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フランス人がパンで最後のソースまで食べる理由

食べ終わったお皿をパンで拭くようにきれいに仕上げる。

なんとなくフランス人ってそんなイメージありませんか?
わたしが南仏に滞在中、「だからなのか!!」と納得したことがあります。

それは

フランスのシンクには生ごみの穴がないのです!

お皿に残ったソースも細かいカスも流すことができないのです。

詰まっちゃうから。

本当の理由は文化にあるとか詳しくはわからない。

でも、少なくともわたし自身が体験してみて、最後パンできれいにするのが一番合理的だなと思ったからです。

パンでフィニッシュしない場合、食べ終わったお皿はティッシュなどできれいに拭きとってからシンクに入れます。

しかし、その都度ティッシュを使うと資源の無駄にもなるし、パンが一番かもしれない。


娘がいうには、最初ちょっとぐらいいいや!って思って流していたけど逆流してきてキッチンが水浸しになったらしい。

業者もフランスは日本みたいにすぐには来ないそうで、痛い目に合ったそう。

だから「絶対に少しでも流さないで!」と釘をさされた。

「なるほど、だからみんなパンで最後お掃除して食べるのか・・・」

妙に納得してしまった。これも文化だ!



聞けば娘宅だけでなく、なんと飲食店までだそうで驚いてしまう。

誰も疑問に思ったり、不便に感じたりしないのかな。
それが気になる。

しかし、しばらく強制的にその生活をしていたら逆に、油物をシンクに流すこと自体、環境に悪いんじゃないかと流すことをためらうようになってしまった。

人って本当に環境に慣れる生き物だなとつくづく感心してしまったのだけど、わたしも諦めるまえはどうにか快適に生活しようと思い、どうにかして生ごみネットを設置できないものか、あれこれ試した。


なんたってお風呂の穴も同じ。

金具がただ、「バッテン」と十字になってるシンプルなものだし、どうみても髪の毛が流れ放題になってしまう。

ネットを引っ掛けられる構造ではない。日本のシールのようなものも貼ったりした。でも限界がある。

だから髪を洗うのも2日におきにした。

この構造を疑問、いや不便に感じてるフランス人はいないのか村でインタビューしてみたいくらいだった。

新しいものや便利なものに興味がないのかもしれない。


いろいろと日本の暮らしと比較するとハテナだらけ。次々と新商品に目がいってしまうのはどうやら日本人ぐらいなものなのもしれない。


洗剤ひとつとっても一回気に入ったら買い続ける人が多いらしい。

だから日本でいえば、いまだに「ママレモン」を使い続けるようなものかもしれない。※40年ぐらい前はどの家庭もママレモンの時代があった。

10年以上前にパリのお土産として娘にもらった猫のイラストが描いてある「le Chat」という台所洗剤がマイナーチェンジで程度で未だに売っていることにも感動した。

フランスは競争しなくてどうやって企業が売上を伸ばしてるんだろう?素朴な疑問を娘にぶつけてみたら「さぁ、みんな決まったものしか買わないから」ということだった。みんな保守的らしい。

たしかに、トイレットペーパー、洗濯洗剤、台所洗剤などの消耗品は新製品がでようが出まいが、消費する量自体は変わらないよね?というじぶんの中の結論だった。

どうしてこんな不便な生活なのに誰も文句をいわないのだろう。とはじめは不思議だったが、シンクの穴が生ごみをキャッチできなくても、それがフランススタイルだし、むしろデザインが悪くなっちゃう。ぐらいの感覚なのかもしれない。

一方、日本はデザインよりまず機能性、より便利に!を追求している感がある。

合理性よりデザイン性を優先させてる場面は駅構内など随所にみられ、わたしはそれらを見つけることが楽しくなった。

次々出てくる新商品にも飛びつかず、流行にも惑わされず、じぶん軸を持ってるフランス人が持つ感性にますます魅力を感じている。

エクス駅

駅なのに、写真手前右下のようにしゃれたランプを置いてみたり、椅子を曲線にしたりデザインにこだわり抜く姿勢がすき。


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