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#107 最近のテック企業のレイオフ祭りは多くの有望なスタートアップ誕生に繋がるか

1月22日は旧正月でした。韓国や中国(おそらくシンガポールも)などが旧正月で新年を迎えるのですが、サンフランシスコには大きなチャイナタウンがあり、お祭り雰囲気になっていました。いろいろなパレードや花火もこれからあるみたいで楽しみにしています。ということで改めまして明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いいたします!:)


最近は米国大手テック企業のレイオフに関するニュースが相次いでいます。今月はマイクロソフトが1万人の従業員を解雇すると発表しましたし、グーグルもなんと1万2千人の解雇を発表しました。テック企業のレイオフをトラックするLayoffs.fyiによると、まだ3週間しか経ってない今年の1月にはすでに5万人以上がレイオフされています。さらに、同サイトによると、2022年にはすでに15万人以上がレイオフされたようで、昨年1月からすると累計で20万人以上がレイオフされたことになります。

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じゃ、レイオフされた方々は何をするのでしょうか。よく聞く話として、レイオフが旺盛になると、そのレイオフされた方々が多くの有望なスタートアップを創業するというストーリがあります。私も以前はそう思っていました。しかし、本当にそうなのでしょうか。それを確認するために失業率が大幅に上昇した不況期に、実際に多くのスタートアップが生まれたかをデータで確認してみました。

結論から申し上げますと、そうには見えないということです。上のチャートは、失業率(赤線)と各年に設立されてVCから資金調達をしたスタートアップの数(青棒)、下のチャートは、失業率(赤線)と各年に設立されたユニコーン企業の数(青棒)を示しています。ご覧の通り、失業率が下がっても、スタートアップ数、ユニコーン企業数ともに増えています。すなわち、失業率とスタートアップの創業には相関関係がないとのことです。

また、私たちの投資先のファンドマネージャーの一人は、最近ディールの数が増えていて、月間1,000件以上のディールを見るようになったと話してました。そこで、それらディールの「質」自体も上がっているのかと尋ねると、実はあまり差はないとのことです。今回に限ってはスタートアップの数自体は増えたかもしれませんが、それらの質自体は特に高くも低くもなってないのです。

さらに、これだけ多くの人がレイオフされても、失業率がまだ低いままです。つまり、会社を興すような人のプールがそもそもまだ少ないのです。

ですので、最近のレイオフの嵐が、多くの有望なスタートアップの誕生につながるとは思いません。しかし、スタートアップが生き残り、さらには成功するための機会を見つけるには役立つかもしれません。

大手テック企業の多くは、スタートアップたちのカスタマーでもあります。もし彼らが今回のレイオフで財務的に健全になれば、スタートアップからサービスを購入し続けるための余裕が生まれるかもしれません。そしてそれはスタートアップエコシステムがこの不確実な年を生き抜くのに少しでもプラスになるのではないかと思います。

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References:
・Layoff data - https://layoffs.fyi/ 
・Company data: Pitchbook
・Civilian unemployment rate - https://www.bls.gov/charts/employment-situation/civilian-unemployment-rate.htm

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