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「元Jリーガー社長」がサッカー、スポーツ界をビジネスとしてとらえ、アスリートの価値を高める事業に取り組む理由

2001年、希望に胸を膨らませてJリーグ・ガンバ大阪に入団した私は、2003年シーズン終了と同時に戦力外通告を受け、翌2004年にJFL・佐川急便大阪SCを最後にサッカー選手としての活動から“撤退”しました。

22歳で家業のリユース業をセカンドキャリアに選び、2007年にはブランド買取専門店『なんぼや』をオープン、現在はブランドオークションの運営や骨董・美術品などを扱うバリュエンスホールディングス株式会社代表取締役社長を務めています。

私の経歴の珍しさから、メディアに取り上げていただく機会もあり、「元Jリーガー社長」「元プロサッカー選手の経営者」として知ってくださっている方もいるかもしれません。このnoteでは、私自身のキャリアについて、サッカープレイヤーとして学んだことやビジネスに生きたこと、現在の事業のこと、そしてサッカーやスポーツ界、ビジネスとして未来志向で取り組んでいる「アスリートの価値を高める活動」についてお話しできればと思います。

リユース事業とスポーツ界はつながっている?

2019年9月、私は現役アスリートのデュアルキャリアをサポートする事業を開始しました。会社の名前はずばり「デュアルキャリア株式会社」。

これまで『なんぼや』をはじめとするリユース業界で結果を出してきた私にとっては全く新しいチャレンジ。一見すると何の関係もない事業体に足を踏み入れることに、「元Jリーガーだからスポーツ界への恩返しでやるんでしょ?」と、事業としての可能性を疑問視する人も多くいました。

もちろん、自分を育ててくれたサッカー界への恩返しという気持ちはあります。サッカー界、スポーツ界に貢献したいし、自分と同じように若くして次のステップに進まざるを得ない状況になったアスリート、夢を諦め切れずに挑戦を続けたいというアスリートを応援したい気持ちもありました。

しかし、起業家としてさまざまな事業を立ち上げてきた経営者としても、この事業には無限の可能性があり、なによりバリュエンスホールディングスが培ってきたビジネスのノウハウ、『なんぼや』をはじめとするリユース事業と深いところつながっている確信がありました。

noteの初回は、私がリユース業界で学んだ「物の価値は一定ではない」という真理と、一見何の共通点もないように思える「アスリートの価値」についてお話ししていこうと思います。

ぶっちゃけスポーツのスポンサードって慈善事業ですよね?

スポーツクラブへのスポンサー企業というとみなさんはどんなことを思い浮かべるでしょうか? 誰もが名前を知っているような大企業がオーナーシップを持つスポンサード? それとも地元の企業が地元のクラブを支えるようなスポンサーシップでしょうか? 競技やクラブによっても違いがあるのですが、多くの場合は「知名度」や「宣伝」などスポーツクラブを所有することに意味があったり、地域貢献やCSR的な意味合いでお金を出すという印象を持っている人が多いと思います。

私たちの会社でも古巣であるJリーグ・ガンバ大阪、早稲田大学競技スポーツセンター(ア式蹴球部)、そして今年からは『キャプテン翼』の原作者 高橋陽一氏が代表を務める南葛SCへのスポンサードを行っています。

ガンバ大阪は言わずとしれたJ1所属の日本有数のサッカークラブ。かつてプレーしたクラブにスポンサーシップで協力できることは、個人的にも大きな喜びですし、「元Jリーガー社長」「元ガンバ大阪の経営者」としてメディアに注目していただけるようになった経緯からも、「スポンサーフィーの回収」という面では十分にペイできる効果があると思っています。

早稲田大学へのスポンサードも大学サッカー部とのオフィシャルパートナー契約ということで話題性、ニュースバリューも生まれ、最近では二次的効果として体育会系の学生からの弊社への応募が増えているという予想していなかった効果も生まれています。

上記二つのスポンサードの例は、サッカー界への恩返しや貢献+ブランディング戦略というかたちで成立していました(南葛SCへの関わりについては、後日詳細をご紹介したいと思います)。

しかし、2年前にデュアルキャリアを始めるタイミングから
「もっと腰を据えて事業として関わらなければいけない!」
という使命感にも似た気持ちが芽生えてきたのです。

すべての物事の“価値”は評価する人によって変わる

スポーツ、アスリートの価値を誰よりも知り、それを高めることと向き合うと決めていた私ですが、経営者としては、スポーツにスポンサードすることに対しては、費用対効果より慈善事業と恩返しの割合がまだまだ高いと考えていたのは事実です。

デュアルキャリア株式会社をバリュエンスホールディングスとしてではなく、プライベートカンパニーとして立ち上げたのも、周囲から公私混同といわれたくない、スポーツやアスリートにはビジネス面でも可能性があることを証明してやるという肩肘を張った思いも多少ありました。

しかし、デュアルキャリア事業でのさまざまな経験を経て、やはりこの事業を徹底的に自分ごと化し、リユース事業との共通点を示した上でシナジーを生む必要があると判断しました。そこで、2021年6月1日付けで、デュアルキャリア株式会社をバリュエンスホールディングスに統合する決断をしました。

リユースとスポーツ、アスリートの共通点は、物事の価値にあります。たとえば、バリュエンスグループで行っているリユース事業では、商品の価格はすべて“需要と供給”で成り立っています。

アメリカで人気が高い商品でも、日本ではそれほど人気がないとなれば価格は低くなります。二次流通の取引額も下がるので、日本で仕入れてアメリカで高く売るという手法が成立します。逆に日本で人気のものをその価値がそれほど認められていない海外から仕入れる方法もあるでしょう。

古来、物々交換、貿易というかたちで脈々と続けられてきたビジネスのイロハだと思うのですが、アスリートの価値も「まだ評価されていない側面」がたくさんあるというのが私の持論です。

下積み時代、誰かにとって不要になり引き取ってきた冷蔵庫や洗濯機を磨き、手入れするのが私の重要な仕事でした。引き取ってきた不要品を、再び気持ちよく使えるようにして、新たな持ち主にお届けする。不要なものに価値が生まれるということが、私がビジネスで最初に得た“気づき”だったのかもしれません。

リユース業界で“物の価値”ととことん向き合ってきた私が、最も腐心してきたのが、価値を再発見し、そこにスポットライト当て、必要とする人にその価値を伝えるという一連のフローでした。

スポーツの価値、アスリートの価値を高めるために

「誰かにとっての不要」は、私たちが介在することでまた違う「誰かの必要」になる。

それを見つけて磨くのが私の天職のような気がしているのです。

アスリートにも、まだ光を当てられていない、磨かれていない魅力がたくさんある。

スポーツ界でも同じことができないかという思いで始めたデュアルキャリアでは、まずHATTRICKというオークション事業をスタートさせ、コロナ禍で経営に苦しむスポーツクラブや団体に1億円以上を還元することができました。

しかし、これはまだ始まりに過ぎません。クラブの価値、アスリートの価値を掘り起こし、クラブに還元する第一歩は踏み出せましたが、その価値が、スポーツそのものの価値、なによりもアスリート本人の価値につながっているかというと、その点はまだまだ遠い道のりです。

アスリートの価値を高める施策については、さまざまな構想があり、すでに具体的なプラットホーム構築のところまで来ている案件もあるので、随時このnoteで紹介できればと思っています。

今回は最初のエントリーということもあり、かなり駆け足で、リユース事業とスポーツ、アスリートの価値のつながりのお話、なぜスポーツ、アスリート支援を事業として嵜本が取り組むのかについての一端をお話ししました。
次回以降は、ここで触れたさまざまなトピックについて一つひとつを掘り下げてお話ししていければと思っています。

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