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個人でモノを売る暮らし

南仏の村に滞在していた期間、たくさんの気づきがった。

はじめは、昭和40年かっ!とツッコミどころ満載だったけれど、暮らしそのものがどこかなつかしく、生きるとはなんぞや。なーんてじぶんの生活も仕事も見つめ直すきっかけとなった。

そのひとつに、村で週に一度開催されるマルシェがあった。

その村のマルシェは、個人が活躍しているので見ていて楽しかった。

村の景観そのものがテーマパークのようだから、こじんまりやっていても、決してショボイのでななく、素敵だった。

しかも、売ってるものが1点集中型というのも誰でも参入できそうで、これまた想像するとワクワクする。

例えば、この卵屋さん。

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本気で「たまご」しか売っていない。

おそらく自分の庭で飼っている鶏が産んだたまごを持ってきて売ってるよう。

いかにしてたまごをかわいく見せて購買意欲をかきたてるかに全力を注いでいる。これをみてじぶんの子供のころを思い出した。


私が子供のころ、近所の商店街でおばあちゃんが営んでいる「卵屋さん」があった。


当時、卵1個20円程度で1個から買えるバラ売りスタイル。


プラスチックの卵ケースもない時代だから、おばあちゃん手作りの新聞紙の袋に卵を入れてくれるのだった。サイズによって値段が5円づつぐらい高くなる。


「25円の卵5個ください!」と注文すると、卵を1個づつ透かして見ては、新聞の袋に入れてくれるのだった。


当時は気にも留めていなかったが、今思うとライトで照らして、卵が半分ひよこに孵っていないか確かめる作業だったと思う。


あの頃と、現在の卵の値段が変わらないのは、いかに卵が恐ろしい形で大量生産されているのか。


だから何が言いたいかというと、おそらくこのマルシェの卵も昔ながらのスタイルで鶏を放し飼いにして、庭のあっちこっちに産んでる卵をかき集めて売っているんじゃないかということ。


庭の雑草を食べて、飼料もヘンなものを添加したりしない健康な鶏から産まれたナチュラルな卵なのだ。


この卵屋さん、家主がお留守でどんな方だかわからなかったけど、それにしても店を放置しても問題ないぐらい平和な村ということも気に入っている。


それともうひとつ、村に1件怪しいお寿司屋さんがあった。ずっと気になっていたけど一歩勇気が出せず、挑戦しないままでいたが、ある日怖いもの見たさにテイクアウトしてみることに。


恐る恐るドアを開けてみると、「寿司」とは縁がなさそうなタトゥーだらけのファンキーなお兄さんが笑顔で立っていた。


注文すると、「テストだね!」と言って張り切っていた。 ※通訳は娘

ここの店主はなんと、日本人に食べてもらうのは初めてだという。

自分のお寿司が日本人に採点されるから緊張すると言っていたが楽しそうだった。そう、いつもハッピーな姿勢も感心する。


日本人の私たちから見ると、それはもうめちゃめちゃで不安でしかなかったが、この状況を味わえただけでも今となってはネタとなり、いい思い出だ。


村で過ごしてみて思ったことは、「個人」でモノを売ったり、「個人」がとても強いということ。

私もどこかに属したりせずに個人で売れるもの。探したい・・・


古臭いと思っていたフランスの小さな村が、実は最先端でかなりイケてる方法なのかもしれない。と思っている。



日本人第一号のお客さんとして食べた村のお寿司。

何点かな笑

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