食材に近づけ、匂いの具合を確かめる。そしてそれが喉の奥からやや粘着質なうなり声を絞り出したかと思うと、それの頭部が真っ二つに割れ、まだ熱の残る中華鍋に、割れ目から飛び出した歯のない捕食器官